経済中心に書いてます!

趣味の範囲で…園芸・沖釣り・漢方・医食同源の投稿をします…業務はCX・225指数・FX Pro. …

17年12月の消費支出、前年比0.1%減 市場予想1.5%増

2018年01月30日 08時45分44秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL29HUE_Z20C18A1000000/?n_cid=TPRN0003

17年12月の消費支出、前年比0.1%減 市場予想1.5%増
経済・政治
2018/1/30 8:32

 総務省は30日発表した2017年12月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり32万2157円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.1%減少した。減少は3カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.5%増だった。季節調整して前月と比べると2.5%減だった。

 勤労者(サラリーマン)世帯の1世帯あたりの消費支出は35万2076となり、実質で前年同月比0.5%減少した。減少は3カ月ぶり。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

17年12月の完全失業率2.8% 前月比0.1ポイント上昇

2018年01月30日 08時44分54秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL30H49_Q8A130C1000000/?n_cid=TPRN0003

17年12月の完全失業率2.8% 前月比0.1ポイント上昇
経済・政治
2018/1/30 8:31

 総務省が30日発表した2017年12月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.8%で、前月比0.1ポイント上昇した。上昇は7カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.7%だった。

 完全失業者数(同)は186万人で、1万人増加した。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は1万人減、「自発的な離職」は4万人増だった。就業者数(同)は6551万人で7万人減少した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

NYの視点:米1月FOMC声明、より楽観的に傾斜か[FISCO]

2018年01月30日 08時29分02秒 | 市場動向チェックメモ
NYの視点:米1月FOMC声明、より楽観的に傾斜か[FISCO]

・米連邦準備制度理事会(FRB)は30-31日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。
・イエレン議長が率いる会合としては最後となる。

・FOMCは昨年12月に追加利上げに踏み切ったのち、今回の会合で金融政策を据え置く見込み。
・イエレン議長は度々、新議長となるパウエル氏への移行をスムースに行うことを目標にしていると述べていたことから、今回の会合は無難に終わるとの見方が大半だった。

・しかし、ここにきて、FOMCがよりタカ派に傾斜するのではとの見方も浮上。
・ゴールドマンサックスの米国チーフエコノミストのハチアス氏は、「われわれは声明が、全般的に楽観的になると予想している。

・リスクバランスが上方修正されるほか、インフレ判断も引き上げられる可能性があると見ている」とした。
・経済が急激に鈍化するような状況に陥らない限り、3月の利上げに向けた基礎固めをすると見ている。

・金利先物市場での利上げ確率は現行で94.5%と、ほぼ織り込み済み。
・米10年債利回りは2014年4月以降ほぼ4年ぶりの2.7%台に達した。

<CS>

金利上昇で揺らぐか適温の構図 米州総局 山下晃

2018年01月30日 07時31分16秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26296710Q8A130C1000000/?nf=1

金利上昇で揺らぐか適温の構図
米州総局 山下晃
北米 経済・政治ビジネス
2018/1/30 6:45

 29日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が前週末比で177ドル安で終わった。急ピッチの上昇にひとまずストップをかけたのは、世界的な長期金利の上昇(債券価格の下落)だ。

ECB=AP

 米長期金利の上昇を招いたのは欧州中央銀行(ECB)の金融政策を巡る市場の思惑だ。オランダ中銀のクノット総裁が資産購入終了を支持する発言をし、金融政策の正常化が早期に起こるとの観測が浮上した。

 欧州債券相場は一斉に下落し、独5年物国債利回りは約3年ぶりにプラス圏に浮上した。欧州金利の上昇につられ米長期金利は一時2.72%まで上昇し、3年9カ月ぶりの水準に達した。

 著名ヘッジファンド運用社のジェフリー・ガンドラック氏は年初から適温相場が崩れる米長期金利の目安として2.63%を掲げてきた。これはトランプ大統領が就任した後、同氏への政策期待感から債券が売られた場面(17年3月)でつけた金利水準だ。

 17年中はトランプ政権に対する期待感の後退や鈍い物価上昇が歯止め役となり米長期金利は低下。しかし、足元では減税効果とECBの金融政策の正常化に対する思惑で米国債は売られやすくなっている。

 ガンドラック氏が警戒していた水準は1週間前に抜けたが、米国株式相場は底堅く推移してきた。しかし、同様に米長期金利の上昇が株式相場の調整につながると指摘する声は多い。

 JPモルガンのストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏は2.75%を危険域だと見る。債券価値の下落で、リスク資産を売りに出す節目だと分析している。ゴールドマンサックスも昨年に2.75%が節目になるとの見通しを示していた。

 こうした水準が目前に迫っているものの、本格調整を懸念する声は大きくない。「新型iPhoneの販売不振が意識されたアップルと昨年までの株高による年金の調整売りだろう」。欧州系証券のストラテジストは「強気相場はまだまだ」と気にもとめない。

 米長期金利が上昇するとPER(株価収益率)など株式指標の割高感を許容できなくなり、株が下落するとのシナリオは見直しを求められつつあった。米減税効果を巡る楽観が強まっているためだ。「アナリストチームが税制改正の影響を見極めようとしている」。著名投資家のマリオ・ガベリ氏は減税効果が十分に織り込まれていないとの見方だ。

 29日に発表された米個人所得では17年通年の貯蓄率が3.4%と07年以来の低水準となった。賃金が上昇してこないと、消費の拡大余地も少なくなってきている。それでも「2月に個人が受け取る給料明細で減税効果を実感する。もう一段の株高が期待できる」(米ストラテジスト)と強気な声も漏れる。

 一方、「最近の急ピッチの株価上昇は続かないだろう。近く調整が起こる可能性は高い」と著名ストラテジストのボブ・ドール氏は警戒する。ゴールドマンの世界株担当、ピーター・オッペンハイマー氏は29日、「今後数カ月内に高い確率で調整が起こる」と指摘。強気に傾きすぎている状況を警告した。だが、調整が起これば買い場だという。ドール氏も「株式に弱気になれと言うにはまだ早い」と結論づけている。

 景気が良く金利が低い「適温相場」の構図がやや揺らいだが、強気ムードは維持されたままだ。(ニューヨーク=山下晃)

凸版、未来は「アジアの食品包装」で稼ぐ 証券部 須賀恭平

2018年01月30日 07時30分14秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26286240Z20C18A1000000/?nf=1

凸版、未来は「アジアの食品包装」で稼ぐ
証券部 須賀恭平
2018/1/30 5:30

 凸版印刷が第3の収益源育成に力を入れている。建材や食品包装材などを扱う生活産業だ。2017年にはアジア諸国で相次ぎ関連企業を買収し、成長する現地の包装材需要を取り込む。紙の印刷事業は縮小が止まらず、かつての稼ぎ頭だった電機は液晶や半導体などの市況に左右されやすい。安定した収益源立ち上げを急ぐ事情がある。

凸版は飲食料品などの包装材に力を入れる

 17年の凸版は生活産業で海外M&A(合併・買収)を進めた1年だった。4月にはインドの食品包装材会社、マックススペシャリティーフィルムズに34億円を投じ、株式の49%を取得した。同時期にはタイの総合包装材会社に伊藤忠商事と共同で10億円以上を出資し、株式の8%を保有した。インドネシアでも8月に現地の食品包装材会社カリヤ・ウィラ・インベスタマ・レスタリ(ジャカルタ)を約100億円で傘下に収めた。業績に本格的に寄与し始めるのは19年3月期以降になる。

 特殊な包装材は印刷会社が紙で培った技術を生かせる。アジア諸国・地域では経済成長や人口増で中間所得層が増えており、食品に対する品質や衛生に対する意識が高まっている。一度取引を始めると、比較的長期の受注につながりやすい事業上の特徴もあり、特殊な包装材の需要は今後さらに広がりそうだ。

 生活産業の業績は一連の買収前でも好調に伸びている。17年3月期の同事業は営業利益が248億円で、前の期と比べ72%増えた。利幅の大きい医療・医薬品向けの包装材が好調だった。18年3月期はさらに成長し、前期比17%増の290億円を見込む。

 稼ぐ力も高まり、全体の営業利益に生活産業が占める割合は15年3月期の17%が、わずか2年で31%まで上昇した。一方、主力の紙の印刷など情報コミュニケーション事業は73%から62%に減少した。市場では紙媒体の縮小が「一段と進んでいる」(国内証券アナリスト)との声が多く、成長には新たな収益源の確立が必要、との認識で一致している。

 紙に代わる収益源として、かつて凸版をけん引したのは液晶ディスプレー向けの部材などの電機事業だ。ただ価格下落で09年3月期の初の最終赤字に転落する一因になった。半導体製造で使うフォトマスク(回路原板)の製造販売も手掛け、現在は旺盛な需要に支えられて好調だが、市況次第で受注が大きく落ち込むリスクがある。

 株価は29日終値で1054円と17年6月につけた昨年来高値(1266円)から17%安い。18年3月期の全体の営業利益は前期比22%増の630億円を見込む。大口受注が想定より早く終了した影響で、17年11月に従来予想から70億円引き下げた。ある国内証券アナリストは「生活産業などの成長産業の伸びよりも紙媒体の縮小が加速し、収益環境の厳しさが株価の重荷になっている」と指摘する。

 生活産業にも落とし穴はある。印刷大手でライバルの大日本印刷は同じ生活産業の建材分野で損失を抱えた。住宅などの壁紙製品で不具合があり、17年4~9月期に修繕費などで535億円の損失を計上した。新規事業には不慣れな面が多く、何がリスクになるか分かりづらい。主力の減速を補う力に育てられるか。まずはM&Aの成果を示すことが株価浮揚の条件になりそうだ。

