経済中心に書いてます!

趣味の範囲で…園芸・沖釣り・漢方・医食同源の投稿をします…業務はCX・225指数・FX Pro. …

東京圏22年連続の転入超 17年、被災3県は流出加速

2018年01月29日 21時17分08秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26271840Z20C18A1EE8000/?nf=1

東京圏22年連続の転入超 17年、被災3県は流出加速
経済 政治
2018/1/29 19:25

 総務省が29日発表した住民基本台帳に基づく2017年の人口移動報告(外国人を除く)によると、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)への人口集中が一段と進んでいる。転入者が転出者を上回る「転入超過」は22年連続で、前年より1911人多い11万9779人だった。一方、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)は人口流出が加速している。

 東京圏への転入超過数が10万人を超えたのは4年連続で、2年ぶりに増えた。転入超過数のうち15~29歳が98%を占める。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「景気が回復し雇用の情勢が良くなり、地方から来た若者が職を見つけやすくなっている」と分析する。

 名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)と大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)は、ともに5年連続で転出超過だった。

 東日本大震災の被災3県では、転出超過数が計1万4018人で、前年から3826人増えた。3県ともに転出超過だった。福島県は震災後、転出超過数が14年と15年に2千人台にまで減っていたが、17年は8395人に増加。都道府県別で最も多かった。

 福島県が地盤の東邦銀行傘下のとうほう地域総合研究所の和田賢一研究員は「県外へ避難した人の帰宅が一服したことや、長期に滞在する除染作業員が減った可能性がある」と指摘。「地元では若年層の減少により自然減も拡大することへの危機感が強い」と話す。

 都道府県別で転入超過なのは、多い順に東京、千葉、埼玉、神奈川、福岡、愛知、大阪の7都府県。16年と同じ7都府県だった。転出超過は残る40道府県。福島県が最多で、兵庫県、北海道が続いた。

 市町村別では、全体の76%が転出超過だった。転出超過数は4年連続で北九州市が最多だった。

[FT]米議会で交渉材料にされる不法移民の子供(社説)

2018年01月29日 21時15分35秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26261010Z20C18A1000000/?n_cid=DSTPCS001

[FT]米議会で交渉材料にされる不法移民の子供(社説)
北米 FT
2018/1/29 17:00

Financial Times

 米国のジョン・マケイン上院議員(共和党)と故エドワード・ケネディ元上院議員(民主党)が野心的な移民政策改革を共同で推し進めたのは、わずか10年ほど前のことだ。だが、当時のブッシュ元大統領(子)の後押しにもかかわらず、法案を成立させることはできなかった。当時、それは困難なことだった。現在は、人種やアイデンティティーに関わる問題を巡り両党の溝がますます深まる最悪の状況で、移民問題はさらに打開が難しくなっている。

 トランプ米大統領のこの問題を巡るこれまでの言動は一貫していない。幼少期に親に連れられて不法入国した約360万人の「ドリーマー」と呼ばれる若者に同情を示したかと思えば、彼らを交渉の切り札として利用する。こうした中でトランプ政権は25日、最大180万人の不法移民に市民権を与えることにつながる提案の詳細を提示した。オバマ前政権が導入し、トランプ氏によって撤廃される予定の「DACA」制度で一時的に法的身分を与えられている約70万人のドリーマーと、同制度の対象でありながら未申請の110万人が対象となる。

米政府閉鎖の影響で「自由の女神」の見学が中止されていることを示す掲示板(20日、ニューヨーク)=ロイター

 ただ、トランプ政権はこれと引き換えに、同氏の選挙公約の目玉だった国境警備の強化とメキシコ国境の壁建設のために250億ドルの予算拠出を議会に求めている。また、家族を呼び寄せられる制度を利用した移住の制限など、数多くのより厳しい移民抑制策を認めることも求めた。

 民主党がこうした受け入れがたい提案をのむ雰囲気であるかどうかは疑わしい。この提案の1週間前、トランプ氏はアフリカ諸国を「肥だめ」のような国と呼んだと報じられて議論が巻き起こった。また、同氏は民主党のシューマー上院院内総務がこの問題を巡り政府閉鎖で譲歩したこともなじった。

■移民は重要な労働力

 民主党ではドリーマーの法的身分の問題を解決することが最優先だが、国境の壁建設や家族の呼び寄せによる移住制度廃止への反対も根強い。

 とはいえ、民主党は弱い立場だ。同党はただでさえよい手がないところに、さらに墓穴を掘ってしまった。この問題を巡って政府を閉鎖に追いこんだことで、民主党は公共サービスの提供よりも不法移民の先行きを案じているではないかと国民に主張する隙をトランプ氏に与えてしまった。また、週明けにすぐ白旗を揚げたことも、最後までやり通す意志がないなら、そもそもなぜ閉鎖に持ち込んだのかという疑念を抱かせる結果となった。

 自らの過失でないにもかかわらず、米国での法的身分が不確かになっている非常に多くの人々が、交渉の人質にされているのは遺憾だ。人道的理由から、これらの人々の未来が不透明な状態を終わらせなければならないことは明らかだ。経済的な根拠も十分にある。これらの移民は今やこの国の重要な労働力の一部なのだ。

 トランプ氏はドリーマーに関しては民主党の期待以上の提案を行い、それと同時に国境の壁建設に関しては到底受け入れがたい法案を突きつけることで、虚勢を張る民主党に巧みに実行を迫っている。民主党はこのファウスト的な(大きな見返りのために魂を悪魔に売り渡すような)提案に抵抗し、別の選択肢を議会で模索するほうが賢明だ。

 現実味が乏しくみえるかもしれないが、超党派で合意を形成する道もある。共和党の一部議員は政府が再び閉鎖されるのを防ぐために妥協案に取り組んでいる。民主党は、米南部の国境での壁建設を阻止するつもりなら、共和党の財政タカ派の支持をさらに模索すべきだ。トランプ氏は、メキシコに巨額の壁の建設費を負担させるとした当初の約束にもかかわらず、結局のところ今では米国民にそれを払うよう求めている。

(2018年1月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2018. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

[FT]中国、競売サイトで銀行株の売買が急増

2018年01月29日 21時13分39秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26256720Z20C18A1000000/?n_cid=DSTPCS001

[FT]中国、競売サイトで銀行株の売買が急増
FT
2018/1/29 14:18

Financial Times

 中国のオークションサイトに10億ドル規模の上場・非上場銀行株の市場が出現し、値付けや規制のあり方を巡って懸念を呼んでいる。

競売サイトでの銀行株売買は値付けや投資家保護の点で問題が多い(淘宝網のサイトを見る女性)=AP

 中国の最高人民法院は、地方の裁判所が差し押さえた株式を含む資産に関して、5つのオークションサイトに2016年末から売却を手掛けることを認めた。

 それ以降、アリババ集団の通販サイト「淘宝網(タオバオ)」などで、銀行株の競売が一気に広がった。通販サイトの京東集団(JDドットコム)も競売を手掛けている。

 状況を追跡している専門家らは、規模が拡大している銀行株売却は規制のグレーゾーンにあり、資産の値付けや投資家保護の明確な指針を欠いていると言う。

 「先進国の市場ではこのような現象は見られない」と、米格付け大手S&Pグローバル・レーティングの金融機関担当シニアディレクターの廖強氏は言う。「株式市場の観点から懸念がある。一つは透明性、それに値付けと公正性だ」

