録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

閉鎖的商売方法は電子書籍に向いているのか

2011-02-28 22:43:06 | 意味なしレビュー
先週発売になったのを今日まで知らずにいたのですが、10年前に休刊した雑誌「パズラー」の全盛期に掲載されたパズルを掲載した「復刻パズラー傑作選」という雑誌が出ておりました。


復刻パズラー傑作選 2011年 04月号 [雑誌]
世界文化社
世界文化社

↑写真のために一応アマゾンリンク貼っておりますが、もう売り切れているようです

懐かしいなぁ・・・。ウチと全く雰囲気違う雑誌を紹介しているので何を血迷ったかと思われる方もいるかも知れませんが、わたし、休刊前にここでバイトで出入りしていたんですよ、東京にいた時に。パソコンの使い方も文章の書き方もここで習ったようなもんです。もう10年以上立つんですか。今の編集長とゲームボーイ版ウィザードリィについて熱く語ったのが遠い過去です。そういうわけで、全くジャンルは違いますが、ある意味このブログの原点ですので、本屋で売っていたら手に取ってくださいませ。一部わたしが手直ししたパズルも載ってます。


で、最近ネタがなくてサボっていたのですが、ほうっておいてもネタが出ないので一度ボツにしようと思った話でも。

「創刊号は特別価格」なCMでおなじみディアゴスティーニから先日アンケートがきたんです。中身は「電子書籍についてどう思いますか」というもの。その一部が「iPhoneやiPad用電子書籍を発売することになったらどう思うか」・・・細かいことは忘れましたが、こういう風な質問に、選ぶのではなく文章回答する項目があったんです。ちょっと考えた末、こう書いておきました。

"機種依存する電子書籍なら欲しくない"

実際検討している電子書籍は違うのかも知れませんが、ディアゴスティーニは主に特定のマニア向けの、長期保存を目的とした付録付き雑誌を主力商品とした出版社です。できればさまざまな形態で楽しみたい雑誌を出して欲しい。それが画面の小さいiPhoneやiPodTouh用ソフトでいいのかという思いが強かったのです。もちろんそのためにiPadを買う手はありますが、APPLEがAppStoreから以外の専用データ~それが例えAppStoreで販売されているソフトが必須のデータであったとしても~難色を示して事実上禁止している以上、iPadが電子書籍の主力になるとはわたしにはどうしても思えないのです。

じゃぁ何に使える電子書籍なら良いのか、と言われると、これが無い。と、言うより、"機種依存一切無し、リーダーはもちろんPCでも読めるもの"なのなら欲しいと思うわけで。こうなるには電子書籍自体が完全オープンになる必要があります。一方現実の電子書籍は完全プラットフォーム依存で、一度買ったら最低でもそのサービス互換品を使い続けないと使えない、乗り換えることができない閉鎖的方式が採用されています。それがいくつかある、というのが現状。これがオープンになる日は来るのでしょうか? おそらく永久に来ないでしょう。
わたしら消費者の立場から見れば当初は閉鎖的でも市場が広がるにつき開放的になるのが良いわけですが、実際のあらゆる商品展開を見ると、むしろ開放的商売から閉鎖的商売へと移行するケースの方が多いわけです。
例えばPCのCPU。当初286くらいまではIntelはセカンドソースを提供して「そのもの」を作るライセンスを多くの半導体製造会社に与えていましたが、386以降PC市場の広がりを見てセカンドソースを提供せずに独占する閉鎖的商売方法に変えました。現状のAMDは286以前のソースを独自に拡張・発展させたものに過ぎません。
最近のわたしらに身近な同様の移行には、言うまでも無いテレビ・レコーダー市場が上げられます。オープンで誰でも製造して作ることができたテレビ、ライセンスが簡単に得られたVHSビデオといった自由な時代を経由し、日本だけ談合によって決まった規制を守らせるためにB-CASの許可を得てカードを発行してもらわなければならない閉鎖的商売方法にいこうしたため、海外メーカーや安売りメーカーが市場参入できない独占的市場へと変化しいます。ただ、それによって世界の動きと全く違う、携帯電話に続く第二のガラパゴス市場になりつつありますが。