女性医師、働き続けやすく 育児での離職者を再研修

2018年01月30日 07時28分40秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO26119940V20C18A1TY5000?channel=DF130120166018&style=1&n_cid=DSTPCS001

女性医師、働き続けやすく 育児での離職者を再研修
2018/1/30 日本経済新聞 朝刊

東京女子医科大学病院の山口あけみ医師(東京都新宿区)
 遅れていた女性医師のキャリアと出産・育児との両立を後押しする動きが広がっている。20代では医師の3割超が女性になった。日本の医療を支えるために女性の活躍は不可欠で、復職支援や働き続けやすい環境づくりを進める。

 ◇   ◇   ◇

■東京女子医大 再研修―復職プロジェクト

 「この1、2年で症状が変わったことはありますか」。東京女子医科大学病院(東京・新宿)の総合診療科で1月上旬、山口あけみ医師(40)が精密検査に訪れた男性を診察していた。


指導医(左)と治療方針を相談する、育児休暇から復帰した東京女子医科大学病院の山口あけみ医師(東京都新宿区)
 山口さんは2017年秋、約10年間の専業主婦生活から、非常勤医師として医療現場に復帰した。同大学卒業後、付属の医療機関に勤めていたが、4年目に夫の仕事の都合で米国に引っ越すため離職した。現在4~10歳の2男2女を育てている。

 17年1月の帰国を機に、医師の仕事を通じて社会に役割を持ちたいと復帰を願ったものの、長く現場を離れ不安があった。「仕事を忘れているのでは」「ミスを起こしてしまったら」。後押ししたのが同大の女性医師再研修部門が提供する「再研修―復職プロジェクト」だった。

 原則3カ月で希望者の要望に沿った頻度、内容の研修をする。制度は06年度に始まり、結婚や育児などで医療現場から離れた女性医師が対象だ。卒業校は問わない。17年1月までに233人が相談し、96人が研修を受けた。休職していた相談者のうち75%が復職した。

 山口さんは子育てとの両立を考え週1度、総合診療科で研修した。指導医にアドバイスをもらいながら実際に診療をして「自分にもできる役割がある」と前向きになれたという。再研修部門の唐沢久美子部門長は「キャリアが多様化し、一旦離職する医師も増えた。復職したいときに相談できる人がいないことが課題。人材という宝を掘り起こす必要がある」と話す。



 厚生労働省によると医療機関で働く16年末の女性医師数は6万4305人で全体の21%。ただ男女比は年齢層が若いほど女性の割合が高く、29歳以下は35%、30代は31%を占める。20年前と比べると29歳以下も、全世代でみても8ポイント高くなった。

 日本医師会の今村定臣常任理事は「女性には妊娠・出産など男性と異なるライフステージがあるが、女性に働いてもらわなければ医療現場は立ちゆかなくなる」と指摘。医師会は厚労省から委託を受け、就業希望者に医療機関を無料で紹介する「女性医師バンク」をつくった。

■岡山大学病院 キャリア支援制度

 一方、08年から子育てや介護中の医師らに基本3年間の「キャリア支援制度」を提供するのが岡山大学病院(岡山市)。それまでの定員と別に応募医師を配置する。勤務時間や頻度が比較的自由になる。制度利用後は大学病院で常勤復帰したり、地域の病院に就職したり。希望者が増え、来年度からは受け入れ可能時間を増やす予定だ。

 働き方改革も進む。久留米大学病院(福岡県久留米市)は18年度、小児科のワークライフバランスを進める取り組みを、他科に紹介し広げる意向だ。

 ママさん医師が活躍中の小児科は13年末から土日にしっかり休めるよう体制を整備。休日にも主治医が担当患者の見回りやガーゼ交換をしていたのを、基本的に全て当直医が対応するよう変更した。入院患者らに対応する医師約20人の土日の平均勤務時間は、1日平均3.5時間から2.7時間に減少。患者から大きな不満はないという。

 キャリア支援を担当する一人、守屋普久子医師は「結婚出産を控える若手の女性医師が増える中、働き続けやすい環境作りが必要。大学病院で人材が不足すれば地域に医師を派遣できなくなる可能性もあり、地域医療に影響を及ぼしかねない」と話す。

総合メディカルが社内に設置した「JOY☆Working Team」(東京・大手町)
■総合メディカル モール設立、開業を支援

 働く場を自ら作ることで子育てとの両立を図ろうとする試みもある。医療コンサルティング大手の総合メディカルは開業を希望する女性医師向けに19年4月に複数のクリニックが集まる「女医モール」の開業を都内2カ所で目指す。社内に女性社員主体の「JOY☆Working Team」を設け、医師の募集や開業地の選定に当たる。将来は子育て中の女性がワークシェアできる体制の医療モール開設も目指す。

 保育園と小学校に通う3人の子を育てながら首都圏の病院に勤める40代女性医師は開業を検討中だ。同医師は「自宅近くで開業できれば、子どもの下校後にクリニックで宿題をさせるなど、そばにいられる」と話す。

 今は父母の力も借りながら午前8時半~午後5時半を定時として働くが、緊急時には突如の時間外勤務や深夜の対応が必要なことがある。いつまでこの生活を続けられるか不安を感じるそうだ。ただ、「これまで約20年キャリアを積んで来られたのは、大学や患者さんから多くの機会を与えられてきたから。医師として返し続けることが使命」と強調する。医療に携わり続ける気持ちは変わらない。

 ◇   ◇   ◇

■市民の安心感に直結 ~取材を終えて~

 どんな暮らしをしていても医師に全くお世話にならない人はいないだろう。安心して過ごせているのも、救急対応してくれる現在の医療のおかげだ。

 取材で医師はキャリア形成が難しいのだと知った。大学に6年通った後、研修を経て専門医の資格を取ると30代になることが多い。その間多くの症例を学び、専門医取得後も更新のための要件がある。岡山大学病院のキャリア支援制度は義務ではないものの、目安として「週4日」「週31時間」などと勤務時間を提示する。片岡仁美医師は「専門医取得のため週4日以上勤務などの条件がある場合が多い。キャリア形成のために推奨している」という。

 どの先生も医師としての使命感を語っていた。他職種からの転職ができない専門性の高い仕事だ。一方で育児中の働き方などへの支援制度のない病院が多いという。使命を果たそうと思える環境づくりが市民の安心感に直結するはずだ。

(定方美緒)

「6000万円の家が欲しい」 甘い見通し、破産への道 ゴールから逆算する家計改善メソッド(2)

2018年01月30日 07時27分17秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO25970390S8A120C1000000?channel=DF080720160379&style=1&n_cid=DSTPCS001

「6000万円の家が欲しい」 甘い見通し、破産への道
ゴールから逆算する家計改善メソッド(2)
2018/1/30

写真はイメージ=PIXTA
 目指すは収支盤石な「安泰家計」、しかし現実は日々のやりくりに四苦八苦――。そんな「お困り家計」でも、プロから見れば打つ手はある。本コラムでは、実際にあった家計相談を基に、金融ITに強いMILIZEがシミュレーションを用いて改善に必要な金額を逆算。ファイナンシャルプランナー(FP)の前田晃介氏が具体的な改善策を提案する。2回目は、年収850万円で6000万円のマンションを買っても大丈夫か?というアラフィフ家族の相談を見ていこう。
◇  ◇  ◇

 「ローンが組めるってことは、銀行が『この金額なら返せますよ』とお墨付きをくれたようなものですよね」。住宅購入の相談に訪れた会社員のCさん(47歳)は、あっけらかんとこう言いました。たまたま折り込みチラシで見た新築マンションを見学しにいったところ、気に入ってしまい「よし、買おう!」と乗り気になったとのことです。

 ただ、Cさんが気に入ったというマンションの価格は6000万円。貯蓄もさほど多くなく、ほぼフルローンに近い形での購入を考えているそうです。すっかりその気になっている夫に不安を覚えた妻のDさん(48歳)が、「念のため」とCさんを説き伏せて相談にやって来たのでした。

 「そこそこ稼いでるし、銀行もお墨付きをくれたし、買っても問題ないでしょう?」――そう話すCさん。ですが私(FPの前田晃介)は、「残念ですが、Cさんが6000万円のマンションを購入すると、あっという間に家計が破綻することになります」とお話しせざるを得ませんでした。

■ローン組めても6年後に破綻

 Cさんは専業主婦の妻Dさんと長男(12歳)の3人家族で、都内の湾岸エリアに住んでいます。年収は850万円で貯蓄は750万円ほど。新築マンションの頭金はゼロで、貯蓄から300万円ほどを諸費用に充てる予定とのことでした。

 Cさんは「職場の同僚は、みんな5000万~6000万円の家を買ったと言っている。中には7000万円という人もいた。だったら自分だって買えるだろう」と言います。さらに、「5年おきに車も買い替えたい。200万~300万円くらいのグレードなら大丈夫でしょう?」と上機嫌で話します。お子さんも私立の中高一貫校に合格したところで、将来は私立大学へ入れたいとのことでした。

 家計状況を聞いてみると、「それは全部、妻に任せています」とのこと。そこで妻のDさんに聞いてみると、家計簿をつけてきちんと収支をコントロールされているようでした。同程度の世帯収入の平均支出(総務省の家計調査を基にMILIZEが算出)と比べると住居費がやや高めですが、東京都内であれば仕方のないところ。全体的に節約家計で、月に3万2000円を貯蓄するなど、大きな問題はなさそうでした。