■上場している銀行も対象

 フィナンシャル・タイムズが数百件に及ぶ競売を集計したところ、淘宝網では17年12月、地方の裁判所が競売にかけた銀行や保険会社など認可を受けた金融機関の株式が、前年同月の2倍を超える20億7000万元(約356億円)に達していた。

 淘宝網の裁判所競売サイトでは、ひすいの巨大な原石から花火工場に至るまで、あらゆるものが落札される。

 ここ数カ月では、差し押さえられた有価証券に加え、米ボーイングのジェット機2機や建設途中の高層ビルも淘宝網で競売にかけられている。そこまで高い物は望まない入札者には、多数の書や古い美術品が1品わずか700元で出品されている。

 競売にかけられている金融株には、農村部の最小規模の金融機関や保証会社から地方レベルの保険会社、さらには中原銀行など香港や上海の証券取引所に上場している規模の大きな銀行も含まれている。

 17年7月に香港市場での新規株式公開(IPO)で約10億ドルを調達した中原銀行の株式は、淘宝網で300件以上の競売にかけられている。620万株が出品された今年1月のある競売では入札開始価格が1株1.44元で、25日時点の香港市場での取引価格を約38%下回っている。

 この競売のウェブページには資産評価に関する1ページの記載があるが、値付けについての詳しい説明はない。多くの競売でそうした評価資料が欠けている。

 BNPパリバ・アセットマネジメントのシニアエコノミスト、羅念慈氏は「中国政府を不快にさせる金融の革新だ」と言う。証券規制当局は競売を直接監督していないと同氏は指摘する。「規制されていない売却なので、投資家の観点からはリスクを伴う」

By Don Weinland

(2018年1月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2018. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

ハワイ線購入者の特徴は? JALとNECがAI分析

2018年01月29日 21時12分11秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25740660W8A110C1000000/?n_cid=DSTPCS001

ハワイ線購入者の特徴は? JALとNECがAI分析
ネット・IT コラム(テクノロジー) AI
(1/2ページ)2018/1/29 6:30

 日本航空(JAL)とNECは、NECの人工知能(AI)を活用し、航空券予約サイトのログデータなどを分析。航空券の購入予測分析を行う実証実験では、データサイエンティストと同精度の分析を短時間で行うことができた。JALが立てられないような仮説を見つけてくるケースもあったという。

■データサイエンティスト不足などに対応

 JALはNECと共同で、NECのAIを活用した顧客の購買行動の予測実験に2017年10月末まで取り組んだ。JALは高度な分析スキルを持つデータサイエンティストの不足や、同社の保有する膨大なデータの活用に関する課題を解決するのが目的だ。NECのAIの出した結果がJALのデータサイエンティストの的中率を上回ったり、思いもつかない特徴量での分析を提案したり、一定の成果が認められた。

今回JALとNECが取り組んだテーマのチェックポイント

 実証実験では、JALマイレージバンク会員(JMB会員)を対象にJALが運営する航空券予約サイトでのウェブアクセスログをはじめ、会員情報や搭乗履歴といった多様かつ大規模なデータを対象とした。

 航空券を購入するにあたって、JMB会員がウェブ上でどのような行動や購買をしているのかなどを入力データとした。NECのAI予測技術を活用して、航空券の実購入などKPI(主要業績評価指標)の向上に関係が認められるデータ項目である「特徴量」の自動設計(推測)と「予測モデル」の自動構築の実験を行った。

 なお、今回の実証では、NEC側に個人を特定する情報を提供していない。

■思いもつかない項目を抽出

 今回取り組んだテーマは大きく2つある。まずは、国際線を購入したJMB会員のうちハワイ線を購入する会員の予測だ。ウェブログデータのほか、会員属性や過去の搭乗履歴など、多様なデータを使って特徴量を自動生成した。

 JAL 旅客販売統括本部Web販売部 1to1マーケティンググループの渋谷直正アシスタントマネジャーは、「特徴量の自動生成が最初のチェックポイントだが、いくつかの興味深い特徴量が見つかった」と言う。

国際線の購入会員のホノルル線購入の予測(チェックポイント1と2の中間結果)

 例えば、「“ある県”に在住している会員はハワイ線を購入しやすい」「直近42日間の国際線搭乗マイルが多ければ、ハワイ線を購入しやすくなる」「“あるクレジットカード”の利用が多い会員はハワイ線を購入しやすい」といったものだ。

 渋谷氏は「“あるクレジットカード”というのは、膨大なデータの中のほんのわずかな項目。しかも、特定のクレジットカードに注目して、それをわざわざ変数として抜き出すなんてということは通常の分析ではしない」と評価する。

■AIがサイエンティストをしのぐ

 次に、自動抽出した特徴量を基にして、AIがモデルを作成した。JAL側でも手作業でモデルを構築して、NECのモデルと比較した。

 その結果、NECで自動構築したモデルの予測精度は、的中率でJALを数ポイントだが上回った。JALは航空業界に詳しい、経験豊富なデータサイエンティストが設計したものであるにもかかわらず、だ。

 NECのモデルは上位10%の的中率は54.7%だったのに対して、JALモデルは50.9%だった。特徴量を生成するのにかかる時間は、NECが6時間58分に対してJALが5時間。モデルの構築時間は、NECが43分に対して、JALが10分だった。

■人手では見いだせない仮説も

 もう1つ取り組んだテーマは、「jal.co.jp」を訪問した全JMB会員のうち、国内線航空券を購入する会員の予測である。ウェブログデータのみを使って、特徴量を抽出した。

 結果として、ウェブログデータ(縦持ちデータ)だけから、JALでは抽出できなかった特徴量が見つかった。

 例えば、直近3日間のマイル確認ページへのアクセスがある場合、50.1%が国内線を購入すると予測した。「直近3日に絞り込むことで国内線を購入しやすい顧客をシャープに絞り込めている」(渋谷氏)。

 渋谷氏は「人手では、ここまでの時間軸は見切れない。だから、1カ月間であるページを見た、見ないといった程度の分析しかできない。それをAIは1日前、2日前、3日前、4日前と細かく分析している。JALが立てられないような仮説を見つけてくる」と舌を巻く。

■ブラックボックス化を回避

 NEC側で開発から実証まで担当したのは、NECデータサイエンス研究所の藤巻遼平・主席研究員である。同氏はシリコンバレーオフィスに駐在し、最高位の研究員としてAI関連技術の開発から事業化までを手掛けている。

NECが開発した予測分析の自動化技術の特徴とメリット

 藤巻氏は「人間に分かりやすい形で結果が出てくるというのが当社の技術のいいところ。例えば、『男性かつ何々の特徴を持つ人』は購入しやすい、もしくはしにくい、とかいうのがいろいろと出てくる。その組み合わせは無限に近いくらい存在している。ただし、この組み合わせは人間にとってとても分かりやすい。人間の琴線に触れるような組み合わせがたくさん出てくる」と説明する。

