昨日買ってきた森村桂さんの本を少し読みました。いくつか取り上げられている旅話を読みました。「旅に求めた青春」(1979)というそのものズバリの旅の記録でした。 1940~2004年の中の40手前のころの作品として、描かれている内容が高校や大学のころの話のようです。読者がそういう人たちだったはずだから、若いころの話を続けるしかなかったのかもしれないですが、しんどくはなかったのかなあ。「永遠に青春だ . . . 本文を読む
太宰治さんの奥さんの津島美知子さんの『回想の太宰治』(1978→1983講談社文庫)を読んでいます。半分くらいまではきました。最初はただ感心するくらいでしたが、最近読んでいるところは、美知子さんの視点で見えていたものを切り取ってもらって、なかなかおもしろいなと思っています。 戦争末期に疎開して、お正月を迎えたそうです。太宰さんは、いつもの感じで実家であれこれしています。美知子さんはわり . . . 本文を読む
先日読んだ梨木香歩さんの「海うそ」に気になる箇所がありました。抜き書きしてみます。「この島に明治初年まで寺院があったのをご存じですか」ええ、と山根氏は即座に返事をした。「廃仏毀釈でほとんど跡形もなくなってしまいましたが」「ええ、私はその遺構に惹かれるものがあって、この島に渡ってきたようなものなのです」「……ほう」山根氏はほとんど口の中だけで呟いた。その様子で、彼がこれ . . . 本文を読む
津島美知子さん(太宰治さんの奥さま)の『回想の太宰治』(1978単行本→1983講談社文庫)から、ダザイさんと美知子さんの旅を抜き出してみます。私は42年のブランクを経て、今さらながら読んでいる状態です。 お二人が結婚したのは1939年だったそうです。 井伏先生に太宰のための嫁探しを懇願したのは、北、中畑両氏である。 井伏先生と同郷で愛弟子の高田英之助氏が新聞社の甲府支局に在勤中、斎藤 . . . 本文を読む
岩波現代文庫の「海うそ」の単行本は岩波書店より2014年に出たそうです。そして、2018年に岩波現代文庫で取り上げられました。普通に岩波文庫で出してあげたらいいのに、梨木香歩さんはまだ古典になりきれてないから、岩波文庫の緑帯では出さないのか。徹底しているみたいですね。 カバーの装画は1975年生まれのイラストレーターの高山裕子さんという方が担当しています。そして、最近では「海幻」というタイトルで . . . 本文を読む
表紙は、瀬戸市の公共図書館で、瀬戸市で活躍した北川民次さんの壁画が出迎えてくれる形になっています。中は小ぢんまりとした公共図書館でしたが、なかなかみんながゆったり本を楽しむ空間って、難しい気がします。 私の住んでいる町の公共図書館は、改装をするのにたくさんのお金も費やしたと思いますが、そういう意思決定・館内の企画などに市民が関わることは全くなく、闇から闇で決定されていくけれど、どれだけのお金をか . . . 本文を読む
今から40何年前、ボルネオへ入って行ったお医者さんの話を読みました。体験談もよかったけれど、ボルネオという土地がほんの少しだけ身近に感じられたので抜き書きしようと思いました。そりゃ、オランウータンの住んでる森だから、熱帯雨林なんだろうけど、そこにはそこ特有の人間たちの病いはあったはずです。そして、40何年前は、遠い国で、とても気にしていられなかった。 今なら、違うアプローチもあるだろうし、海外進 . . . 本文を読む
私は田舎の地方都市に住んでいますから、いろんなことに関してチェーン店のお世話にならなくてはならない状況にあります。 おしゃれな(?)コーヒー屋さんは、Sバックス! ハンバーガーはもちろんMク、こだわりたいならMos。いやいや、ハンバーガーなんて若い人やファミリーだけだよ。そう、その通り、私はハンバーガーなんか食べない。牛丼もラーメン屋さん、うどん屋さん、すし屋さん、十何年前には行ったこともあった . . . 本文を読む
三月七日の夜、NHKのBSでは中山美穂さんのコンサートの様子が放映されていました。1989年とあともう一つを組み合わせた番組だったようです。少し興味があって最初の十分くらい見たでしょうか。ヒット曲の「ワクワクさせてよ」を歌っておられたようでした。 私は実は、そんなに彼女のファンではなくて、にわかファンだから、「ああ、こんな感じなんだね」と思うばかりで、テレビから離れてしまいました。その前まで地元 . . . 本文を読む
理屈抜きで、または自分たちの理屈にのっとって、他者に迷惑をかけることが許されていい訳はないのです。けれども、今の世の中は自分たちだけに通じる理屈をこねて偉そうにして、それで何とも思わない、というのが当たり前になりつつあります。 でも、そういのはいつか破綻すると私は思っています。簡単には終わらないけど、アメリカだけじゃなくて、日本でも同じようなことが起きているけど、それらもいつか破綻するだろうと気 . . . 本文を読む
岡部伊都子さんというエッセイストがおられました。1923年生まれで2008年に亡くなっています。長生きされたなあと思ってしまうけど、うちの母とか見てると、「あら、まだ若くして亡くなられたんだなあ」と思ってしまいます。2008年にちゃんと確認できたかどうか……。 私はものすごく昔に岡部さんのエッセイを読んで、それからすっかり忘れていて、たまたま古本屋さんで何十年も前に読 . . . 本文を読む
今は、1983年の中公文庫「日本細見」というのを読んでいます。佐渡、鎌倉とキーンさんに連れてってもらって、あれこれ知ったような気になります。鎌倉も、長い間行ってないけど、40年くらい前はよく行きました。今も行けないですね。それは少しザンネンです。コロナも相変らず続いているし、落とし穴はいっぱいです。それに、人込みをかき分けて進まなきゃいけないなんて、考えられないです。 キーンさんは、川端康成さん . . . 本文を読む
今日、昼前から電車で外に出て、すぐに帰って来ましたけど、その時に本を読んだ時間なんて、ほんのわずかなんだけど、感動したのでメモしておこうと思います。 ずっと水上勉さんの『足もとと提灯』(1976・1977 集英社文庫)を読んでいて、いよいよもうあと少しで読み終わるかな、というところまで来て、いくつかの人との出会いが取り上げられています。 たまたま講演会で出会った両足と片手のない人、その人とエレベ . . . 本文を読む
倉田百三さんの『出家とその弟子』(1916・T5→1949・S24 新潮文庫)を時々読んでいます。ずっと読んでいるわけではなくて、とぎれとぎれです。 今読んでるところは、遠くの土地からはるばる親鸞さんをたずねてやってきた人たちとの問答のところです。当然のことながら、親鸞さんから宗教の奥義みたいな、特別な何かを教えてもらいに来ています。それを見つけたくて、わざわざ旅してきたようです。 何 . . . 本文を読む
2023年の6月、三重県の古本屋さんが集合するイベントがありました。その時が初めてだったかなあ。私たちは夫婦で参加して、私は文庫で「フルトベングラー」と「バッハ」という2冊を買いました。それから1年、この2冊、本棚に飾られてはいるけれど、なかなか読めていないのです。音楽を聴くというのと、音楽のことを読むというのは、また別のことのようです。音楽を聴くのなら2時間もあれば聴いてしまうのに、本となると . . . 本文を読む