図1 Cさん夫婦の家計。住居費がやや高めだが、全体的には節約している。保険料には個人年金(3万円)の積み立て分を含む。ガソリン代は自動車関連費に含む
 とはいえ、6000万円のマンションを購入するとなると話は別です。現状の家計をベースに48歳でマンションを購入し、さらに5年おきに車を買い替えるとしてシミュレートするとどうなるのでしょうか。

 結果は……Cさんが54歳の時点で家計が赤字に転落してしまいます。最大の要因は、言うまでもなく住宅ローン。Cさんが48歳で購入したとすると、住宅ローンが組めるのは80歳までなので、借入期間は最大で32年になります。固定金利1.1%で借りたとすると、年間の返済額は234万円で、さらにマンションの管理費や修繕管理費なども加えると282万円、年収の33%に達します。お子さんが大学を卒業するまでの間は、毎年35万~87万円もの赤字が発生。さらに、5年ごとの車の買い替え費用(下取りを50万~100万円として追加で200万円を負担)がとどめとなり、あっという間に家計が破綻してしまうのです。


図2 Cさん夫妻が6000万円のマンションを購入した場合の生涯資産シミュレーション結果。車も保有し、5年ごとに買い替える前提で試算すると、54歳の時点で赤字に転落して家計が破綻する
 この結果をお伝えすると、Cさんは「えっ、計算間違ってませんか? 本当ですか?」と、にわかには信じられない様子。一方で妻のDさんは「やっぱり……」と、少しほっとした表情を見せました。

 年齢や頭金にもよりますが、住宅ローンの借り入れ金額の目安は、年収の5倍程度までと言われます。Cさんの場合は年収が850万円ですから、借りてもいい金額は4250万円前後と見込めます。他方、金融機関が「借してくれる」金額はもっと多く、年収の8倍までなら審査を通ることが多いようです。このためCさんに対しても、6000万円のローンなら問題ないと判断されたのでしょう。とはいえ、借りられる金額と返せる金額は異なります。「銀行がお墨付きをくれた」などと考えて甘い返済計画を立てると、家計はあっという間に回らなくなるのです。

■予算を4000万円に引き下げる

 やや放心状態のCさんでしたが、次第に状況がのみ込めてきたようです。そこで改めて、Cさん夫妻とともに、想定する「ゴール」を考えることにしました。具体的には、(1)無理をしてでも6000万円の新築マンションを買う(2)予算を4000万円程度に引き下げて物件を探す(3)現状のまま賃貸で暮らす――の3つから、Cさん夫妻にとって最も理想に近いゴールを選んでもらうことにしました。

 お話ししてみると、6000万円の新築マンションにさほど大きなこだわりはないようです。「たまたまポストに入っていたチラシを見たのがきっかけ。新築だし立地もいいけれど、そのために生活を切り詰めるまではしたくない」とCさん。一方で、家を買いたいという思い自体は強いようでした。「若い頃から『いつかは自分の城を』と思い続けてきた。年齢も年齢だし、ローンの金利が低いうちに手に入れたい」と話します。妻のDさんもこれに異存はないようでした。

 そこで今回のゴールは(2)の「予算を4000万円程度に引き下げて物件を探す」に設定しました。また、話を聞くうちに、マンションにこだわりはないこともわかってきたので、一戸建ても視野に入れて物件を探してもらうことにしました。マンションの場合、住宅ローンの支払いとは別に修繕積立金や管理費が月平均で3万円ほどかかります。一戸建ても外壁や屋根の塗装などの費用を自分で積み立てていく必要がありますが、管理費に相当する部分は不要です。物件価格が同じなら、月々の支払いを抑えられる可能性が高いのです。

 ただし、現在Cさん夫妻が住んでいるエリアには一戸建ての物件が少なく、あっても価格が高いという問題がありました。これについては、「特に今の場所にこだわりはないので、エリアを広げて探してみることにします」とCさん。新築にこだわらず、中古物件も含めて探してみようという話になりました。

 同時に、もう一つのゴールともいえる「車の保有」についても考えてもらいました。実はCさん、車にはそれほど思い入れがあるわけではなく、週末に買い物に出かける程度にしか使っていないとのこと。「なくても困らないけれど、あれば便利だしなあ……」とCさん。妻のDさんも、雨の日に子供を送迎することがあり、あればやっぱり便利かなという意見でした。

 ならばいっそ手放すという考えもありますが、最終的にCさんは車を保有し続けることにしました。車を保有し続けるコストとメリットを比較してみて、現時点では保有し続けた方がいいだろうとの判断したのです。これに伴い、これから探す物件は駐車場付きの一戸建てに絞ることにしました。駐車場代がかからなければ、車の維持費を大きく下げられるからです。「それでも家計が厳しくなったら、車は手放します」とCさん。5年という買い替えサイクルや購入予算(200万円)も、その時々の家計の状況に応じて柔軟に見直すことにしました。

■家を購入すると老後に余裕も

 これらの条件を前提にシミュレートしたのが下の図です。借入金額は約4000万円(固定金利1.1%)で返済期間は32年。月々の返済額は13万3500円となります(シミュレーションの都合上、諸費用320万円を借入金額に上乗せして計算)。このほかに固定資産税が年12万円かかると想定し、住居費は月14万3500円(年172万2000円)としました。これはCさんの年収の20%に相当します。Cさんは雇用延長で65歳まで働き、退職時に住宅ローンの残債を一括返済するものとしました。65歳時点でのローン残債は2340万円で、借り入れ金額の54%が残っていることになります。それでも、これまでの貯蓄と退職金(900万円)、および個人年金の一部(736万円を一括受取)がありますので、一括返済後も1700万円強の資産が残る計算です。


図3 4000万円の一戸建てを購入した場合の金融資産の推移。車を保有し5年ごとに買い替えるとした。90歳時点での金融資産は1755万円
 他方、車に関してはひとまずCさんの希望通り、5年おきに200万円を投じて買い替えるものとしました(Cさんが74歳の年まで)。これに伴い、車を購入する年は現役時代でも140万~165万円の赤字が出ますが、貯蓄で十分カバーできる結果となっています。

 現在、Cさん夫妻は家賃と駐車場代の合計で月15万円を支払っています。これが住宅購入後は14万4000円に下がるうえ、住宅ローン控除により10年間は最大で月3万3333円(年40万円)が所得税や住民税から控除されます。結果として手取りが増え、合計3万9000円が家計にプラスされますので、これまでの貯蓄額と合わせて、月に7万1000円(年85万2000円)を貯蓄に回すことにしました。

図4 4000万円の一戸建てを購入した場合のCさん夫妻の家計の変化。賃貸に住んでいた頃と比べると、住居関連費が月6000円下がる上、住宅ローン控除で月の手取りが実質3万3333円増える。これにより月の貯蓄額を3万9000円増やせる
 この資金は本来、住宅ローンの返済に回すべきお金と考えるべきものかもしれません。ですが、お子さんの今後の教育費や不測の支出に備えるためには、手元にある程度まとまった現金を用意しておく必要があります。最低でも1年分の生活費は手元に確保しつつ、今後必要となる教育費やリフォーム費用もためていくべきでしょう。ローンという負の資産を一刻も早く減らそうと繰り上げ返済を急ぐ人も少なくありませんが、手元のキャッシュを減らしすぎるのは得策ではありません。

 Cさん夫妻のケースでは、住宅を購入することで老後資金が増える結果となりました。賃貸に住み続けた場合、90歳時点での金融資産は422万円にとどまりますが、4000万円の住宅を購入した場合は1755万円が残る計算になります。もっとも、シミュレーションの前提条件次第で結果は大きく変わるため、あくまで参考程度にお考えください。

◇  ◇  ◇

 相談から数カ月後、Cさんから電話がかかってきました。「東京の北部エリアに、希望に合った築浅の一戸建てを見つけました。価格も4000万円程度と想定通りで、さっそく購入を決めました」とCさん。妻のDさんが平日に物件を探し、休日に夫婦で見て回って物件を絞り込んでいったとのことです。「住宅ローンのことを考えるとちょっと気が重いですが、心機一転、家族と『自分の城』のために頑張って働きますよ」とCさんは明るく話していました。

前田晃介
 株式会社マネープランナーズ代表取締役。不動産賃貸管理業を経て、ファイナンシャルプランナーに転身。独立系FP会社でライフプランニング、資産運用、不動産購入等のコンサルティング業務に従事したのちマネープランナーズを設立。年間100件以上の個別相談を受ける。CFP、1級FP技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者。
MILIZE(協力)
 金融機関向けのソフトウエア開発やコンサルティング業務を手掛けるほか、個人向けの人生シミュレーションプラットフォーム「MILIZE」(https://milize.com/)を提供。給与や生活費のデータを入力すれば、現時点の生活費などの診断に加えて、将来の収支予測なども提示する。2017年11月に社名をAFGからMILIZE(ミライズ)に改称。
(マネー研究所 川崎慎介)

「給食のおばちゃん」の主婦 52歳からスピード出世 Waris(ワリス)ワークアゲイン戦略顧問 薄井シンシアさん(上)

2018年01月30日 07時24分18秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO26081040U8A120C1000000?channel=DF180320167075&style=1&n_cid=DSTPCS001

「給食のおばちゃん」の主婦 52歳からスピード出世
Waris(ワリス)ワークアゲイン戦略顧問 薄井シンシアさん(上)
2018/1/30

専業主婦から転じてANAインターコンチネンタルホテル東京の副支配人になった経験を持つ薄井シンシアさん(Waris提供、工藤朋子撮影)
 キャリアはハシゴではなく、ジャングルジムである――。米フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)の言葉だ。出世の道はかつて直線的なはしごのようだと思われていたが、様々なルートを通じて高みを目指すジャングルジムのようなものへと変わりつつある。そんなキャリアを体現する一人が薄井シンシアさんだ。娘の大学進学を機に専業主婦をやめて働き始め、「給食のおばちゃん」や「電話受付のアルバイト」などを経て、勤続3年で高級ホテルの副支配人にスピード出世した。現在は専業主婦の再就職を後押しするなどマルチな活動を展開している彼女のエネルギーの源は?

