モリカケ問題の熊本版ではないが、学校法人熊本学園(目黒純一理事長・熊本市中央区大江2丁目)にも文部科学省、財務省に絡む問題で大揺れする兆候がある。
公益性の高い学校法人が経営する私学の大学、高校は現在、本格的な少子化時代に突入し、量から質への転換、また合併による再編成まで含めた大きな転換期にあるが、同学園もその岐路に立たされている。
同学園には財政改革が第一だと、教授や職員の給与カットを断行した理事長もいたが、幹部職員や教授も人の子というか、生活の向上が第一で同理事長の再選にあっては誰一人として支持する者がなく、現在の目黒理事長の時代に入り、同理事長は二期目を迎えた。
目黒理事長は同学園の熊本商科大学(現・熊本学園大学)卒で、熊本振興(現・熊本ホテルキャッスル)へ就職後に同学園の事務局に転職し、同総務部長、そして事務局長を歴任。
同学園は現在、
「以前の理事は学園関係者を中心としたこじんまりなものであったが、理事長の子息が肥後銀行に就職する前後から同銀行、熊本銀行、鶴屋百貨店、熊本日日新聞社と、地元経済界のトップを並べ出した」(同学園同窓会員談)
学生の就活をバックアップする狙いもあったと思うが、地元トップ企業を引き込み、その理事数は21名と、理事役員からだと都市部のマンモス学園並み。
ところで同学園の西側(熊本法務局と対面)において、そこにスポーツクラブ・ルネサンス熊本(熊本市中央区大江2丁目2-1)が施設を構えている。そのルネサンス熊本の土地、施設が熊本学園の所有物件であると、いまでも同学園の学生らに認識のある者は、皆無といって良いほど極めて少ない。
平成17年、同地及び同施設をJTから購入すると、それをルネサンス熊本に年間8000万円で継続して貸与。
同学園は昨年8月、法人定款の修正(追加・不動産賃貸業、駐車場業、貸事務所業)を行っているが、この間12年間の寄付行為(収益事業)は文部科学省に届け出をしていなかったということにもなる。
当然、年間8000円万円の収入(収益事業)としての特別会計も、どのようにして帳尻合わせしたのか、こうした疑問も浮上する。
もう1つの不可解な点は、貸与にしても施設(スポーツクラブ)という建物(同大江2丁目1903-10)についての未登記(同1903-1、1903-3、1903-10に建物不存在)である。これは利益事業であるルネサンス熊本を含めて課税逃れにも通じることで文科省私学行政課、財務省熊本国税局、法務省熊本法務局の間で「阿吽の対応」となったが、ここは優先順位から法務局の「未登記」を正解として問題を提起。
また現在、ルネサンス熊本の名称で隣接地に新たな施設を建築中(移転建築)であるが、この発注者は熊本学園で事業費は約13億円。
次回に問題を残すことになる震災による寄付金要請も考えた時、この収益事業に基づく発注事業には、違法ではなくとも違和感は残る。
なぜなら公益性の高い学校法人の場合、学校教育に基づく施設の整備が優先されるべきであって、また一方で震災における被災した学生への支援問題を残した中、収益追求の事業を先行させるという第一義は、教育が本文とする学校法人からして誉められないスタイル。
話は寄り道に逸れるが、同学園における同大学の某教授が理事長を務める障がい者団体で、
「障がい者によるレストラン運営を海外まで行って講演(自慢)するのも悪いとは言わないが、その子どもらのレストランで理事長が食事を摂ったことなど見たことがない」
障がい児童の父兄を通じて「福祉とは何か」を教えられたが、やはり教育の基本とは人間性、倫理観。
同学園で育てる学生は、将来の地域経済における担い手。そこに倫理観を喪失させたら果たして、その地域経済はどうなるか。
先に取り上げた反社会的な行為ともいえる問題点について、目黒理事長は総務部長、事務局長、そして理事長と極めて責務のある立場にあった。
ところで、これらの問題について、同学園の関係者はどうなのか、という点だが、同大学の同窓会である志文会(会員94232名)の中で、やはり疑惑追求の手が先行して挙がっていた。
同会の主要役員は笑顔で「いまの段階での発言は控えたい」と質問を制止したが、一般会員は、
「理事の多くは招かれた人々だが、学校関係者もいままでの志文会役員も仲間内であって、見て見ぬ振りを通したところに問題があった」
厳しい見解を示す。
今回、同志文会関係者にも10数名ほどを取材で訪ねて、学校サイドとの間で「訴訟に発展する可能性もある」という声まで出たが、「学校側の歩み寄りの動きもあって、熊本県民特有の『談合』で、最後は『何もなかった』という可能性が高い」という見方も確かにある。
それでも志文会が問題とするのは何か、であるが、先の笑顔での拒否に応えて仮定の話で予告すると、学生へ夏休み自己社会活動の支援として提供される現金が、総額で1万円と決定されて、その負担を学校と志文会からの寄付で折半と決められた。しかし、これについて7千円の補助が国から支出されることを後で知った志文会が、「余った2千円、いや、その7千円は何処へ行くのだ・・・」と、疑問が浮上して怒った、という内容。
そもそも学校法人の目的とは何か。熊本学園の学生らにも決して無視の出来ない問題について次回、文科省や財務省の対応状況を添えて、その問題の核心に入っていくが、回答を推察、解明するのは諸君、学生である・・・。