 NECの技術は特徴量の抽出からモデルの構築まで、1日以内でできてしまう。データサイエンティストが手作業で分析していたら、従来2~3カ月かかっていたという。

 加えてAIによる予測に対して、特徴量や仮説などで、明確な根拠を示すことが可能になる。つまりブラックボックス化を回避できる。藤巻氏は「画像とか音声とかでディープラーニング(深層学習)が極めて高い認識精度を出せるのは、人手で特徴をつくれないから。これに対して今回は特徴を作れるようにしたところが、ブレークスルーだと思っている」と説明する。

 NECは今回の技術を2018年6月に製品として販売することを計画している。AIの技術ブランド「NEC the WISE」の1製品と位置づける。この段階では、ユーザーインターフェースなども整備され、データ分析に不慣れな担当者でも、社内にある大量の構造化データから特徴量を自動で設計でき、高精度な予測モデルを作成することができるようになるという。

 ドメインの知識がなくても結果を出せることから応用範囲は広いとみられ、ブラックボックス化を回避できる点も注目される。

(日経ビッグデータ 多田和市)

高級路線に挑むマツダ 逆風下のディーゼル車で攻める マツダのエンジン革命第2幕(上)

2018年01月29日 21時09分27秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25750680W8A110C1000000/?n_cid=DSTPCS001

高級路線に挑むマツダ 逆風下のディーゼル車で攻める
マツダのエンジン革命第2幕(上)
自動車・機械 コラム(テクノロジー) 科学&新技術
(1/2ページ)2018/1/29 6:30

日経Automotive_Technology

 マツダが高級路線を目指し、低排出ガスの直列6気筒ディーゼルエンジンを投入する計画があることが分かった。加えて、世界一の圧縮比に達した現行エンジンに続き、2019年に夢の超希薄燃焼ガソリンエンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」を量産する。1次エネルギーを考慮したCO2(二酸化炭素)排出量で、電気自動車を上回る環境性能を狙える。ディーゼル不信に加えて内燃機関廃止論まで飛び出す世界の潮流に、他を圧倒する技術で抗戦する。

■「マツダプレミアムの実現を目指す」

 マツダが2020年に直列6気筒ディーゼルエンジンを量産し、FR(前部エンジン・後輪駆動)車に搭載する計画があることが分かった。主力の多目的スポーツ車(SUV)である次期「CX-5」から採用し、「アテンザ」などに採用を拡大する。

 複数の関係者が明かした。現行ディーゼルは、排気量が1.5L(リットル)と2.2Lの直列4気筒。次世代ディーゼルで6気筒に増やし、3.0L程度に“アップサイジング(大排気量化)”する。大衆車専業のマツダにとって戦略転換を意味し、悲願の高級路線にいよいよ舵(かじ)を切る。

2017年10月開催の「東京モーターショー」で披露したコンセプト車「VISION COUPE」。「今のマツダでは難しいが、こんな車を発売できる企業を目指したい」(デザイン担当者)と考えて、開発した。想定仕様を明かさないが、車両の前が長くFR車に見える。直6エンジンを搭載できる空間は十分にありそうだ

 直4に比べて全長が大きい直6は、現行車種のほとんどに使うFF(前部エンジン・前輪駆動)車で横向きに置くことが難しい。縦向きに置くことになり、FR車が前提になる。

 FRにするとプロペラシャフトなどが床下に必要だ。車内は狭くなり、部品コストが増える。一方で、走る楽しさを訴求しやすくなる。現在、マツダのFR車には「ロードスター」がある。高級車ブランドで代表的なドイツのBMWやメルセデス・ベンツ(ダイムラー)の主力車種はFRだ。

 「マツダプレミアムの実現を目指す」――。同社社長の小飼雅道氏は2017年8月、スーパーリーンバーン(超希薄燃焼)を実現する画期的な次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」の発表と併せて、高級路線に挑戦する意思を宣言した。直6ディーゼルとFRを組み合わせた車両は、高級路線の象徴に位置付けられるだろう。

「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」と名付けて、空燃比で30を超える超希薄燃焼を実現する。常用域はほぼすべて圧縮着火燃焼。コスト増を抑えながら、CO2排出量を現行比3割減らせる。コストパフォーマンス(費用対効果)の高いエンジンだ。表は日経Automotiveの推定を含む。写真はマツダ提供

■逆風ディーゼルだが高級車に必要

 現在、ディーゼル車には逆風が吹いている。独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題後、ディーゼルに対する消費者の不信感はいまだに強い。「極めて厳しい排ガス規制」(BMWの技術者)を導入するきっかけになり、対策コストは上がる一方だ。英調査会社IHS Markit(IHSマークイット)は、欧州市場で2016年にディーゼル車が約5割を占めるが、2029年に約3割に減ると予測する。

 それでもトルクが大きく航続距離が長いディーゼルの利点は、今後も高級車に欠かせないとの考えが根強くある。BMWやダイムラーは、ディーゼル開発を続けると明言する。市場で減っていくディーゼル車の大半は、価格が安い小型車になると見られる。

 マツダにはディーゼルの高い技術力がある。2012年に量産した現行ディーゼル「SKYACTIV-D」では、世界で最も低い圧縮比14を実現した。同社が高級路線を目指すに当たり、高級車と相性が良く、競争力の高いディーゼルを核に据えるのは自然な流れだ。

 加えて、ディーゼル車の開発から距離を置くメーカーが増え始める中、「残存者利益を狙える」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリストの杉本浩一氏)という、したたかな戦略も垣間見える。さらに長期的に、「ディーゼル車が減ることで同燃料が余り、安くなる」(野村総合研究所上席コンサルタントの風間智英氏)という利点が考えられる。

■「鬼門」の高級路線に再挑戦

 ただし、マツダはいきなり、BMWやメルセデス・ベンツと同等の「プレミアムブランド」に達しない。着実にブランド価値を高めて、ドイツ高級ブランドの下に位置する“マツダプレミアム”を目指す方針と考えられる。

 実現手段の一つが、コストが増えるのを最小限にする直6ディーゼルを開発することだ。直6・FR化で現行車に比べて上がる価格を少しでも抑える。

マツダの開発スケジュール予測。最初の車両は赤丸と青丸の組み合わせで量産する

 ディーゼルのコストは高く、ガソリンエンジンの2倍に達するとされる。厳しい排ガス規制への対策コストが多くを占める。中でも高価なのが、排ガス後処理装置の尿素SCR(選択還元触媒)だ。マツダは次世代ディーゼルの開発で、尿素SCRなしで厳しい排ガス規制に対応することを目指す。

■大排気量化が排ガス対策の切り札

 カギを握るのが、意外なことに大排気量化だ。普通は出力向上の手段だが、マツダは排ガス対策の切り札とみなす。同社常務執行役員の人見光夫氏はかつて日経Automotiveに対し、「(ディーゼルの)排気量を大きくして同じトルクにすれば、相対的に軽負荷域を使うことになり、NOx(窒素酸化物)を減らせる」とのアイデアを披露していた。