◇  ◇  ◇

 ほんの数年前まで専業主婦でした。出産を機に離職してから17年間、私の履歴書は空白でした。

 2011年7月に52歳で日本に帰国し、最初につかんだ仕事は時給1300円のアルバイト。それが高級ホテルの仕事につながり、勤続3年で副支配人にもなりました。別のラグジュアリーホテルでの勤務を経て、18年1月からは日本コカ・コーラの「東京2020オリンピック ホスピタリティ」担当として働いています。

 そればかりではありません。17年11月には、女性の再就職を支援する「Waris(ワリス)ワークアゲイン」事業の戦略顧問にも就任。私と同じように、働きたい専業主婦を後押しする活動もしています。18年3月からはニューヨーク大学プロフェッショナル教育東京で、観光・ホテル業界に再就職したい専業主婦向けの講座も担当する予定です。

 私がなぜ、ほんの数年間でこんなキャリアをつかむことができたのか――。そのコツをこれからお話します。

■最初に就いた仕事は時給1300円のアルバイト

 50歳を超えた私が日本で働くには大きく分けて2つの壁を乗り越える必要がありました。1つは「社会の壁」。暗に存在する年齢制限やキャリアブランク、専業主婦への偏見です。

 日本語も英語も得意だった私は当初、外資系企業を中心に職探しをしましたが、どこも門前払い。日本に進出するカフェの店員にも申し込みましたが、それも門前払いされてしまいました。ようやく見つけたのは、ある高級会員制クラブの電話受付。時給1300円のアルバイトでした。

 若い頃にバリバリ働いていた人ほど、「時給制のアルバイトで働くなんて嫌だ」と思うでしょう。私も47歳の時、娘が通っていたバンコクのインターナショナルスクールのカフェテリアで時給制の「給食のおばちゃん」として働き始めた際には、「どうして?」と娘に聞かれました。

 入り口はなんでも良かったのです。とにかく働き始めさえすれば、次のステップに進む道はあると思っていました。

 英語でこんなことわざがあるのを知っていますか? 「人生があなたにレモンを与えるなら、それでレモネードを作りなさい」。どんなレモンでも、しぼりようによってはおいしいジュースに変えられる。最初に得る仕事は確かに酸っぱいレモンのようかもしれないけれど、それをおいしいジュースに変えられるかどうかは自分次第ということです。専業主婦をやめて働き始めたときから、私は「どんなに酸っぱいレモンでも、絶対においしいジュースに変えてやる」と思っていました。

■働き始めた理由は「娘のため」

 なぜそこまで本気になったのかと不思議に思うでしょうか。それは娘のためです。フィリピン華僑の家に生まれた私は国費留学生として20歳で来日。東京外国語大学を卒業した後、貿易会社に就職し、27歳で現在の夫と結婚して日本国籍を取得しました。


30歳で娘を出産し、勤務していた広告会社を辞めた(Waris提供、工藤朋子撮影)
 夫は外務省に勤務しています。こう言うと「コネがあっていいわね」と思われがちですが、そんなことはまったくありません。夫の立場を考えれば、「仕事を紹介してください」などと軽々しく口にできるはずもない。海外赴任の多い夫に帯同し、5カ国で暮らしましたが、私自身の生活はどこにでもいる「公務員の妻」でした。

 娘を出産したのは、広告会社に勤務していた30歳の時です。20代の頃は、出産後、自分が仕事を辞めるなんてみじんも思ってはいなかった。でも、娘が生まれてすぐに気がつきました。何でも全力で取り組まないと気が済まない私の性格では、仕事と家庭の両立はとても無理だと。

 17年間、私と一緒に過ごした娘は米ハーバード・カレッジに進学。卒業して外資系金融機関の日本法人に勤務しましたが、その後、ハーバード・ロースクールに入り、弁護士資格を得て、現在は米マサチューセッツ州最高裁長官の下で働いています。

 専業主婦としての自分に自信を持たせてくれたのは娘の存在です。彼女はハーバード、イェール、プリンストンという米名門大学のすべてに学費免除で合格するほど勉強が得意でしたが、私は「勉強しなさい」と強要したことはありません。ある時、「どうすれば娘さんのような頭のいい子が育つのか」と聞かれ、娘は私に代わってこう答えました。「ママは私をハーバードに入れようと思って育てたのではなく、きちんとした人間に育てようと思った。それがたまたまハーバードに通用しただけです」。

 娘は小さい頃から本好きで、私は娘が欲しがる本を惜しみなく与えました。読み終わるといつも、彼女はそのストーリーを私に話して聞かせてくれました。高校生になると、帰宅するなり、その日受けた授業の内容をすべて私に説明してくれた。

 大学時代、娘は2冊しか本を買わずに、授業に必要な本はほとんど図書館で読んでいましたが、「ママに話さなくちゃいけないものだと思って読んでいるから、頭の中がすごく整理されていいの」と言っていました。

 子どもは日々、成長します。こちらも負けずに成長しないと、すぐに会話がなくなってしまう。私はいつまでも娘と会話をしたかったから、彼女に置いていかれないよう、必死で勉強しました。わからないことがあると、いつも娘と一緒にインターネットで調べていたのです。

 私は自分ができないことを娘に「やれ」と言いたくはありません。今後、彼女に子どもができて、私のように専業主婦になりたいと思ったとき、それが決してキャリアの終わりではないとわかってほしかった。そのためにはまず私自身がいくつになっても、専業主婦からでもキャリアを築けることを証明して見せることだと思いました。ママにもできたのだから、あなたならもっと簡単にできる――。娘にそう伝えたかったのです。

 専業主婦が働き始めるのは簡単なことではありませんでした。「社会の壁」に続く2つめの壁は、自分自身の心の中にありました。プライドを持つことは大事ですが、時にそのプライドが足かせとなり、新たなスタートを切れないことがあります。11年11月、ようやく得た会員制クラブの電話受付を始めたばかりの頃、私もそんなプライドと格闘しました。


人生経験を評価したホテル総支配人がキャリアの扉を開いてくれた(Waris提供、工藤朋子撮影)
 最初のうちは、決まった席さえもらえませんでした。毎日、自分の荷物を箱に詰め、休みの人の席へと移動しました。わからないことを何でも質問していたら、周りの人にしつこい奴だと思われ、迷惑がられました。電話の声がうまく聞き取れず、「電話の応対もまともにできないのか!」と嫌みを言われたこともあります。

 そのたびに悔しくて、言い返したい気持ちになりましたが、ここでけんかをしたら負けです。ぐっと我慢をし、批判は批判として素直に受け止め、どう改善できるのかを考えました。

■子ども向けの誕生会を成功させ、チャンスをつかんだ

 ブレークスルーのきっかけは、みなが嫌がる仕事を率先して引き受けたことです。会員制クラブには「子どもの誕生会をしてほしい」という依頼がたくさん舞い込んできました。面倒くさがって誰も担当したがらないこの仕事を、私は喜んで引き受けることにしました。専業主婦は、ある意味、誕生会運営のエキスパートです。子どもたちが何を喜ぶかを考え、パーティーを企画するのは大得意でした。

 ケーキを焼いてもらったり、風船アーティストやマジシャンを手配したり。担当した誕生会は大好評で、ますます依頼が殺到しましたが、スタッフには不評でした。というのも、子ども向けの料理は単価が安く、誕生会は手間がかかります。「面倒な仕事ばかり受けてきて」と文句を言い出す厨房スタッフもいたため、その人たちが面倒くさくならないよう、ハンバーガーにちょっとしたソーセージやフレンチフライが付く誕生会向けのメニューを考えるなど、パッケージを作って対応しました。

 そうして工夫を凝らしていたら、ある日、予想もしなかったほど大きな仕事が舞い込んできました。誕生会のお客様から、「うちの会社の懇親会をここで開きたいから、シンシアさん、担当してくれ」と言われたのです。

 私の立場はアルバイトでしたから、「なぜ、あなたが?」と不満げなスタッフもいましたが、お客様の指名なので文句は言えません。その懇親会を成功させたのをきっかけに、さらに多くのお客様から依頼を受けるようになり、ついには12年のクリスマス。クラブで開催されるすべての宴会スケジュールを、私の担当で埋め尽くすことができました。

 「これだけの実績をあげたのだから契約社員になれるだろう」。そう思って交渉に臨んだのですが、クラブの回答は「時給を100円アップします」というもの。元専業主婦がステップアップするのは、そう簡単ではなかったのです。

■52歳元専業主婦の可能性に賭けてくれた上司

 日本では多くの場合、「専業主婦」は「新入社員」以下です。若さもなければ、経験もない。そのうえ、扱いにくい。企業が採用したがらない理由もよくわかります。しかし、「専業主婦だから無理」と女性がキャリアを諦めてしまうのも、「専業主婦は使いにくい」と企業側が決めつけることも、社会にとっては大きな損失だと思います。

 私にとって会員制クラブはあくまで始まりに過ぎませんでした。その仕事にこだわる理由は何もなかった。契約社員になれないとわかった時点で、すぐに次のステップを探し始めました。

