栗太郎のブログ

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「即身仏の殺人」 高橋克彦

2015-09-05 21:39:05 | レヴュー 読書感想文

チョーサクこと推理小説家の長山と、亜里沙、塔馬、刑事のタコこと山影...。『南朝迷路』の次シリーズ的なこの話。
映画のロケ現場から、100年以上も前のものと思われる即身仏が見つかることからストーリーが展開していき、何人かが殺され、チョーサクたちが事件の絡み合った糸をほぐして解決していく。
まあ、簡単に言えばそうなるのだけど、次々に起こる事件と、堂々巡りの推理に、毎度毎度この作家の話には振り回されて飽きてきた。
真逆の推理を何度も何度も力説するので、もう、誰が誰とどういう関係で、はじめに何が起こったのかさえも忘れてしまう。
「六部殺し」の推測が出てきたときには、困窮した村人が六部(巡礼者)を殺して所持金を巻き上げ、即身仏に仕上げて観光の目玉にしようと目論むスジかと思った。
森敦『月山』にも、ヤッコ(乞食)を殺して即身仏にした噂話があったので、十分あり得るスジではあったがその展開ではなかった。
結末に深みはないし、とにかく、チョーサクの言動がスカしてて鼻につく。
以前は、作者の小説をもう少しわくわくして読んだものだけど、どうもいかん。
ワクワクなし、ドキドキなし、ハラハラなし。イライラあり、サメザメあり。
即身仏を訪れる旅にあわせて読んでみたが、いやあ、面白みがなかった。

ふと巻末をみると、25年も前に初版発行。こういうキャラはこのころにはウケたのかもな。満足度2.5★★☆

即身仏(ミイラ)の殺人 (PHP文芸文庫)
高橋 克彦
PHP研究所





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