 マツダにとって高級路線は、過去に挑戦して跳ね返された「鬼門」(同社幹部)である。だが現在の同社は、高級路線に挑む資格を備えつつある。ブランド価値が大きく高まっているからだ。同価値に直結する継続購入比率はうなぎ登りだ。

 IHS Markitによると、主力の北米市場で、マツダ車を購入したユーザーのうち購入前にマツダ車だったユーザーの比率が、2011年の30%程度から2017年上半期に約41%に上昇した。2012年から本格投入したSKYACTIV技術群の成功が大きい。

(日経Automotive 清水直茂)

緩和修正の思惑、今と重なる風景 日銀10年前の教訓

2018年01月29日 21時08分35秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26253800Z20C18A1EE8000/

緩和修正の思惑、今と重なる風景 日銀10年前の教訓
経済
2018/1/29 11:25

 日銀が29日公表した2007年7月~12月の金融政策決定会合の議事録からは、金融緩和を縮小するタイミングの見極めが難しいことが浮き彫りになった。米リーマン・ブラザーズが08年9月に破綻する1年前、当時の日銀は利上げに動いていた。安定した政権のもとで、長期化した金融緩和を修正しようとする局面は、今の状況と似ていた。

サブプライム問題を報じる日経紙面

 10年前と今の経済環境を比べると多くの共通点がある。世界的な景気回復期にあたり、国内は長期政権で政治情勢が安定。日銀による緩和的な金融政策が長期化しているのも同じだ。

 世界に緩和マネーが流れ、株式や不動産など資産価格は上昇。バブル発生と崩壊の警戒がくすぶり、日銀が金融政策の正常化を進めると金融市場の参加者が読み始めた点も共通する。

 07年7月~12月の議事録には、危機を予測することの難しさが映る。福井俊彦総裁(肩書は当時、以下同じ)は8月会合で「米国の調整の深さがどれくらいかは即断できない」と判断を保留。米経済について「リスクを再点検」などの言葉で評価を曖昧にした。

 その後、夏から冬にかけて日銀は危機の予感を強めていった。福井総裁は12月会合で、米住宅市場について「やや不気味な動きが含まれている」と発言。「底が見えない」とも付け加えた。

 しかし、この危機意識は正確に発信されなかった。福井総裁は、景気の下振れリスクを強調すれば「金利変更の距離感と直結させる人が多い」とし、利上げの先送りと捉えられることを警戒した。その後、金融市場のバブルは崩壊。金融政策のかじ取りの難しさが示された。黒田東彦・現総裁は当時を「実質国内総生産(GDP)でみた経済の落ち込みは、危機の震源地だった米欧を上回る深刻なものになった」と振り返る。

 「金融政策を正常化したい気持ちの強さは中銀に共通する」。当時の副総裁だった岩田一政・日本経済研究センター理事長は、危機感が共有されなかった背景に中銀の性質をみる。

 歴史的にインフレ抑制に心を砕いてきた中銀は、過度なインフレをもたらす景気の過熱に敏感だ。岩田氏は中銀について「平時は(経済状況を)正確で緻密に分析するが、先行きになるとなぜか金融正常化と整合的な数字が出てくる傾向がある」と指摘。日銀が追加利上げを模索していた07年は、ITバブル崩壊からようやくたどり着いた利上げの道を引き返したくないとの思いが危機意識の共有を阻んだ。

 07年に日銀審議委員だった西村清彦・政策研究大学院大学教授は「嵐の到来を予感させるような出来事が起きているという警鐘を、もう少し対外的に鳴らした方がよかったのかもしれない」と振り返る。日銀が世界経済への慎重な見方を発信していれば民間金融機関などは景気後退に備えられたとの見方はできる。強気すぎた日銀の先行き見通しにも、懐疑的な目が向けられたかもしれない。

 「願望リポート」。日銀が四半期に1度公表する通称「展望リポート」(経済・物価情勢の展望)はこう皮肉られることがある。リポートにある物価見通しは民間予測に比べ強気。しかし、異次元緩和が始まった13年4月以降で2%の物価安定目標の達成時期は6回も先延ばしした。現在の日銀は目標達成に向け「粘り強く緩和を続ける」との立場を貫くが、できるだけ早く正常化に持ち込みたいとの思惑もみえる。

 世界は今、膨大なマネーにより資産価値が上がり、相場が安定する適温環境につかっている。不安が小さい環境下では、中銀の政策評価は甘くなりがちだ。生来、正常化を志向する中銀の政策や言動に実体経済との乖離(かいり)はないか。危機から10年、点検の時期を迎えている。

(中村結)

もうクラウドじゃない 異端のAI、巨人を動かす プリファードのすべて(4)

2018年01月29日 21時06分05秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26078730U8A120C1I00000/

もうクラウドじゃない 異端のAI、巨人を動かす
プリファードのすべて(4)
コンフィデンシャル スタートアップ AI
(1/3ページ)2018/1/29 6:30

 富士山麓の山梨県忍野村。広大な森の中にあるファナックの本社には、初めて訪れる者にとっては驚きの光景が広がっている。製品である工作用ロボット、工場棟の外装、社内を行き交うトラックも社員の服もすべて黄色だ。来客に出すおしぼりまで黄色。大半の社員が本社近郊か黄色の社宅に住む。


■黄色い森で見たもの

 ロボットの巨人として知られる同社の近づきがたい雰囲気は、そのまま社風を表している。独自路線にこだわるロボットの技術者集団は、孤高の存在として知られていた。

 2015年2月、ファナック本社を初めて訪問したプリファード・ネットワークス社長の西川徹が見たのは、ロボットがロボットを作る生産ライン。無言で見入る西川に、ファナック会長兼最高経営責任者(CEO)の稲葉善治が語りかけた。「ほら、あそこに5台ロボットがあるでしょう。あのうちの1台が壊れても残りの4台でカバーできるような柔軟な作り方ができないかなと思うんですよ」

 その瞬間、西川は「これだ」と思った。プリファードが持つ人工知能(AI)のディープラーニング(深層学習)をロボットに導入すれば、工程で起きる様々なエラーからロボット自身が学び、自動的に完成度が高まっていく「賢い工場」ができあがる。行き着く先はロボットがロボットを作る無人工場だ。

 西川は、東京に戻る車中で同行した幹部たちにまくしたてた。「もう、今やってることは全部やめちゃってさ、こっちに行っちゃおうよ」。西川が大学同級生の岡野原大輔らとプリファードを起業して1年近くがたっていた。西川は「あの時、運命が変わった」と言う。

■膨大なデータに押しつぶされる

 孤高のファナックはなぜ新興企業のプリファードに門戸を開いたのか。ファナックが構想していた賢いロボット工場には大きな課題があった。生産工程で生まれる膨大なデータの存在だ。