 「うちで働いてみないか?」と誘ってくれたのは、バンコク(タイ)から東京に赴任してきたばかりのANAインターコンチネンタルホテル東京の総支配人でした。彼はカナダ人で、バンコクでは2人のお嬢さんが私の働くカフェテリアに通っていました。私は「給食のおばちゃん」として子どもたちに食事指導をしていましたから、彼は娘さんを通じて私のことをよく知っていて、東京に赴任したのをきっかけに声をかけてくれたのです。

 彼は過去の実績ではなく、私の人生経験を見ていました。5カ国に滞在した経験もあるのだから、英語もできる。異文化のこともよく知っている。カフェテリアをマネージした経験があれば、ホテルの仕事もできるはず――。つまりは、52歳元専業主婦の可能性に賭けてくれたのです。

 13年3月、私は会員制クラブの仕事を辞め、ANAインターコンチネンタルホテルに契約社員として入社しました。ホテルに勤務している間、要人相手の宿泊セールスとして、1億円を超える案件も手がけました。社内の人手不足を解消するため、友人の専業主婦を何人も職場に引き込み、キャリアを再スタートさせました。現在に至る、日本での「出世」はここから加速しました。

(ライター 曲沼美恵)

[FT]最低所得保障を試すフィンランド、経過はいかに

2018年01月30日 07時21分22秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26264330Z20C18A1000000/?n_cid=DSTPCS001

[FT]最低所得保障を試すフィンランド、経過はいかに
ヨーロッパ FT
(1/2ページ)2018/1/30 6:50

Financial Times

 シーニ・マルチネンさん(35)はフィンランド政府からタダのお金を受け取る前、失業手当を失わずにどれだけ働けるか、細心の注意を払って計算しなければならなかった。

ベーシック・インカムの実験対象となった人は失業手当の代わりに月間560ユーロの基本所得を得る

 コンサルタントのマルチネンさんは、超過分について1ユーロ当たり50セント課税される前に、月に約300ユーロ稼ぐことができた。「お金を一番多く手に入れる最善の戦略を立てるのに、ずいぶん時間をかけていました」と言う。

■失業手当の代わりに月560ユーロ

 だが、首都ヘルシンキに住む彼女は昨年初めに、本人いわく「宝くじを当てた」。世界一有名な「ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI、全国民向けの最低所得保障)」の実験に参加するためにフィンランド全土から無作為に選ばれた2000人の失業者の一人になったのだ。

 税引き後で約500ユーロになる失業手当を受け取る代わりに、今では月間560ユーロの基本所得を得ている。このお金は無条件で、どれだけ仕事を見つけようと関係なく、返さなくていいものだ。

 「もう本当に完璧ですよ。基本所得を得られたから、自分で起業できました」とマルチネンさんは話している。

 フィンランドの2年間の実験は中間地点に達した段階で、すでに各種給付の官僚主義の要件を緩和することで参加者のストレス軽減に貢献している断片的な証拠がある。だが、実験そのものについて、そしてUBIが機能する現実的な事例となるかどうかについては疑念も強まっている。

 「我々はフィンランドで導入できる特定のモデルを試しているわけではない。それには遠く及ばない。だが、目標に一歩は近づいた」。実験に深く関与している首相官邸の専門家、マルクス・カネルバ氏はこう話す。

 お金をタダで市民に与えるという考えには長い伝統があり、米公民権運動の黒人指導者、マーティン・ルーサー・キング牧師から米経済学者ミルトン・フリードマン氏などに支持されてきた。もっと最近では、米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)や米テスラのイーロン・マスクCEOといったハイテク業界の新たな巨人によって、この考えが吹聴されてきた。

 フィンランドの中道右派政権は、無作為に選ばれた実験でさまざまな社会政策を試せるようにする新たな枠組みの下でUBIの実験を開始した。カネルバ氏によれば、その目標はフィンランドを「2020年までに最も革新的で実験に適した国」にすることだ。

 だが、UBIの実験は慌ただしく立ち上げられた。一つには、19年に予定されている議会選挙の前に結果が出るようにするためだ。

 フィンランド労働組合中央組織(SAK)のチーフエコノミスト、イルッカ・カウコランタ氏は実験に懐疑的だ。労組は、失業手当の給付条件――給付を受ける人は仕事を探さねばならないという要件――を取り除くと、福祉制度を損ねてしまい、給付削減につながると考えている。「条件付きのセーフティーネットは、高水準の給付と高水準の雇用を組み合わせる唯一の方法だ」と同氏は言う。

■新規事業を試したい人に適している?

 さらに、試されているUBIのモデルを実行に移すと、財政赤字が5%増加すると付け加える。というのも、実験には課税の変更が含まれておらず、参加者は仕事でいくら稼ごうと関係なく560ユーロもらえるからだ。

 その一例が、ミカ・ルーズネンさん(47)だ。フィンランド南部タンペレの元パン職人のルーズネンさんは1年以上にわたって失業し、その間、IT(情報技術)の再訓練を受けていた。実験に参加することが知らされる数日前に働き口が見つかり、13カ月たった今もその仕事に就いている。

 「これはただ、自分の稼ぎに加えて余計にもらえるお金ですよ」。こう話すルーズネンさんは、基本所得の仕組みは、広い意味での失業者全般ではなく、新規事業のアイデアを持った人に一番適していると考えている。

 ユハ・ヤルビネンさん(39)は、それが事実かもしれない理由を体現している。フィンランド西部の田舎に住む6児の父のヤルビネンさんは、自分で事業を立ち上げたかったが、副業所得を制限する規則に縛られているように感じていた。それが基本所得のおかげで、動画ビジネスを始めるリスクを取れたのだという。

 「最大の変化は気持ちの持ちようです。ついに、自分にできることは自分次第であることを意味したんですから。以前、手当があった頃は、雇用当局の管理が厳しすぎた。これとこれとこれをやらなければならないと言われるんです」とヤルビネンさん。

 実験参加者からよく聞かれるのは、官僚主義のせいで仕事を見つける気にならないという話だった。「大きなインパクトはお金ではなく、心理的なものだった。お金の面では実験は状況を大きく変えないけれど、官僚主義が変わるし、仕事を請け負うのが容易になります」とマルチネンさんは言う。

 実験への参加、不参加を問わず、多くの人が今、UBIに対する政府の熱意が冷めたとみている。実験に選ばれた失業者のタイプから参加者が受け取る金額まで、すべてのことについて不平不満が出ている。参加者は、実験には欠点があり、試されている通りに実行できないことを認めている。だが、ルーズネンさんは、実験を行っているという事実だけでも有益だったと話している。

By Richard Milne in Helsinki

(2018年1月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2018. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

混迷の日韓関係、処方箋は?(創論) 姜昌一氏/小此木政夫氏

2018年01月30日 07時19分29秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO26275180Z20C18A1TCR000/?n_cid=DSTPCS001

混迷の日韓関係、処方箋は?(創論) 姜昌一氏/小此木政夫氏
時論・創論・複眼
2018/1/30付

慰安婦問題を巡る15年の日韓合意が揺らぐ(ソウル)=共同

 日韓関係が再び難路に入り込んでいる。文在寅(ムン・ジェイン)政権は「未来志向の韓日関係」をうたう一方、2015年の日韓合意では「従軍慰安婦問題を解決できない」と表明。慰安婦を象徴する少女像設置は韓国内外に広がる。北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の台頭が東アジア情勢に影を落とすなか、日韓の混迷脱出に処方箋はあるか。韓国の姜昌一・韓日議員連盟会長と小此木政夫慶応大名誉教授に聞いた。

◇  ◇

■文氏のジレンマ 理解を 韓日議員連盟会長 姜昌一氏

カン・チャンイル 日韓関係史の学者出身。与党「共に民主党」所属。著書に「近代日本の朝鮮侵略と大アジア主義」。66歳。

 ――慰安婦合意は日韓間の正式な合意です。文大統領は再交渉を求めないとしつつ、「重大な欠陥がある」と守る意思を示していません。

 「我々は安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の2人の間の合意にすぎず、国家間の合意とはみなさないと主張してきた。合意には手続きと内容に様々な問題点があることが確認された。どの国の政府も個人の請求権は放棄することができないのに、そこに立ち入り、被害者たちの同意を得ていない。日本でも韓国でも国会は同意しておらず、法的拘束力がない」

 「政府は継続性をもっており、政府間合意を破棄はできない。それで中途半端な発言になった。国内問題だけを考えれば感情的には破棄したいが、韓日は北朝鮮の核・ミサイル挑発に直面する運命共同体。合意破棄で関係を壊すことはできなかった。文大統領が話したのは、韓国国民や全世界の人たちが理解できるよう自発的に心を込めて立場を表明して下さいという日本へのお願いだ。文政権のジレンマを日本は理解してほしい」

 ――日韓合意では慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認しています。

 「韓国側が当初主張したのは『最終的かつ不可逆的な反省と謝罪』だ。日本政府は歴史問題について何度も反省する、謝罪すると言っておきながら、政権が代わると継承しなかった。合意文にも日本政府が責任を痛感し、安倍首相がおわびと反省の気持ちを表明するとあるが、その後の日本政府に謝罪や反省の姿勢はみえない。安倍氏の国会答弁などを聞くと韓国国民は日本には真心がないと感じる」