このように機会さえあれば閉鎖的商売で一部の独占にしてしまいたいのが営利企業というもの。普通なら独占禁止法ものですが、一社でなく談合で行っていると特に日本では独禁法で取り締まられることが滅多にないので、電子書籍でもいくつかの会社がグループを作って、成功の暁には利益を効率的に得られる立場を作ろうとしているわけです。ところが、本と言う物はある意味特殊な存在です。刹那的娯楽のために必要とするケースもあれば、一生手元に置きたくて購入するケースも珍しくない商品です。現状の電子書籍展開は、すべて前者を前提として行われているように見えます。オープンにせずに閉鎖的商売では後者のケースを満たすにはどんなに売れなくても決して撤退せずに誰かがデータを保存し続けるしかありませんが、それは不可能でしょう。

実際電子書籍はまだまだ普及していないようです。

電子書籍元年は幻だったのか? 現状を確認してみた

いくら将来性を見越して開放的商売を経由せずに最初から閉鎖的商売を展開しても、誰も乗ってこないのでは話になりません。現在は販売の電子書籍より自炊の方が話題になっているくらいです。自炊はなるべく一生に近い期間、本を手元に置いておきたくてやるものですから、現在の電子書籍の展開とは真逆です。これら見ただけでどちらを世間が求めているか分かりそうなものですが。
と、こういうことを書くと「オープンにするとP2Pで配布されて売れなくなる」という反論が返ってきそうです。ここでちょっと思い出すのがデジタル放送の規制方式として採用されるという話もあったEPN。これと同じ技術(本当にあったかどうか知りませんが)採用できなかったのでしょうか。そして、一定期間~廃刊となってからは完全自由な状態に変換できるようなる。最低でもこのくらいのことをやらないと、掛け声だけで普及せずに、2~3年後には「結局電子書籍とはなんだったのか」、という記事がWEBに踊っていることでしょう。

ちなみに、パズルは一見電子に向いているようですが、データ入力だけで解けるパズルって、難度を高くすることが出来ないんですよね。今は難易度が高くて作家のアイディアが光る、最初に紹介した雑誌に載るようなパズルは流行らないようなので今なら電子化も出来そうですけど、一度はその件で侃々諤々喧々囂々喧々諤々した身としては寂しいです、ハイ。

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9 コメント

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Unknown (emanon)
2011-03-01 01:16:22
 ディアゴスティーニか… 最初は光る恐竜骨格模型とか歴代武将 後なんだっけな毎回山のように送られてくるのには置き場に困ったけな毎週平積み面積が侵略されてさw いまのフタツキ鍋あれもディアゴ?

電子書籍は長続きしないだろうし談合でいいから統一規格にしてせめてページ単位従量制にしてほしいなと 
バッテリーもったいないから結局音声で読み上げてもらえないと不便でしょうがないし、今でも有るか知らないけどラジオドラマ風とかにしてもらえると楽なのではと思うのですが あ、全否定してしまってる読み上げソフトでいいですw

電子書籍とはその週出た雑誌の読みたい物だけページ単位で読めるこれが良いです、世の中お店に並ばないが良いものを出している本はたくさん有りますからね 雑誌がない位だとその出版社の物が全然なかったりしますし
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Unknown (たっくん)
2011-03-01 05:59:27
書籍なら、青空文庫で公開という手も有りますよね。
で、挿絵とか付いたモノは閉鎖商品として売るとか・・・
ラノベだったら、そういう売り方も有りだろうなぁ~とか考えました。

最初から文字だけの純文学とかの商品は・・・どうしたモノでしょうねぇ?
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Unknown (krmmk3)
2011-03-01 22:19:59
>emanonさん
それだとあまり書籍っぽくないですね。もっとも昔で言うところの「マルチメディア」的な電子書籍があってもいいと思いますが。従量制は、やりたがらないでしょうね。雑誌では売り上げより広告の方が重要な収入源になっているものもあるようですし。