握手するプリファードの西川徹社長(左)とファナックの稲葉善治会長


 工作ロボットは同じ動きを繰り返すように見えるが、実はそうではない。「ロボットによるロボットの生産」は、人間の目では分からないような微細な動きの違いを、ロボットの正確無比な動作に落とし込むことで初めて成立する。

 例えば、超音波センサーは毎分1ギガ(ギガは10億)バイトのデータを生む。画質にもよるが映画1本分に相当する量だ。それが工場のいたるところに存在し、その工場が世界中に点在する。センサー類だけではない。箱の中に置かれたネジの位置もバラバラだ。そこからひとつずつのネジの形を割り出してロボットが正確につかむには、高度な画像処理が不可欠で、やはり大量のデータが発生する。これらのデータをいちいちクラウドを経由してやりとりしていたのでは追いつかない。

 仕掛け人であるファナック研究統括本部次長の玉井孝幸は「データをエッジで処理できる技術を探していた」と話す。エッジとはクラウドのような中央管理型ではなく、ネットワークの末端にあるモノを指す。生産ラインの「末端」に並ぶロボット自らがデータ分析までこなしてしまうことを意味する。

 「当時、AIを使った『エッジヘビーコンピューティング』という概念を強く主張していた会社は、私の知る限りプリファードだけでした」と言う玉井。稲葉に話を通したところ関心を示し、都内まで西川に会いに行くと言う。

 西川と岡野原からAIによるエッジ処理の話を聞いた稲葉はその場で腹を決めた。富士山麓に帰る車中で同行した側近にこう話した。「彼らの話、良いじゃないか。ぜひあそこと一緒にやろう」。西川がロボット工場に未来を見いだすより先に、プリファードが持つAI技術が、孤高のファナックをうならせていたのだ。

AI開発のために勉強会を開くプリファード・ネットワークスのプログラマー(東京都文京区)


■「下請けはやりませんから」

 ただ、西川にはポリシーがあった。「下請けはやらない」。それは生まれたばかりのスタートアップ企業が巨人に飲み込まれないための、譲れない一線だった。当時、プリファードはまだ数十人。ファナックから見れば吹けば飛ぶような存在と言えるが、稲葉は西川の言葉をすんなりと飲んだ。「我々も元はベンチャー企業です。エンジニアとして共感する所があるんですよ」。この時、稲葉に同行し、賢いロボットの構築も任された取締役専務執行役員の松原俊介は稲葉の心中をこう代弁する。

 下請けはやらないというこだわりは、ともすれば大企業の反感を招きそうだが、技術者の琴線に触れれば強固な信頼関係を生み出す。

 NTTでソフトウエア開発一筋の桑名栄二(現NTTアドバンステクノロジ取締役)も西川に共感した1人だ。西川がまだ前身企業であるプリファード・インフラストラクチャー(PFI)を率いていた2010年末頃、桑名は初めて会う西川の言葉に耳を疑った。

 「僕たちは単なる請負仕事をやるつもりはありませんから」。桑名が旧知の技術者から話を聞きつけ、クラウドでの協業を持ちかけたところ、一回り以上も年の離れた西川がこう言った。「それに、そもそもこれからはクラウドじゃないと思いますよ」。追い打ちをかけるように西川は桑名の提案自体も否定してみせた。

 当時はスマートフォンが爆発的な普及を始め、世界のIT(情報技術)大手がこぞって米アップルのiCloudのようなクラウド技術の開発競争に明け暮れていた。「データ資本主義」とも言われる、現在にいたる国境を越えたデータ争奪戦の始まりだ。だが、いずれデータ量が膨大になり過ぎ、クラウドは限界を迎える。西川は後にファナックに語ったエッジヘビー時代の到来を、この頃から予言していた。

 桑名がメンツをつぶされたと考えてもおかしくない。NTTは、日本のIT産業に君臨してきた会社だ。NECや日立製作所、富士通のようなITの大企業もNTTから見れば「電電ファミリー」のひとつ。社内には「ITベンダー」という下請け企業を指す言葉が残っている。

■NTTの出資、呼び水に

 だが、桑名は西川の言葉がすんなり腑(ふ)に落ちたと言う。「そもそもNTTは上から目線なんですよ」。桑名は、NTTでかつては傍流といわれたソフト畑。世界ではソフト主導のデータ攻防戦が巻き起こっている。そこで勝ち抜く新たなプラットフォーム(技術基盤)を生み出すことは、「設備産業として生きなければならないNTTにはできないだろうと思っていた」と話す。その桑名が、上層部にかけあい、プリファードへの出資を取り付けた。わずか2億円だが、プリファードにとっては5500人もの技術者を抱えるNTTがその実力を認めた証しとなる。その後のファナックやトヨタ自動車の出資のきっかけとなった。

 「己より優れた者を集めた者がここに眠る」。米国の鉄鋼王と呼ばれたアンドリュー・カーネギーの墓碑銘にこうある。貧民街から身を起こしたカーネギーだが、成功の糧としたのが「己より優れた者」たちとの出会いだった。

 一時代を築いた大企業が、己を超える何かを「外」に求めることができるのか、変化の時代にその姿勢が問われている。カーネギーのような理解者に恵まれたプリファードもその地位を固めるには圧倒的な競争力を示し続けるしかない。異能のAI集団は、高い頂に向けて走り始めている。

=敬称略

(杉本貴司、矢野摂士)

イケア創業者死去 公私ともシンプルさ貫く

2018年01月29日 21時05分15秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26263320Z20C18A1TJ1000/

イケア創業者死去 公私ともシンプルさ貫く
小売り・外食
2018/1/29 16:02

 スウェーデンの家具大手、イケア創業者であるイングバル・カンプラード氏が27日、スウェーデンの自宅で死去した。91歳だった。17歳でイケアを創業。「フラットパック」と呼ばれる箱に入れた組み立て式の家具は、シンプルながらデザイン性が高く、広く世界に浸透した。そのビジネスモデルを構築したのは、無駄とぜいたくを嫌う性格があってのことだった。

イングバル・カンプラード氏(ロイター)

 1926年、スウェーデン南部の田舎町、エルムフルトで生まれたカンプラード氏は子供の頃、ストックホルムに出向いた大人にマッチをまとめ買いするよう頼んだという。それを少量に分けて販売したのが商才への覚醒につながったとされる。

 17歳で創業したイケアは当初、雑貨などのカタログ販売を手掛けていたが、やがて家具に進出。カタログだけでは品質をアピールできないとの思いからモデルルームを作り、段階的に現在の大型店モデルを構築していった。

 家具販売を始めた理由は、自身の田舎町が冬季に労働力をもてあまし、かつ豊富な木材に囲まれていたのに着目したからだ。何事も有効活用するのがカンプラード氏の真骨頂だ。

 そうした姿勢は商品の企画でも生きた。店のショッピングカートをヒントに、ソファのクッションを載せるスチールの枠組みを開発。「イケアはいつも身近なところに革新を見つけてきました」。創業の地、エルムフルトでかつて、イケア博物館の従業員がこう語っていた。