 ――ソウルや釜山の日本公館前に市民団体が設置した慰安婦少女像は、日本の対韓感情を悪化させています。

 「私個人は日本公館前に置くのは国際儀礼上問題があると思うが、強制撤去は難しい。ソウルの像はすでに歴史的な遺跡になっており(撤去・移転は)簡単ではない。釜山の像は日本の観光客が多く訪ねる公園や埠頭に設置するのがよいと思うときもある」

 ――日本には韓国が対北朝鮮の制裁包囲網から離脱するのではとの懸念があります。

 「韓国国民はむしろ日本が北朝鮮問題を軍事大国化に利用しないか懸念する。日米はアジアや世界の平和という大きな観点で問題を解決する意思と努力をみせてほしい」

 ――政治対立の半面、日韓経済は相互依存が強まっています。相手国の文化にひかれる若者もたくさんいます。

 「韓日間には(豊臣秀吉が朝鮮に出兵した)文禄・慶長の役や1910年の韓国併合があったが、ドイツやフランス、英国が数十年ごとに戦争していたのに対し、我々は互いの文化を伝えたり、学んだりしてきた。経済や文化のつながりが深く、民間交流も多いのに、政治家が相手国を利用し両国関係を悪化させた。悪口を言い人気を上げる近視眼的な政治行為ではなく、大きな歴史をみながら韓日関係を考えなければならない」

 ――保守派の安倍氏と進歩(革新)派の文氏という組み合わせをどうみますか。

 「韓国は進歩と保守の区別が難しいが、外交は国益第一に考える。経済は大企業中心の保守と、庶民中心の進歩で違う。安倍氏には日本一国主義を超え、アジア全体をみた寛容な姿勢を望みたい」

 ――歴史認識の違いを抱えながら、日韓はどう付き合っていくべきでしょうか。

 「3路線が必要だ。国の最も大きな役割は政治、外交と安全保障。経済や文化交流は民間が担うもので、すでに緊密だ。歴史問題は市民社会団体が中心になっている。朴前政権の対日政策が失敗したのは、3つをすべて国がやろうとしたため。核・ミサイル問題は国の最重要領域で、そのため(両首脳間の)シャトル外交も進めるべきだ」

 「韓日共に『易地思之』(相手の立場で考えること)の成熟した姿をみせる必要がある。今年は金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相の日韓共同宣言から20周年で、新宣言を両国政府に要請しようと考えている。(日韓議連会長の)額賀(福志郎)先生も大賛成してくれた」(聞き手は峯岸博)

◇  ◇

■「歴史問題」分離は画期的 慶応大名誉教授 小此木政夫氏

おこのぎ・まさお 朝鮮半島政治を研究。現代韓国朝鮮学会会長、慶応大法学部長などを歴任した。72歳。

 ――日韓慰安婦合意を守ろうとしない文政権の態度を巡り、日本国内では批判の声も上がっています。

 「韓国の慰安婦支援団体はきわめて原理主義的で、政府間の合意順守より合意内容の正しさの点検に熱中している。(前政権を罷免に追い込んだ)ろうそく集会から誕生した文政権は、そうした運動団体に対して融和的にならざるを得ず、これで収まるかは予断を許さない。日本側が違和感を持つのは当然だ」

 「文政権は歴史問題と日韓の未来の関係を分離して努力する『ツートラック』を掲げている。過去について論争しないわけではないが、将来とはなるべく切り離し、未来に向けた関係をつくろうとしている。日本も、韓国が合意を順守するかどうかの問題と、日韓の未来関係は別のものととらえた方がいいだろう」

 ――南北対話も動き出しています。日本への影響は。

 「今回の南北対話は緊急避難的な印象を受ける。北朝鮮を巡って緊張が高まるなかで(米朝の)武力衝突を避けねばならないという懸念が南北で共有されている。北朝鮮はまず韓国から始め、今秋の米国の中間選挙前までに米朝対話を目指す『先南後米』の姿勢だ。米国との対話に必要なら南北首脳会談をしてもいい、と考えているだろう」

 「今回の南北対話は日本に直接関係がないとみる人も多い。しかし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、米国を対話の席に引っ張り出すために韓国との対話だけでは不満なはずだ。北朝鮮は切り札として日朝交渉を持ちかけてくる可能性もある」

 ――領土問題や歴史問題を抱える日韓関係は現政権下でどうなっていくでしょう。

 「日韓双方が満足するような関係ができるのは簡単ではない。しかし、文政権がツートラック方式を掲げているのは画期的なことだ。朴槿恵(パク・クネ)前政権の対日外交の失敗から学んだ教訓であり、前政権との差別化政策でもある。1998年に当時の金大中大統領と小渕恵三首相が緊密な友好関係を掲げて署名した日韓共同宣言の意義を再評価しているのもそのためだ。今年は共同宣言から20周年だ。文政権の掲げるツートラックが可能ならば、日本にとっても良いことだろう」

 「韓国と北朝鮮は分断国家だということを念頭に置くべきだ。東西ドイツや南北ベトナムもそうだったが、北朝鮮と韓国、どちらの政権が正当なのか論争は続いている。たとえば文氏が(日本の植民地時代に朝鮮半島出身者の独立運動の拠点だった)中国・重慶の大韓民国臨時政府を視察すると、歴史を掘り起こして日本を批判していると考えがちだ。だがこうしたパフォーマンスは、韓国の歴史の正当性を主張するために北に向けられたものだ。歴史問題や領土問題は、韓国が日本に少しでも譲歩すれば北朝鮮から痛烈に批判される」

 ――中国の台頭は日韓関係に影響するでしょうか。

 「中韓関係はまだ形成途上だ。朴前政権は中国傾斜と批判されたことがあった。しかし中国側は、韓国が米国との同盟関係を捨ててまで中国に肩入れすることはない、と見切っている面がある。中国が平昌冬季五輪に派遣するのは共産党序列7位の韓正氏といわれているが、こうした点にも中国の考えが表れている」

 「ただ、経済関係は密接であり、中国はそれをてこに韓国に影響を及ぼそうとするだろう。韓国も中国リスクに気づき、(生産拠点の中国一極集中を避ける)チャイナプラスワンの動きが出ている。中国経済の存在は大きく、韓国外交にとって、米国の次に重要な国は中国だ。残念だが今後、日本が中国より注目されることはないだろう」

 ――歴史問題などで対立する一方、昨年の訪日客は韓国が中国に次いで2位です。

 「韓国は儒教の伝統から論争好きだが、基本的に議論と好悪の感情は無関係だ。世論調査があれば公式の態度として『歴史問題も領土問題もある』と否定的に出るが、決して日本嫌いではない。国家間で論争があるから観光客が来なくなるという論理は、韓国人には理解できないだろう」(聞き手は松本史)

■〈聞き手から〉先を見据えて率直な外交を

 韓国の文政権にとって慰安婦問題は「国内問題」の要素が大きい。朴前政権の排他性や密室性を糾弾するうえで、日韓合意が格好の標的になっている。その振る舞いが外交にどうインパクトを与え、韓国から日本人観光客の足を遠のかせているかを自覚していない。国際感覚に欠ける言動は常に日韓関係のリスクだ。

 それでも文政権がツートラック(2路線)方式の対日政策を掲げているのは「画期的だ」と小此木氏は注目する。日本に「外交戦争も辞さない」と威嚇した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権や朴政権と比べ、過去を外交舞台から切り離し、日本と未来に向けた関係を築こうとしている。

 歴史学者の姜氏は、数千年単位でみれば日韓ほど仲良く暮らしてきた隣人は世界でも珍しいと話す。経済や文化は民間レベルで深く結びついている。日韓の不仲を喜ぶのは北朝鮮や中国だ。国内でともに「1強」をなす安倍氏と文氏。いずれも大型の国政選挙を予定していない今年、両国には「先」を見据えて言うべきことを言う外交術も問われる。

(ソウル支局長 峯岸博)

[FT]ロンドンの醜い裏の顔

2018年01月30日 07時17分29秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26177640W8A120C1TCR000/?n_cid=DSTPCS001

[FT]ロンドンの醜い裏の顔
ヨーロッパ FT
2018/1/29 2:30

Financial Times

 米大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏による長年の性的暴行について、米紙ニューヨーク・タイムズが報じたのは3カ月あまり前だった。これを機にハリウッドを揺るがす不祥事が表面化し、ツイッターなどでセクハラを告発する「Me Too(私も)」運動が起こった。英国でも国会議員が過去のセクハラの責任を問われる事態となった。

 巨額マネーが動く金融の最先端基地であるロンドンのシティーも女性蔑視がまかり通る野蛮な世界であり、何らかの告発が出てくるのは時間の問題だった。フィナンシャル・タイムズ(FT)記者は国内の様々な有力者が出席する「プレジデンツクラブ」の毎年恒例の慈善夕食会に潜入し、そこで繰り広げられた性的不品行を24日、白日の下にさらした。ロンドンの金融界や産業界のエリートの間に、こうした悪行を容認する文化が根付いていたことがうかがえる。

ロンドンのシティーでは、慈善目的をうたった女性蔑視のイベントが長年開かれてきた=ロイター

 招待客は男性限定。「背が高く、細身で美人」という条件で集められた女性の接客係は「セクシーな靴」を履くよう指示された。それとない痴漢行為やセクハラが横行し、接客係は男性から売春婦かと聞かれた。欧州の金融中心地にとって時代錯誤も甚だしい恥ずべき行為だ。上司が職場の外でこうした下品なセクハラに手を染めていれば、女性は男性と同じ給与や勤務条件など望めるはずがない。

 とりわけおぞましいのは、この夕食会が英広告大手WPPなどの著名企業から後援を受け、子供のための慈善活動という立派な大義に多くの寄付金を集め、権力層との関係も深めてきたことだ。

