神は運を平等に与え、その行状において幸運、不運が人を訪れ、まとわりつくというが、果たしてどうだろうか。
元参議院議員で農林水産政務次官まで務めた三浦一水氏が、地元単農協の組合長選挙で敗れた。普通なら全盛期にある63歳の彼が、7票もの差を付けられて(理事30名)組合長を辞職。
JA鹿本(山鹿市)は6月23日に理事選出の後で組合長選挙を実施し、その新組合長に大仁田勲氏を選出したが、その一報を受けて県内農協役員の間に憶測、思い込みによる噂が走った。
「JA熊本果実連合会の会長選挙(10月)を前にして、またしても候補者の芽が摘まれた」
表現は悪いが、次期会長と思われていた三浦氏が「モグラ叩き」に遇った、という見解。薩摩の芋づる、肥後の引き倒しは有名な諺だが、この「モグラ叩き」も熊本では必須の政治力学なのか。
確かに前回の同会長選挙前、次期会長候補と見られていた高峰博美副会長が、地元のJA芦北でセクハラ問題によって辞職したはずの前常務理事がクーデターを起こし、そこで高峰同組合長を引きづり下ろし、これによって高峰副会長は辞職となって会長候補の資格を失った。
そこで、三浦JA鹿本組合長も同じく「JA熊本県果実連会長選挙絡みで消された」という説の浮上となったわけだが、どうもこれは彼らの邪気による誤解。
JA鹿本は市町村合併に伴ってJA山鹿、植木、鹿北、菊鹿、鹿央が合併した熊本県では有数の大規模農協だが、その30名の理事による選挙で旧JA山鹿同士の大仁田氏に敗れたのは「人望以外にない」(複数の理事見解)というのだ。背景は「モグラ叩きでも肥後の引き倒しでもなく、任期中の姿勢への反発」と同理事らは語った。
運が上向いたという表現もどうかと思うが一方、これによって93歳の浦田JA熊本県果実連会長の再選が濃厚となったのは確か。
同氏も「震災後の困難な時期に任せられるのは(浦田)会長以外にはない、と組合員から拝み倒されては、それを断る理由はない」と、再選に強い意欲を見せるが、「後は我々に任せて、後見人として少しはゆっくりしてください」と言えるJA熊本県果実連関係者が皆無というのは、それは実に嘆かわしい現状で、そのまま不安な同連合会の明日を懸念させる。JA熊本県果実連は近々、総額約45億円の本部事務所、同工場の改築を迎えるが、それを卒寿を過ぎた会長に白寿まで酷使するというのだから「思いやりに欠けた熊本県果実農協連」(県経済団体役員談)との見解は当然。
その浦田会長のお膝元・玉名市の市長選挙も10月に予定されるが、その選挙に浦田会長の令嬢・祐三子県議会議員が候補予定者として浮上。
「現職が勇退ということで蔵原元市議の再挑戦、田中市議の出馬と噂されるが、いずれも帯に短し襷に長しで、半分は女性票という点からして、県議選挙での1万1千票の得票を考えると答えは明らか。野田毅代議士後援会は一丸となって浦田県議を支援する」(同市建設業者談)
幸運、不運はその行状に関係なく人によって異なるが、夢を途中で砕かれ、涙して天を仰ぐ者に比べ、この浦田親子に神の与えし幸運は、このまま絶頂期へと続く・・・。