やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

子供のためのユートピア

2021年01月14日 | 文学

黒柳徹子さんは現在も、舞台にテレビに活躍されていますが、

「戦後最大のベストセラー」といわれた

「窓ぎわのトットちゃん」を執筆した事でも有名です。

 

 

また、「ユニセフ親善大使」を務めていたこともあり、

慈善活動も精力的に行われています。

 

その黒柳徹子さんの原点は、

やはり「窓ぎわのトットちゃん」の中に書いてある

トモエ学園といえるでしょう。

 

トモエ学園の校長先生は人格者であり、先進的な考えの持ち主で、

障害がある人でも誰でも楽しめる学校を目指した。

 

電車が教室であり、運動会は障害のある人が有利になるような競技を考え、

運動会の賞品は野菜だったりと、

常識にとらわれず、みんなが楽しめる理想郷(ユートピア)のような学校だった。

 

トットちゃん(黒柳徹子さん)は、小学校一年生のころ、

授業中にあまりに落ち着きがなかったため、退学処分となってしまう。

 

その後、入学したのがトモエ学園である。

 

入学する前、トットちゃんは校長先生と一対一で面接をしました。

 

校長先生が

「なんでも先生に話してごらん。話したい事、全部」

と言うと、トットちゃんはあれやこれやしゃべり続けます。

話が無くなった時、

「じゃ、これで、君はこの学校の生徒だよ」と言った。

 

この時なんと、トットちゃんがしゃべり続けていた4時間もの間、

校長先生は話に耳を傾けていたのです。

 

トットちゃんは、今までこんなに長い事

大人の人に話を聞いてもらった事が無かったので、

先生をとても好きになります。

 

トットちゃんは友達に対し、思いやりがあるやさしい子でしたが、

活発に行動してしまう面もあり、

色々と問題を起こす事がありました。

 

その都度、校長先生はトットちゃんに対して何度もこう言います。

 

「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」

 

校長先生は、トットちゃんの事を、問題は起こすものの、

トットちゃんの良い面(思いやりがある所など)を

ちゃんと見ており、周りの大人から問題児扱いしかされていない

トットちゃんを不憫に思いそのように言ったのです。

 

黒柳徹子さんは今でもこの言葉を覚えていて、

この言葉のおかげで、卑屈にならず、自信を持って生きていく事が出来たと

語っていました。

 

黒柳徹子さんが以前、テレビ番組でインタビューで、

なぜ髪型をずっと変えないのですか、と質問された際、

次のように答えました。

 

「わたしはこの髪型でいいんです。

 周りがどんな髪型であれ、わたしはわたしなので。

 ある時から、人と比べる事になんの意味も無いと思って

 人と比べないようにしています。」

 

校長先生の人柄と、倫理感と、

常識を覆すような信念によって、

トモエ学園のような子どものためのユートピアが出来、

そこから黒柳徹子さんのような素晴らしい人が育っていったのです。

 

子どもにとって、人間にとって、社会にとって、

学校はとても大切な場所となるので、

トモエ学園のようなすべての子どもたちに理解のある

学校がもっと増えればいいなと思いました。

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