■ストリップクラブへの招待券も

 確かに主催者はこれまで巨額の寄付を集めてきたが、今の時代、女性をおとしめたり排除したりしなくても資金は十分集められる。FTの報道を受け、寄付金を返した病院もある。支援を受けている団体は、夕食会で何が起きていたかなど知る由もないだろう。

 資金集めでは、ロンドンの歓楽街のストリップクラブへの招待券のほか、ジョンソン外相との昼食会とイングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁とのアフタヌーンティーに参加できる権利(13万ポンド=約2000万円で落札)など、多彩なものが競売にかけられた。

 公平を期すためにいうと、一部の参加者は憤慨していた。だが、今回も含めて夕食会で不快な思いをしたのなら、抗議の声を上げるべきだった。多くの参加者はFTの報道に衝撃を受けたと話している。最も破廉恥な行為については知らなかったとしても、セクハラを助長するような雰囲気に全く気付かなかったはずがない。ほぼ全裸で登場した女性ダンサーたちを見ればわかることだ。

 競売の司会者が「今年の最もPC(ポリティカリー・コレクト=差別的でない)の逆を行くイベント」へようこそとあいさつすると、会場はどっと笑いに包まれたという。シティーで働く多くの人にとってはPCに反することが名誉の証しとされている。特に古参の中堅幹部には男女同権はあり得ず、多様性の実現に向けた取り組みなど、どうでもいいことなのだ。

 英国の欧州連合(EU)離脱に伴い混乱が訪れようとしているなか、シティーが金融の中心地であり続けるのに必要なのは、様々な経歴を持つ優秀な人材を男女の別なく受け入れる賢明さだ。今回明らかになったいかがわしい裏の顔など全く必要ない。

By Patrick Jenkins

(2018年1月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2018. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

「内燃機関革命の第2弾」、EV移行に反撃するマツダ マツダのエンジン革命第2幕(下)

2018年01月30日 07時14分47秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25752980W8A110C1000000/?n_cid=DSTPCS001

「内燃機関革命の第2弾」、EV移行に反撃するマツダ
マツダのエンジン革命第2幕(下)
自動車・機械 コラム(テクノロジー) 科学&新技術
(1/3ページ)2018/1/30 6:30

日経Automotive_Technology

 マツダのエンジン革命が再び始まる。世界一の圧縮比に達した現行エンジンに続き、2019年に夢の超希薄燃焼ガソリンエンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」を量産する。1次エネルギーを考慮したCO2(二酸化炭素)排出量で、電気自動車を上回る環境性能を狙える。ディーゼル不信に加えて内燃機関廃止論まで飛び出す世界の潮流に、他を圧倒する技術で抗戦する。連載2回目の今回はSKYACTIV-Xの詳細や自動車業界に与えるインパクトなどをお伝えする。

■費用対効果が極めて高い超希薄燃焼

 マツダは高級路線に挑むのに先駆けて、費用対効果の極めて高い次世代ガソリンエンジンを投入する。2019年前半に量産するSKYACTIV-Xだ。大衆路線を堅持し、高級化に伴う販売減少のリスクを最小限に抑える。

 100年を超えるエンジン開発の歴史に名を刻む、空燃比で30を超える超希薄燃焼を実現する。マツダ社長の小飼雅道氏は、「内燃機関革命の第2弾」と意気込む。2017年10月に披露した直列4気筒で排気量2.0L(リットル)の試作機は、出力とトルクで競合車を上回り、CO2排出量で現行の「SKYACTIV-G」に比べて最大3割減らせる。この2.0L版は、次期ハッチバック車「アクセラ」から採用する計画だ。排気量2.5L版の開発も進めている。

空気を大量に入れるため、吸入空気量を変化させるスロットル弁を低・中負荷域でもほとんど全開にできる。空気抵抗を抑えられ、低・中負荷域で加速するときにトルクを一気に大きくしやすい。マツダの資料を基に日経Automotiveが作成

次世代ガソリンエンジンは次期「アクセラ」から搭載する。左はマツダが2017年10月開催の「東京モーターショー」で披露したハッチバックのコンセプト車「魁(かい)」。2019年に発売する次期「アクセラ」を想定した。次世代ガソリンエンジンと、右のFF車用次世代プラットフォームを採用する。(写真:左は宮原一郎、右はマツダ提供)

 マツダは現行ガソリンエンジンで世界最高の圧縮比14を達成し、超希薄燃焼で重要になる高圧縮比化に先鞭(せんべん)をつけていた。SKYACTIV-Xでは点火プラグを着火補助に使う圧縮着火技術を新しく投入し、圧縮比をさらに高めて16にする。さらに12V(ボルト)電源で作動し、エンジン出力を少し支援するスターター兼発電機を標準搭載する見込みだ。簡易ハイブリッドとも言える。

 SKYACTIV-Xのコストは、ディーゼルや高出力モーターを使うハイブリッドに比べて「大幅に安い」(マツダ技術者)。日経Automotiveの予測では、現行ガソリンエンジンに比べて約3割増の4~5万円高となる。CO2排出量を1g(グラム)減らすのにかかるコストは、1000円強に抑えられると見込む。

 最近のエンジン開発では、3000~5000円/gかかるのが一般的になりつつある。「高出力ハイブリッド車(HEV)では1万円/gに達する車両もある」(欧州系エンジニアリング会社の技術者)。マツダの超希薄燃焼は、費用対効果で群を抜くと言える。

 SKYACTIV-Xの投入で、2021年から欧州で本格的に始まるCO2排出量を95g/km(キロメートル)以下にする規制を達成できる見通しだ。競合他社の多くが、高価なハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)を規制達成の軸に考える。安価なガソリンエンジンでクリアできれば、販売面で優位に立つ。

 マツダはSKYACTIV-Xの投入後も、現行ガソリンエンジンを併存して販売する方針だ。IHS Markit Automotiveプリンシパルアナリストの波多野通氏は、「環境規制が厳しくなる欧州や米国、日本、中国で『X』(次世代機)、コストを優先する必要がある新興市場で『G』(現行機)を投入する」と予測する。

■米国は理論空燃比で

 マツダにとって大きな販売市場である米国にSKYACTIV-Xを投入するのに際して高い壁となるのが、NOx(窒素酸化物)排出量規制である。極めて厳しく、米国仕様のSKYACTIV-Xでは空気を多く入れた超希薄燃焼を断念し、「理論空燃比にする」(同社常務執行役員の人見光夫氏)考えである。

 CO2排出量性能は、日本や欧州向けの空気を多く入れる超希薄燃焼エンジンに比べて、約3%の悪化にとどめられそうだ。SKYACTIV-Xは、空気に加えてEGR(排ガス再循環)による排ガスを大量に気筒内に戻して燃やすのが特徴。空気の方が望ましいが、排ガスでも筒内ガス量を増やせれば、熱効率を十分に高められる。北米仕様では空気の代わりに排ガスを多く入れた超希薄燃焼に変更し、CO2排出量性能の悪化を抑える。

 エンジンの実力は、米国のNOx規制を満たせる水準に達するだろう。それにも関わらず理論空燃比に変更するのは、マツダの革新技術を規制当局に理解されない可能性を懸念した節がある。独フォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題以降、米国当局の監視姿勢は特に厳しいからだ。

 過去に他社が投入した希薄燃焼エンジンは、NOx排出量規制の強化とともに消え去った。希薄の度合いをそれほど高められなかったからだ。マツダの狙う超希薄な水準ならば、NOx排出量を抑えられる。それでも「希薄燃焼」に当時の印象を抱く当局関係者が、マツダの技術を疑う可能性を捨てきれない。

 SKYACTIV-Xは、欧州と中国が主導して始めた“EVシフト”に反撃する一手になり得る。地域の電源構成によるが、「Well-to-Wheel(1次エネルギーの採掘から車両走行まで)」のCO2排出量をEVに比べて低くできる可能性があるからだ。EVの環境性能がエンジンに比べて高いと見る風潮に、一石を投じる。

 ドイツ自動車連盟(ADAC)が調査したマツダ製ガソリン車「アクセラ」の実燃費は18.2km/Lで、マツダは原油精製過程を含めたCO2排出量が150g/kmと計算する。一方でADAC調査によるEVの実電費は4.7km/kWh(キロワット時)で、日本の電源構成を前提にするとCO2排出量が128g/kmになる。火力発電で最も熱効率が高いLNG(液化天然ガス)コンバインドサイクル発電による電力を使うEVであれば100g/kmだ。

 SKYACTIV-XでCO2排出量を3割減らすと、日本で走るEVのCO2排出量を下回り、最高効率の火力発電所だけの電力を使うEVに迫る水準になる。

■超希薄燃焼の次は遮熱エンジン

 ただし米国や中国は今後、規制でEVの導入をメーカーに義務付け始める。マツダは、ロータリーエンジンを発電専用に使ったEVの投入を検討する。加えて2017年9月、トヨタ自動車とEV開発の合弁会社「EVシー・エー・スピリット」を設立した。他メーカーの参加も募り、少量販売にとどまるだろうEVの販売で開発費や生産コストを分担する狙いがある。

 マツダ会長の金井誠太氏は、高い電池価格や充電インフラ不足などの課題によって、「各国政府の狙い通りにEVが普及することは大変難しい」と見る。

 マツダは、エンジン技術の進化の手を緩めない。SKYACTIV-Xの次を見据えた研究を加速する。超希薄燃焼の次の一手は、遮熱エンジンだ。エンジン損失の大部分を占める冷却損失を大きく減らす。研究段階だが、最高熱効率55%超の水準が見えたようだ。SKYACTIV-XのCO2排出量からさらに2~3割減らせる可能性がある。

