「崖」 石垣 りん 戦争の終り、 サイパン島の崖の上から 次々に身を投げた女たち。 美徳やら義理やら体裁やら 何やら。 火だの男だのに追いつめられて。 とばなければならないからとびこんだ。 ゆき場のないゆき場所。 (崖はいつも女をまっさかさまにする) それがねえ まだ一人も海にとどかないのだ。 十五年もたつというのに どうしたんだろう。 あの、 女。 . . . 本文を読む
Ⅱ私の上に降る雪は花びらのように降ってきます薪(たきぎ)の燃える音もして凍(こお)るみ空の黝(くろ)む頃 固く結晶化した雪というのでしょうか、ハラハラとコートの上に落ちて来て、カサカサ音がしたのかもしれない。いや、それでも雪が薪の燃える音というのは難しいです。何か別の意味があるのでしょうか。黒っぽいどんよりとした空から、わりとハッキリと雪が落ちてきます。 そうだ。詩なんだから、薪の燃える音だろ . . . 本文を読む
★ 生い立ちの歌 Ⅰ 幼 年 時私の上に降る雪は真綿(まわた)のようでありました これはどうなっているんだろう。やさしく、フワフワとした雪が降っていたんですね。小さい子は、雪に触れるチャンスもそんなになかっただろうから、親の庇護のもと、やわらかな雪に触れることがあったということなのかな。 少 年 時私の上に降る雪は霙(みぞれ)のようでありました 子どものころ、幼いころ、近所を走り . . . 本文を読む
友だちの話のつづきです。今日は、いい友だちです。 私は、自分と一緒にいてくれる人だったら、みんな友だちに認定したいですし、友だちのランキングをつけるなんて、あまりしたくはありません。でも、心のどこかでしているのかもしれないな。 ジャイアンみたいに、手あたり次第「心の友」にしてしまうやり方、これは意外と尊いやり方なのかもしれません。みんな友だちであり、敵なんていない。相手に嫌がられようとも、友だち . . . 本文を読む
兼好さんが、友だちにするといい人と悪い人について語っています。 原則論であって、本当にとんでもないヤツなんだけど、許してしまうとか、とにかくその人のそばにいたいとか、いい悪いを飛び越える存在もあるとは思います。 とりあえず、エッセーだから、何か提案しないと始まらないから、提案してみました、ということになるのでしょうか。 友とするに悪き者、七つあり。一つには、(a )く、やんごとなき人。二 . . . 本文を読む