 株式市場を嫌って非上場を貫き、財団やイケアの知的財産権を管理する別会社を設けるなど複雑な組織体制を敷いた。3人の子息が経営権を巡り対立しないようにしたとの見方もある一方で、課税逃れの批判もつきまとった。

 86年に社長から退いた後も、取締役やシニアアドバイザーとしてグループの経営に強い影響を与え続けた。イケアが現在も理念として掲げる「より快適な毎日を、より多くの方々に」はカンプラード氏の言葉だ。

 世界屈指の富豪になってからも、「まだ使える」と主張して20年以上も同じボルボを自家用車に愛用していたとの逸話もある。「シンプリシティー(簡素化)は美徳である」との理念を重視した。自らの考えをつづった「ある家具職人の言葉」には「簡素な振る舞いが私たちに力を与える」「高級ホテルを避けるのは単なるコスト削減ではない」との言葉がある。

 その言葉通り、2006年に来日した際もビジネスホテルに泊まり、インタビューの場所には質素な喫茶店を指定した。「最大ではなく、最高になりたいという気持ちが我々を成功に導いた」と述べたうえで、日本の家具販売店について「他国に比べても非常にレベルが高く、尊敬している」と謙虚な姿勢を崩さなかった。

 70年代に進出した日本市場から一度撤退するが、日本の家庭を研究し、06年に再進出を果たした。「日本人の気持ちにしっかりと通じ合えば、成功できる」との思いは結実し、日本での店舗数は17年末までに10店舗に拡大した。

 カンプラード氏の死去を受け、イケア・ジャパンの店舗では従業員らが開業前に同氏の功績をまとめた約5分の映像を見るなどして追悼した。日本法人のヘレン・フォン・ライス社長は「私たち全員が学ぶべきインスピレーションの塊」としのんだ。

(花田亮輔、原克彦)

しまむら、北島取締役が社長昇格 13年ぶり社長交代

2018年01月29日 21時04分11秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26261510Z20C18A1000000/

しまむら、北島取締役が社長昇格 13年ぶり社長交代
サービス・食品 小売り・外食
2018/1/29 15:42

 カジュアル衣料品大手のしまむらは29日、2月21日付で北島常好取締役専務執行役員(59)が社長に昇格する人事を発表した。野中正人社長(57)は代表権のある会長執行役員に就く。社長交代は13年ぶり。主力の「しまむら」業態を中心に国内で積極出店し、海外進出も進めてきた。だが足元ではネット通販などとの競争も激しい。さらなる業容拡大に向け、経営体制の強化を図る。

しまむらの次期社長となる北島常好取締役専務執行役員

 しまむらは実店舗に重きを置く戦略を取ってきたが、足元では「ゾゾタウン」や「アマゾン」などネット通販サイトで購入する消費者が増えている。しまむらもネットで注文した商品を最寄りの店舗で受け取るサービスを2018年度にも始める計画で、今後は新体制の下でネット販売にも速やかに対応していく方針だ。

 北島 常好氏(きたじま・つねよし)83年(昭58年)流通経済大経卒、83年しまむら入社。09年取締役、15年取締役専務執行役員。埼玉県出身。

ネットカフェ難民、都内に4000人 都が初の調査

2018年01月29日 21時02分23秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26256220Z20C18A1CC0000/

ネットカフェ難民、都内に4000人 都が初の調査
社会
2018/1/29 12:04

 住居が無くインターネットカフェなどに泊まる「ネットカフェ難民」が東京都内で1日当たり約4千人に上るとみられることが29日、都が初めて実施した実態調査で分かった。そのうち7割超の約3千人が派遣労働者など不安定な働き方をしていると推定された。

 都は2016年11月~17年1月、都内の24時間営業のネットカフェや漫画喫茶など全502店を対象に、店側と利用者のアンケートを実施。222店から回答があった。

 オールナイトの利用者946人に理由を尋ねたところ「旅行・出張中の宿泊」が37.1%と最多で、「住居が無く、寝泊まりするため」の25.8%が続いた。他は「遊び・仕事で遅くなった」13.1%、「家に帰りたくない事情がある」5.9%など。都は回答した店の平均宿泊者数などから、平日に泊まる人は都内で1万5300人と推計し、うち住居の無い人は約4千人と算出した。

 住居の無い泊まり客を年代別にみると、30代(38.5%)と50代(27.9%)が目立った。労働形態はパート・アルバイト38.1%、派遣労働者33.2%、契約社員4.5%で、不安定な働き方をしている人が7割を超えていた。

 都はさらに、住居が無い客ら363人に聞き取り調査を実施。店舗の他に、路上でも寝泊まりする人は43.8%いた。1カ月の収入は11万~15万円が46.8%と最多で、収入がない人は10.7%に上った。

 都の担当者は「今の30代はリーマン・ショック後の派遣切りや雇い止めの影響が大きいと推定される。50代が多いのは、仕事を辞めると再就職が困難だからではないか」としている。〔共同〕

楽天、朝日火災海上保険の買収発表 449億円で

2018年01月29日 21時01分48秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26264610Z20C18A1000000/

楽天、朝日火災海上保険の買収発表 449億円で
ネット・IT
2018/1/29 16:48

 楽天は29日、野村ホールディングス(HD)傘下の損害保険会社、朝日火災海上保険(東京・千代田)を買収すると発表した。株式の公開買い付け(TOB)を30日から3月13日まで実施する。野村HDの保有株式の75%を下限とし、全株取得を目指す。買い付け価格は普通株が1株あたり2664円、優先株は同1万656円。買付金額は約449億9000万円の見通し。

バイオ後続薬、特許が「壁」 先行海外勢が相次ぎ提訴

2018年01月29日 20時41分49秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26254120Z20C18A1MM0000/

バイオ後続薬、特許が「壁」 先行海外勢が相次ぎ提訴
ヘルスケア 法務・ガバナンス
2018/1/29 13:36

 がんなど難病治療に効果が高く、成長が見込まれるバイオ医薬品市場で日本企業が特許の「壁」に苦しんでいる。新薬開発に乗り遅れた日本勢は特許切れの新薬を模した後続品「バイオシミラー」で巻き返しを図るが、海外勢に提訴される事例が増えた。特許が多岐にわたる後続品は特許侵害を回避するのが難しい。特許の相互供与などで特許問題を乗り越えることが成長市場を取り込むカギになりそうだ。

 スイス製薬大手のロシュは2017年、相次いでバイオ医薬品の後続品を開発する日本企業に販売の差し止めなどを求めて東京地裁に提訴した。8月には抗がん剤「ハーセプチン」の後続品を開発する日本化薬に対し、12月は抗がん剤「リツキサン」の後続品を販売する協和発酵キリンに対しての提訴だ。共に16年に世界で6000億円以上を売り上げた大型薬だ。

 いずれも薬が特定の疾患に効果のあることを示した「用途特許」を侵害したというのが理由だ。バイオ薬は動物の細胞などを培養して造るため、有効成分の特定がしにくい。従来型の低分子薬と比べ、特許の権利の幅を広くとっており、新薬と多少の違いがあっても効果が同じなら後続品が特許を侵害しているとみなされる可能性がある。