マツダが超希薄燃焼で排気損失を大きく減らした後、次に狙うのは冷却損失の低減だ。エンジンの熱エネルギーを気筒外に逃げにくくする遮熱技術を開発している。マツダの資料を基に日経Automotiveが作成

 大型放射光施設「SPring-8(スプリング・エイト)」を使って新しい材料を開発すると2016年に発表した。気筒内壁を遮熱できる新材料の研究にも使う。現在は候補がいくつか見え始めた段階だ。マツダ技術研究所技監(前所長)の山本博之氏は2017年11月、日本機械学会主催の講演会で「まだ十分ではないが、ある程度の実力の遮熱材ができている」と明かした。

 「追いつくのが大変だな」――。SKYACTIV-Xの一報を聞いた国内自動車メーカーのエンジン開発幹部がつぶやいた。超希薄燃焼を実現すれば、マツダはエンジン開発で世界を引っ張る存在に躍り出る。

 今後の最強の“競合”は、内燃機関を排除しようとする世界の風潮かもしれない。内燃機関の環境性能が高いといくら主張しようが、世界販売シェアが2%に満たないマツダの発言力はたかが知れている。EVを下回るCO2排出量(Well-to-Wheel)に達する車両を発売してはじめて、内燃機関が世界の環境に貢献できる存在だと証明できる。

(日経Automotive 清水直茂)

楽天、陣取り再加速 朝日火災買収で金融に厚み

2018年01月30日 07時13分48秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26287510Z20C18A1TI1000/

楽天、陣取り再加速 朝日火災買収で金融に厚み
ネット・IT
2018/1/29 23:00

 楽天は29日、野村ホールディングス傘下の朝日火災海上保険(東京・千代田)を買収すると発表した。狙いはネットサービスを金融と結びつけ、消費者を囲い込む「経済圏」の深掘りだ。米ウォルマート・ストアーズとの提携や携帯事業参入など新分野へのアクセルを再び強く踏み始めた楽天。背景には十数年来の事業モデルを脅かす新勢力の台頭がある。

消費者を囲い込む「経済圏」深掘りに向け、再び動き出す楽天の三木谷会長兼社長(17年11月、東京都世田谷区)

 楽天は30日に株式公開買い付けを開始し、大株主の野村グループ各社などから朝日火災の全株を取得する方針。買収額は合計で約450億円となる見通しだ。約9300万人の楽天会員のデータを活用し、家族構成や生活パターンに合わせて条件をきめ細かく設定可能な保険商品などを開発する。

 楽天は2013年に生命保険に参入済みで、生損保の両方を手掛ける体制になる。損保参入は新たな収益源の確立という効果もあるが、楽天が進めるのは会員との接点を増やし自社の「経済圏」への囲い込みを強める戦略。26日発表したウォルマートとの提携、17年末表明した携帯電話事業参入など、矢継ぎ早に打ち出す施策はいずれもこの戦略に基づく。三木谷浩史会長兼社長は「会員とはオンラインだけでなくオフラインでもつながっていく」と強調する。

 楽天が自社サービスの「経済圏」を築く構想を打ち出したのは06年ごろ。当時は決済サービスまで展開するネット企業は少なく、楽天が完全に先行していた。ところが、ここ数年、同じ様な戦略を掲げる企業が急増している。スマートフォンという個人とつながりやすいネット端末が普及し、クラウドでデータを多重活用しやすくなったことも背景にある。

 米アマゾン・ドット・コムは通販利用者の登録情報を活用した決済サービスを日本でも18年以降に始める計画。同社決済部門の幹部は「利用者が複数の端末を使っても同様の体験をできるようにする」と話す。国内勢ではLINEが対話アプリを入り口に通販や自転車シェアへ「経済圏」を広げる戦略で、決済や資産運用のサービスにも進出した。ヤフーやフリマアプリ大手のメルカリ(東京・港)もそれぞれの主力サービスを軸に会員の囲い込みを進めている。

 三木谷社長は「楽天は他社のマネでないオリジナルの経済圏だ」と主張する。だが、その強みを維持するためにも、他社にないサービスの拡充を急ぐ必要がある。

 損害保険も携帯も規制に縛られた分野。新参者の楽天は市場の常識や競争環境を大きく変える可能性がある半面、リスクも負う。特に携帯はインフラ整備に巨額の資金が必要で17年12月の方針発表から楽天の株価は大きく下げた。損保買収が明らかになった29日も楽天株は朝方上げた後、伸び悩んだ。巨費を投じるリスクが改めて意識されたためだ。

 だが「経済圏」を巡る競争が激しくなるなか、ここで手を緩めれば築き上げた優位性はあっという間になくなりかねない。三木谷社長が創業以来強調してきたキーワード、「スピード」の重要性がかつてなく高まっている。(諸富聡)

憲法に自衛隊明記、9条2項維持が47% 本社世論調査

2018年01月30日 07時12分29秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26270740Z20C18A1PP8000/

憲法に自衛隊明記、9条2項維持が47% 本社世論調査
憲法改正 政治
2018/1/29 20:00

 日本経済新聞社とテレビ東京による26~28日の世論調査で、憲法への自衛隊明記について3つの選択肢で聞くと「(戦力不保持を定めた)9条2項を維持し、明記すべきだ」が47%で最多だった。「9条2項を削除し、明記すべきだ」は15%、「そもそも憲法に明記する必要はない」は24%だった。報道各社の自衛隊明記をめぐる世論調査の結果に違いが出ている。

 9条2項を維持し、自衛隊を明記する憲法改正案は、安倍晋三首相が昨年5月に提案したもの。自民党内には戦力不保持を定める2項を削除し、自衛隊を戦力として明確に規定すべきだとの意見がある。立憲民主党や希望の党は首相案に反対している。

 日経調査では、自民党支持層では「2項維持」が55%と過半に達し「2項削除」は24%、「明記の必要ない」は11%だった。無党派層は「2項維持」が44%、「2項削除」が8%、「明記の必要ない」が27%。立憲民主党支持層は「明記の必要ない」が5割を超えた。

不測の事態に備えPAC3訓練にあたる自衛隊

 憲法改正の国会発議はいつが望ましいかも聞いた。「いまの通常国会」が20%、「今年秋召集の臨時国会」が14%で、あわせて34%が年内の発議に賛意を示した。これに対し「2019年中」が14%、「20年以降」が13%、「そもそも発議する必要はない」が19%で、あわせて46%が年内の発議に否定的だった。

 自衛隊明記に関する世論について、自民党憲法改正推進本部の保岡興治特別顧問は日経の取材に「『戦力不保持』を削ることに抵抗感が強い人が多いのだろう。2項を維持して自衛隊を明記する案が現実的な落とし所だ」と話した。

 ただ、報道各社の調査をみると質問文や選択肢の微妙な違いで異なる結果が出ている。日経で「明記する必要ない」とした選択肢について、NHKは6~8日の調査で「憲法9条を変える必要はない」とした。すると38%がこの選択肢を選び、2項維持と2項削除をおさえて最多だった。

 「2項を削除し自衛隊を明記すべきだ」の選択肢についても差が出た。読売新聞の12~14日の調査では「2項は削除し自衛隊の目的や性格を明確にする」としたところ、これが34%で最多だった。毎日新聞は20~21日の調査で「2項を削除して自衛隊を戦力と位置付ける」としたところ、12%にとどまった。

 埼玉大の松本正生教授(政治意識論)は聞き方の違いに加え「憲法改正の質問の直前にどんな内容を聞いたか、という点も結果に影響する」と話す。例えば安倍政権の経済政策に関する質問を聞いた後に憲法について聞くと、経済政策に比べれば憲法改正の優先順位が低いと思われ、改憲に慎重な意見が増える可能性があるという。

 調査結果の違いに関しては「まだ憲法改正について明確な主張を持っていない国民が多いのだろう」(公明党幹部)との見方もある。松本教授は「各社の結果の違いは、有権者のなかにまだ憲法改正のリアリティーがないことを示している」と分析する。

ルネサス、米半導体マキシムと買収協議 米報道

2018年01月30日 07時09分40秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26296690Q8A130C1000000/?nf=1

ルネサス、米半導体マキシムと買収協議 米報道
ネット・IT エレクトロニクス 北米
2018/1/30 6:26

 【シリコンバレー=佐藤浩実】ルネサスエレクトロニクスが米半導体中堅のマキシム・インテグレーテッドと買収協議をしていることが29日わかった。米CNBCテレビが報じた。成立すれば買収額は200億ドル(約2兆2000億円)に上る見込みだという。半導体業界では規模の拡大を目指した数兆円規模の買収が相次いでおり、世界では中堅にあたるルネサスやマキシムにもその余波が広がってきた。

 CNBCによると、買収は協議の段階で成立しない可能性もある。マキシムはここ数年身売りを検討しており、過去にアナログ・デバイセズやテキサス・インスツルメンツとも協議をしたが成立しなかったという。ルネサスは2016年に32億ドルで米インターシルを買収、さらなる同業買収にも意欲を示していた。

 半導体業界では過去数年、日本円換算で1兆円を上回る大型買収が立て続けに起きている。最近ではブロードコムがクアルコムに負債引き受けを含め15兆円規模の買収を仕掛けており、29日にはクアルコムの経営陣が株主に向け改めてブロードコムを支持しないよう呼びかけたばかりだ。また、規模の拡大につれ審査も長引く傾向にある。