録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

携帯ビデオプレイヤーが成功する道

2005-10-20 01:25:37 | 次世代ビデオへの懸念
PC業界で「来年こそ流行る」とここ数年言われ続けているのがネットゲームと
携帯ビデオプレイヤー。
もっとも、ネットゲームは単にゲームメーカーが「ひとつ作れば数年儲かる」と
ばかりに流行らせようとしているのはいいが、「別途接続料が必要なのに、パッ
ケージはヘタなゲーム1本より高い」ときてるのだから、どうしようもない。
ファイナルファンタジーやガンダムといったビッグネームもそうなのだから、
おそらく後続も似たようなものになるだろう。接続料で設けたいのなら、
いいかげんパッケージを安くするとか、ダウンロードで無料で配布するとか
にして欲しいものだ。「一月やそこいらで飽きられたら儲からない」とか理由
はあるのだろうが、結局そこが市場の広がりを止めているという事実から
なぜ目をそむけているのか・・・。

おっと、ネットゲームの評価はわたしの関知するところではない。もうひとつ
の流行りそうで流行らない、携帯ビデオプレイヤーの評価である。

携帯音楽プレイヤーが一般的になって、ずいぶんたつ。と、なると
「音楽の次は映像だ!」
と考え付くのは誰しもやるのか、その後いくつか携帯ビデオプレイヤーが発売
されたものの、「売れた」といいきれるものは無い。これは小型テレビへ映像
を送る手段として、VHSテープがあまりに巨大で適さなかったことがある。
唯一、8ミリビデオを使って・・・という製品がソニーから発売されたことがあっ
たが、如何せん8ミリテープはほぼビデオカメラ用に用途が限られており、
自分で撮影した映像などわざわざ移動中に見るものでもない。8ミリビデオ
の据え置きデッキもなくはなかったが、これも元電気店勤務の知人に言わせれば
「だまさないと売れない」
ほど売れなかったそうで、テレビ番組録画手段としては全く普及しなかった。
8ミリビデオに関して追記しておくと、ソニーや東芝が「VHSに変わるテレビ
番組録画用」として8ミリビデオを売りたがったのに対し、買いたがる人間は
「ビデオカメラで撮影した映像の編集用」としてのデッキを欲しがったという、
のちのDVデッキとは逆の現象になったという事実がある。
それはさておき、時代はすすみ、音楽も映像の全てデジタル技術によって
”データ化”され、巨大容量のSDメモリカード等を使えば長時間の映像を
収めることも可能となった。ついに映像も持ち歩ける時代が来るのか・・・、と、
デジタル好き人間ならばみんな思った。が、今もってその時代はおとずれては
いない。

理由はいくつかあるが、それは全て「音楽と映像は異なる」という部分に帰依して
いると思う。
音楽プレイヤーならば、ヘッドホンによって耳の中に直接音を響かせ、それなり
に迫力のある音楽を楽しむことが出来る。が、映像の場合、機械の小ささは
必然的に画面の小ささにつながってしまう。大きく迫力不足となることはいなめ
ない。そうでありながら、映像は横にいる人からも見えてしまう。携帯ビデオ
プレイヤーはどうしても明るくないとダメなため、ただ横にたっている人の目
も引いてしまう。ここが同じ携帯ものでも、音楽や読書と最も異なる点だ。
自分の見ている映像を人に見られるということは、なんとなく自分の部屋を
除かれているようなもので、誰しもあまりいい気はしないだろう。一応、
かつてグラストロンという、メガネ型ビデオプレイヤーが存在したことがあり、
これを使えば上記の2点は解決する。が、今度は周囲が見えなくなってしまう。
部屋で自分ひとりで大画面代わりに楽しむのならばともかく、持ち歩くには
いろんな意味で危険すぎた。ので、やっぱりあっさり消えた。正直、この2点
の解決手段は無いと思う。もし携帯ビデオプレイヤーが流行るのならば、
この欠点に目をつぶってでも使いたいと思わせるものがないとダメだろう。

さらにもう1点、欠点をあげるとしたら、映像は空いたちょっとした時間に
楽しもうとするには、不向きなほど長いものが主流であるということだ。
これに関し、iPodはミュージックビデオを販売する、という手段で使用方法
を提案する。確かに、これならば短時間でも楽しめるが、歌い手の顔や踊り
などどうでもいい。曲さえ聴ければいい。それならば音楽プレイヤーで十分
だ、という人がほとんどではないだろうか。こうなると、iPodの提案もから
回りに見える。

ならば、携帯ビデオプレイヤーに未来は無いのか? と聞かれれば、あると
思う。携帯ビデオプレイヤーで扱う映像を、普段テレビで使う映像と分けな
ければいいのだ。録画した番組をDVDのような大きなメディアではなく、
メモリカードに”余計な圧縮を行わないで”720x480の解像度で保存し、デッ
キでも携帯プレイヤーでも、どちらでもそれなりので視られるようにすれば
いいのだ。番組をキリのいいところまで電車やバスの中で視聴し、続きは
家に帰ってデッキで視る、あるいは携帯ビデオプレイヤーを直接テレビに
つないで視られるようにするのだ。もちろん、レジュームは機械を越えて行え
るようにする。これなら使い道はグンと増える。
さらに言えば、メモリカードなどではなく、自宅のパソコンからネット配信
で録画した番組が視られるようになれば、もっと使い勝手はよくなる。
これならば、パソコンのチューナーから映像をリアルタイムで送れば、総務省
が進めている「デジタル放送が携帯電話で見られる機能」など、完全に不要だ。
大容量のHDDからの転送ならば、その時の気分で好きな映像を視ることが出来る。
もちろん、この転送される映像は圧縮されたもので良く、データが大きくなる
必要はない。これぞ、わたしが夢見る理想的な携帯ビデオプレイヤーである。

ただ、これもデジタル放送の録画ガードが阻んでいるのもまた事実。もし、
日本が何よりも録画番組を活用させないことを何よりも最優先するのならば、
携帯ビデオプレイヤーが普及することなど絶対にない。と、なると、iPodなど
も期待しないのが懸命かも知れない。人が見たがるのは、録画だろうと購入品
だろうと、自分で蓄積した映像なのだから。
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