 加えて、培養条件など製法に関する周辺特許も多岐にわたり、「新薬の特許が切れたと思い参入したら製法特許を侵害してしまう可能性もある」(医薬品特許に詳しい小野誠弁理士)。そのため、バイオシミラーは新薬の特許を侵害しないように回避するのが難しく、訴訟に陥りやすい。

 がんのほか、リウマチなど難病に高い効果があるとされるバイオ薬は市場規模が大きく、成長性もある。16年には世界の医薬品売上高トップ10のうち、7品目をバイオ薬が占めた。英調査会社のエバリュエートファーマによると、20年にはバイオ薬市場が2760億ドル(約30兆円)に達し、世界の医薬品の3割近くになるとみられている。

 だが、日本の製薬会社は世界でバイオ薬の開発が盛んだった1990年代、低分子薬で収益を上げており、バイオ薬の開発競争に出遅れた。そのため、日本企業はバイオシミラーに注力するしかない状況だ。バイオシミラーだけでも潜在市場は20年に13兆円に達するとの試算もあり、その後もバイオ薬を代替する形で拡大が見込まれる。

 一方で、バイオ薬は開発費が拡大しがちだ。バイオシミラーでも採算をとるには「年間売上高100億円程度は必要だ」(みずほ証券の野村広之進アナリスト)。特許侵害で製造中止となるリスクはとりづらい。

 「特許を回避できなかった」として第一三共は17年7月、関節リウマチ治療薬「エンブレル」の後続品開発を中止した。ファイザーが販売し、世界で年1兆円以上を売り上げた大型薬だが、他社特許を侵害せず、かつ収益を上げられるような製法を確立できなかった。

 こうした特許問題の解決策の一つになりうるのが後続品メーカーが周辺特許を取得するなどして、特許を持つ海外勢などに対抗する特許戦略を構築することだ。特許使用料を払うだけなら莫大な額になってしまうが、「新薬メーカーよりも優れた周辺特許を押さえていれば、電機業界のようにお互いの特許をライセンスし合う契約も可能だ」(特許訴訟に詳しい城山康文弁護士)。

 バイオ医薬品市場で国内各社は攻勢を強めている。中外製薬は19年6月にも国内最大級の製造施設を稼働させる。第一三共は国内3工場に150億円を投じて、21年までに生産能力を3倍超に引き上げる方針だ。特許という壁を越えて、新市場を取り込むためにも、薬が一商品一特許だった時代とは違った戦略が必要になっている。

 ▼バイオシミラー バイオ医薬品の後続品。バイオ薬の特許が切れた有効成分を用い、抗体や遺伝子組み換え技術などを応用して造る。バイオ薬の場合、薬の分子構造を完全には再現できないため「シミラー(類似)」と呼ぶ。従来の化学合成で造る「低分子医薬品」は薬の分子構造を再現する「後発薬(ジェネリック)」が普及し、国内市場の7割程度(数量ベース)を占める。
 米系医薬コンサルティングのIQVIAの調べでは、特許が切れたバイオ薬を含む世界のバイオシミラーの潜在市場は2020年に1220億ドル(約13兆円)に達する。高額なバイオ薬の先発品に比べて安価なため、バイオシミラーの普及は医療費の削減にも寄与すると期待されている。

待機児童の「越境入園」しやすく 都道府県単位で対策

2018年01月29日 20時40分56秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26271870Z20C18A1EE8000/?nf=1

待機児童の「越境入園」しやすく 都道府県単位で対策
経済
2018/1/29 19:28

 保育所に入りたくても入れない「待機児童」について、都市部の中でも地域ごとのばらつきが問題になっている。居住地の子どもを優先して受け入れる仕組みがあるため、隣接する自治体間で預けやすさに差が出てしまうためだ。政府は「越境」の入園を促すよう自治体に求め、補助を増額する仕組みを作る。ただ、自治体間の差を埋めるのは簡単ではない。

隣接する自治体間で預けやすさに差が出ている(東京都世田谷区)

 厚生労働省は隣の市区町村や親の通勤途中にある保育所への「越境」入園を促すことを決めた。市区町村との協議の場を作る都道府県を「緊急対策地域」として財政支援する。越境入園に必要な協定を結ぶほか、自治体ごとに違う申し込み様式を統一する。

 現在は、入園選考で保育所のある自治体の居住者を優先する点数制度になっていたり、申し込みに必要なシステムや様式がバラバラだったりする。事実上、越境入園は難しく、例えば東京都では待機児童ゼロを達成した豊島区の隣に、300人以上の待機児童を抱える中野区がある。

 厚労省は自治体の境を超えて保育の需給を調整すべく都道府県単位での調整に乗り出す。待機児童対策に取り組む都道府県を募り「緊急対策地域」に指定。その都道府県は市区町村や事業者が参加する協議会を設け、待機児童解消に向け自治体に協定を結ぶよう促す。

 待機児童対策に向け、緊急対策地域の指定を受けた都道府県に対しては、認可保育所への移行を目指す認可外保育所の運営費の支援額を5%上乗せする。

 政府の規制改革推進会議からの提案を受けて、厚労省が子ども・子育て支援法改正案として通常国会に提出し、4月1日の施行を目指す。

 政府は2020年度末までに待機児童ゼロを目指す方針だ。しかし17年4月時点で待機児童は全国に2万6千人もいる。厚労省は待機児童が解消できていない40都道府県での協議会設置を期待するが議題の設定は都道府県に委ねられている。

 都道府県単位ではこのほか、保育士不足への対策として保育士の育成や研修にも取り組む。また、自治体が独自に設けている保育基準の見直しも議題になる。保育士1人あたり収容できる子どもの数は、保育の質を重視する自治体では国より厳しい独自基準を設けている。厚労省はこれが施設で受け入れ可能な子どもの数が減る一因として見直しを求める。

 越境での入園は、14年から協定を結んで相互の園児の受け入れ体制を整備している横浜市と川崎市の例がある。両市は保育所を協力して整備するなど、地理・行政の枠を超えて待機児童対策に取り組んで効果を発揮している。厚労省は同様の取り組みを全国に広げたい考えだ。

東北電、再生エネ送電5割増 新手法で受け入れ拡大

2018年01月29日 20時40分20秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26270830Z20C18A1MM8000/?nf=1

東北電、再生エネ送電5割増 新手法で受け入れ拡大
経済
2018/1/29 19:01

 東北電力は再生可能エネルギーの受け入れを拡大するため、送電手法を見直す。欧州などを参考に経済産業省が採用を促す「コネクト・アンド・マネージ」と呼ばれる新手法を全国で初めて適用する方針を固めた。東北電が今回適用する送電線の増強計画では、容量は現行の最大約1.5倍となる見通しだ。

風力発電は技術の進歩で発電効率が高まっている

 東北電は現在、秋田県や山形県などを通る主要送電線網を新設・増強し、再エネなどの受け入れ拡大を計画している。ただ、北東北で洋上風力発電の計画が相次ぎ、発電事業者からこの送電線への接続希望が増えている。

