夏彦の影法師―手帳50冊の置土産 (新潮文庫) : 山本伊吾
山本夏彦のエッセイ?は、文庫・新書等で何冊か読んだ記憶があります。いつも同じようなことを繰り返し言っているような印象がしていました。ただ時々、亡父の言い方と似ているような気がすることもありました。夏彦氏は亡父より2歳若い大正4年生まれで、やはり世代に共通するものがあるのでしょうか。
ただ、若い?女性に対する積極性は、亡父は夏彦氏の足下にも及びませんが。
本書は、没後に残された手帳から、ご子息が説明をつけて抜粋したもので、百均で見つけたので購入してみました。
以下、例によって印象に残った箇所を抜粋しておきます。
役者の科白が宙に浮いてるやうなのはこまった。言葉が身についてゐないのである。これは役者のせゐばかりではない。今のインテリの言葉といふものはみんな書物に書かれた言葉で、実際語られる言葉ではない。口にすれば歯が浮く、文字にしなければ意味不明の言葉が多い。語彙が紊乱を極めてゐるのがその度にいら/\する。(p.72)
平和な時に平和論を唱える人は、戦争になったら何を言うか知れたもんじゃない、と言えば、分かる人には電光のように分ります。(p.153)
山本夏彦のエッセイ?は、文庫・新書等で何冊か読んだ記憶があります。いつも同じようなことを繰り返し言っているような印象がしていました。ただ時々、亡父の言い方と似ているような気がすることもありました。夏彦氏は亡父より2歳若い大正4年生まれで、やはり世代に共通するものがあるのでしょうか。
ただ、若い?女性に対する積極性は、亡父は夏彦氏の足下にも及びませんが。
本書は、没後に残された手帳から、ご子息が説明をつけて抜粋したもので、百均で見つけたので購入してみました。
以下、例によって印象に残った箇所を抜粋しておきます。
役者の科白が宙に浮いてるやうなのはこまった。言葉が身についてゐないのである。これは役者のせゐばかりではない。今のインテリの言葉といふものはみんな書物に書かれた言葉で、実際語られる言葉ではない。口にすれば歯が浮く、文字にしなければ意味不明の言葉が多い。語彙が紊乱を極めてゐるのがその度にいら/\する。(p.72)
平和な時に平和論を唱える人は、戦争になったら何を言うか知れたもんじゃない、と言えば、分かる人には電光のように分ります。(p.153)
ワニは天下国家を論ぜず 論語記紀兵法のたぐいを引かず その教養は萬朝報都新聞蓄妾の実例を出ずること少なく その見識は両国橋畔にネコを愛でし 柳北山人を出ずること少なし。(p.170)
夏彦がすでにボクより先に日本へ帰つてゐて、習ひおぼえたフランス語の完成に、彼は今一生懸命だという噂をきいた。心ひそかにボクはサ・イ・エと思つた。(p.245)
子供のときから僕は人間しかみていません 人間というものはいやなものだなあと 書き続けてきました(p.330~331)
二十四日に書いて たぶん二十五日に投函したお手紙 二十八日に届くとは何と遅いんでしょう 市川はフダ付きの郵便局で・・・(p.335)
あと、p.360 の、小学4年生の時に書いた綴り方、驚いたような、さもありなん、と思ったような。
仮名遣いがちょっと混乱していて読んでいて気持ち悪いところもありますが、一応、文庫記載の通りにしたつもりです。
ふと思い出しましたが、亡父は戦後も旧仮名遣いが基本の人でしたが、新聞等に書くときは、下手に直されるとみっともないと言って、現代仮名遣いで書いていました。
郵便の届くのが遅いというのも頻りと言っていました。
ふと思い出しましたが、亡父は戦後も旧仮名遣いが基本の人でしたが、新聞等に書くときは、下手に直されるとみっともないと言って、現代仮名遣いで書いていました。
郵便の届くのが遅いというのも頻りと言っていました。