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1年半前に乳がんを告知され、手術、治療を順調にこなし、多少の副作用と再発の不安はあるが
告知前とほぼ変わらない暮らしが戻っている。
もしかしたら、無駄な時間を過ごしたくない思いが強く、告知前より活発になっているかもしれない。
本当にありがたいことだ。
手術から1年を過ぎたころ、主治医から人間ドックを受けて乳がんが見つかった際の検診センターのフィルムを渡された。
「もうこれはセンターに返却してもらっていいからね。」
その瞬間、あの悪夢のような一日がよみがえった。
乳がんなんて他人事と信じて疑わずに、例年のように検診センターでマンモを撮影した。
翌日の朝、センターの医師から直接電話があった。
すぐに来るようにとのことだった。
「乳がんですか?」咄嗟にたずねると、「お越しになられてからご説明します。」
あいにくその日ははずせない用事があり(何だったか今は思い出せない)、金曜日だったので
土日をたまらない不安と戦いながら過ごした。
またよりによって、その土日は義父も一緒の旅行だった。
食事は何が口に入ったのかも記憶になく、露天風呂では「一体この胸のどこに腫瘍があるというのか」と
まじまじと胸を見て、自分で出した結論は・・・「あるはずない。」
月曜日までの長い長い時間をやり過ごし、何故か就職活動中の学生のような服でセンターへと向かった。
「一緒に行こか?」と言ってくれた主人には「大丈夫一人で行ける。」と言った。
なんせ「あるはずない。」と信じてたから。
そのつい数日前、主人と何かのイベントのような気分で検診をうけに来たセンターの建物がやたら無機質で冷たく感じた。
案内された狭い部屋には既に私のものらしいフィルムが4枚、照らされていた。
医師 「今回撮影した中で2方向ともに明らかに腫瘍と思われる物があります。」
私 「・・・・・・。」
医師 「このフィルムと紹介状を持って出来るだけ早く専門医に行って下さい。」
私 「・・・・・・。」
医師 「○大病院と○○市民病院ならどちらが都合がいいですか?」
私 「あの~・・・乳がんってことですか?」
医師 「ほぼ9割、そうだと思われます。」
私 「昨年、石灰化って言われたので、それなんじゃないですか?」
医師 「これは石灰化などではないです。全く違うものです。」
私 「じゃあ、どなたかのフィルムと間違えてませんか?」
医師 「いえ、それはないです。」
私 「しこりなんて、さわってもどこにもないんですけど!」
医師 「とにかく専門医に診てもらってください。」
以上のようなやりとりのあと、私は憮然とした態度でフィルムと紹介状を受け取り部屋を出た。
そしてあれから一年が過ぎ、主治医からその時のフィルムを渡された。
主治医に一年前の私の「悪態」とも呼べるくらいだった様子を話したら、主治医は笑って
「そんなのふ・つ・う、普通やで~。誰だってあなた癌ですって言われて平常でいれるわけないやん、
そんなの気にしなくていいよ。」
主治医とのその会話からすでに半年が過ぎ、センターに返すべきフィルムはまだ私の手元にある・・・。
早期に見落とすことなく腫瘍を見つけてくださった命の恩人に、ありがとうも言わず悪態をついた私。
フィルムは普段目がいかない場所に仕舞いこんでしまってた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/88/3c93149186a4e210f20839fa366943b8.jpg)
今朝、快晴の空の下、「やっぱり行ってこよう。」と突然思った。
フィルムを持って、「見つけてくださって本当にありがとうございました。」と
ちゃんと言ってこなくっちゃ。
ここで、皆さんに宣言します。必ず近いうちに行って来ます。
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