 現状では受け入れられず無駄になる電力がでてしまうため、東北電はコネクト・アンド・マネージの手法を使う。太陽光や風力発電など再生エネは発電量のピークが異なる。

 季節や天候に応じて送電線を通る電気の量を細かくはじき出し、容量の「空き」をやりくりし、増強に伴う受け入れ容量を約1.5倍の最大450万キロワットに広げる。新たな設備投資をせずに済む。次世代型の対応策として欧州などで普及しつつある。

 政府は再エネの導入拡大を促すが、送電線の容量が限られて送電できないことが問題視されてきた。コネクト・アンド・マネージを使えば投資なしで対応できる。経産省は指針作りを主導し、全国の電力会社に同様の手法の導入を促す。

 東北電が増強する送電線網への接続には再生エネの入札が多く集まる。経産省は30日、今春の入札で水力や地熱、小規模バイオマスについての特別入札枠を全国で初めて設け、調達する再エネの種類を多様化するよう、東北電に要請、東北電も受け入れる方向だ。

コインチェック暗転前日、冗舌だった経営幹部の甘さ

2018年01月29日 20時39分35秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26255750Z20C18A1000000/

コインチェック暗転前日、冗舌だった経営幹部の甘さ
仮想通貨 スタートアップ ネット・IT
2018/1/29 12:01

 約580億円分の顧客の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題で揺れる仮想通貨取引所大手のコインチェック(東京・渋谷)。金融庁は29日、同社に業務改善命令を出した。28日、約26万人全員に日本円で返金すると表明したが、返金の時期や流出した原因など全容は明らかになっていない。渦中の同社で、仮想通貨事業の中心的役割を担うのは大塚雄介・最高執行責任者(COO)。問題が発覚する直前の25日は日本経済新聞社の取材に冗舌だった。大塚氏の発言からコインチェックの実像を追う。

 JR渋谷駅の新南口改札から徒歩1分のオフィスビル。この3階にコインチェックの本社はある。25日午後5時。応接室で待っていると、シックなジャケットを着こなした大塚氏が入ってきた。この日は2件の講演をこなしたといい、やや疲れの色が見えたが、笑顔は絶えなかった。

 「仮想通貨取引所はすでに1.5強。うちがトップで、ビットフライヤー(東京・港)さんがうちの半分くらい」と大塚氏は自信たっぷりに語った。「口座数は非開示だが、3年かかるところを1年でやってしまった印象」と続ける。顧客の属性についても聞いてみると、「口座数ベースで30~40歳代が中心。男女比では男性が6割、女性が4割」と答えた。

 コインチェックの急成長ぶりは数字からも裏付けられる。主要取引所の売買高をまとめる「ビットコイン日本語情報サイト」によると、同社のビットコインの現物取引高は2017年に約1200万ビットコイン(円換算すると約8兆2000億円)と全体の4割を占めた。取引高の伸びも著しく、16年の約10倍に膨らんだ。証拠金取引などを入れるとビットフライヤーが業界首位だが、コインチェックはビットコインや今回流出した仮想通貨ネムも含め13の仮想通貨を扱う。業界1、2位を争う大手なのは間違いない。

 「現代版ゴールドラッシュですよ」。大塚氏は仮想通貨のブームをこうなぞらえた。一獲千金を夢見て、多数の人々が大挙してくる様子が似ているのだろう。ただ「違いはすぐ隣に億万長者がいること」とも付け加えた。19世紀の米国でははるばる西部まで旅をして金を掘り当てても、その存在が広く社会に知られることはなかった。

 仮想通貨は違う。日本ではビットコインなどへの投資で大金持ちになった人がそこかしこにいる。情報はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を介して瞬時に広がり、それが新たな投機マネーを引き寄せる循環が続いてきた。

 取引所の運営では「(取引を)安定的に供給することに力を入れたい」と力を込めていた。担当者6人で24時間監視しているが、サーバー停止などに陥らないよう取引所のシステムをさらに強固にする必要性を感じていたようだ。

 脳裏にあったのは、「あの時は本当に大変だった」と振り返る17年5月9日の大規模システム障害だ。同日は「通貨の価格が他市場の10倍くらいの異常値がついた。原因究明などのために6時間もサーバーを止めた」のだ。障害発生から取引停止まで約20分間取引が可能だった時間帯があったが、その間に成立した売買をなかったことにするロールバックという措置を適用。ロールバックに納得できない顧客が「会社まで訪ねてきた。電話もひっきりなしに鳴った。2週間休みなしで顧客対応に追われた」という。

 「次やったら、僕、逮捕されちゃいますよ。それくらい今は会社の規模が大きくなっている」。万が一、次にシステム障害が起きたらどうしますかと聞くと、冗談交じりにそう答えた大塚氏。この9時間後、17年5月のシステム障害など比較にならない大事件が起きるとは、想像だにしなかっただろう。

記者会見で大塚雄介COO(右)は歯切れの悪い回答を繰り返した

 26日午後11時30分。コインチェックの和田晃一良社長、堀天子・顧問弁護士とともに東京証券取引所の記者会見室に現れた大塚氏は前日とは別人のようだった。黒のスーツに黒のネクタイを身につけ、表情は暗く沈んでいた。

 記者会見中、事件のあらましを説明し、記者の質問に答えていたのは和田社長よりもむしろ大塚氏だった。だが、被害者への補償の有無や不正アクセスの経路などを問われると「検討中」「調査中」などと繰り返すばかり。それどころか、口座数や取引高といった基本的な情報ですら「株主と相談する」の一点張りで、具体的な回答は一切なかった。さらに、セキュリティー面での甘さをつかれると言葉に詰まり沈黙する場面も目立ち、25日の歯切れの良さは全くなかった。結局、1時間半に及んだこの日の記者会見では、約580億円のネムが流出したこと以外、ほとんど何も明らかにならなかった。

 「モラルのある経営をする」「内部監査室や外部の監査法人も入れ、まっとうにやっていくことが重要」「仮想通貨に対して当局やメディアなどにも理解を深めてもらうよう活動したい」。25日の取材時、大塚氏は何度か「大手としての責任」に言及していた。今回の事件発生からわずか2日で顧客への日本円での補償を決めたことを評価する声も一部にはある。だが、25日に語っていたように「大手としての責任」を感じるのであれば、まずは顧客が納得できるよう、しっかりと情報を開示して丁寧に説明していくべきではないのだろうか。

 「本当は取引所をやりたいわけじゃないんですよね」。25日、大塚氏はこう漏らした。コインチェックは12年の創業当時、「レジュプレス」という社名だった。一般の人々からさまざまな体験談を募り、ネット上で共有するSTORYS.JP事業を展開し、映画「ビリギャル」の原作も生んだ。17年から仮想通貨事業に経営資源を注力してきた。

 「18年は新たなサービスを提供する会社が出てきて、仮想通貨が生活の中に浸透するだろう」。既存の取引所にとどまらず、さらなる事業拡大の戦略を描いてきた大塚氏。ネムの大量流出問題に直面し、その大きな構想の実現は視界不良になっている。

(松本裕子)