>たっくんさん
青空だと基本無料の概念が崩れますし、ちょっとなさそうです。いっそ某所のように電子書籍は廃盤に限るとかにしてしまえばいいかも。
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Unknown (arpus)
2011-03-02 01:52:20
この手の本の出だしで流行っていた頃にナンクロの問題を打ち込むと塗りを支援するソフトを作って、次第バージョンアップして自動的に答えまで作ってしまうソフトを作っていた人がいました。
そこまで行き着いて何のために本を買っているのか訳分かんなくなって飽きてしまったみたいですけどね。w

電子書籍に関してはまずソフトバンクが例の裏技系の本を出すべきですね。
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Unknown (krmmk3)
2011-03-02 22:51:22
>arpusさん
ナンクロはさすがに見たことありませんが、他のパズルに関しては自動回答ソフトみたいなのは昔からありますね。わたしがいたころは「難易度測定もチェックも自動で測定できるソフトを開発したから、有料で校正してやる」みたいな売り込みがいくつかありました。
ソフトバンクって昔からいろいろ仕掛けてくる企業ではありますが、電子書籍はどうなんでしょうねぇ。iPhoneの敵になるようなことは出来ないように思えます。
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Unknown (nekoto)
2011-03-03 05:23:30
 Sony Readerを買ってからXMDF形式の電子書籍をいろいろ買っています。
 Sonyが運営する公式の販売サイトで買うとDRMつきになりますが、それ以外の所では(出版社などが集まって作っている「電子書籍パブリ」のような販売サイトの場合でも)DRMは掛かっておらず、PCでもReaderでもGALAPAGOSでもXMDFリーダーをいれたスマートフォンでも、好きにコピーして読めます。
(出版社によっては、ファイルには購入者を識別できるデータが埋め込まれていると書かれていましたので、不用意にそのままインターネット上に公開したりすると誰が漏らしたかわかるんだろうとは思います)

 不満点は、挿絵のサイズが小さくて、挿絵内の文字もまともに読めないレベルなくらいです。これは規格の問題ではなくてやる気があれば今すぐ改善出来るので、是非やって欲しいところです。

 ただXMDFはフォーマット自体がクローズドで仕様も公開されていないので、一般ユーザーや小規模なクリエイターが自由に作成することが出来ないという別の問題を抱えていますが……

 フォーマット自体のオープン性では、既にアメリカで普及しているEPUBに少し期待しています。日本語書籍に対応出来るよう縦書きの仕様がもうすぐ固まることですし。
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Unknown (krmmk3)
2011-03-03 21:23:10
>nekotoさん
ああ、さすがにわたしに言われるまでもなくEPN的なことをやっているところもあったんですね。知りませんでした。すいません。
フォーマットの独自性は問題ですね。でも、ソニーはPDFとかも読めますからまだいい方では。それすら読めないのはちょっと・・・と思います。
日本には日本語という大きな壁がありますから、出版界の力で簡単に国際標準に逆らえそうな気がします。あまりいいことじゃないですけどねr。
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Unknown (をやじ)
2011-03-04 22:57:26
電子書籍のフォーマットはPDFだけで十分だと思います。
なんで余計なフォーマットを乱雑させるのでしょうか?
自社フォーマットによる囲い込みなのかと思いますが、世の中の”オープン化”とは相容れない「バカ丸出し=自己中心」フォーマット乱発ですね!!

もっともアドビも商業印刷用のpdf/Xとかアーカイブ用のpdf/Aとか色々と出していますが、いずれもオープンフォーマットでISO化の対象で。
電子書籍のフォーマットって何なのでしょうか?
そのうちに電子書籍用のpdf/Bとかが出たりして(謎)
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Unknown (krmmk3)
2011-03-06 20:13:52
>をやじさん
PDFは便利ですしね。ただ、権利者としては便利ゆえにダメなんでしょう。不便にして管理下に置きたいと。そこら辺が日本の閉鎖的商売のダメなところですね。
PDF/Bが出たとしても、日本の電子書籍は採用しないでしょうね、独自フォーマットにこだわることでしょう。
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