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録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

その正体は・・・ ハマー・プロの怪獣映画 "怪獣ウラン"

2016-12-25 22:38:23 | 特撮・モンスター映画
サイレンナイトにホーリーナイト、シングルベルベルジングルベルベル鈴が鳴る。今日12月25日クリスマスです!

・・・てなことを毎年書きたいがためだけに書く本日のブログ(笑)この2日の間に届きましたDVDのことでも書きましょう。今回購入しましたのは、もちろんわたし得意のクラシックSF映画、それも怪獣ものである作品"怪獣ウラン"です。

怪獣ウラン [DVD]
ディーン・ジャガー,エドワード・チャップマン,レオ・マッカーン,ウィリアム・ルーカス,アンソニー・ニューリー
ランコーポレーション


ただし、原題は「X...the Unknown」であり、本作では一言も「ウラン」という言葉は使われていません。放射線物質としてはもっぱらコバルトが使用されています。確か天然もののコバルトは純度の高い放射線物質ではなかったような気がするのですが、放射線~放射能~をイメージしやすい物質としてコバルトが使われたのでしょう。日本公開版のタイトルにウランが使われたのも同じ理由と思われます。
そのタイトルが示す通り、本作では放射能がテーマとして使われています。作品途中では被ばくによって息子を失った父親が科学者を責めるシーンもあり、日本の怪獣映画ファンから見れば「反核映画」と言うかも知れません。ガイガーカウンターの使用訓練に始まり、地下からのコバルトの発掘と採集、半減期をまたない謎の放射線の消失など胡散臭い空気は漂うものの、なかなか怪物らしき存在は姿を見せません。ただ、犠牲者の反応が、最初の「驚く」だけから「恐れおののく」「銃で反撃する」と言った「そこにいる何か」を徐々に感じさせていくものへと変化していく様はなかなかドキドキものです。作品半ばで主人公の科学者からエネルギーとして放射能を吸収するために彷徨う生物の仕業という推理が語られますが、その時点でもなお、怪獣は姿を現しません。ようやく画面に出てくるのは全体時間の2/3を経過したあとのことです。そこを含めても怪獣の登場シーンはごくわずかで、特撮シーンは少なく、怪獣ものとしては物足りません。その代わりに怪獣がまだ小型な時点で襲われた犠牲者の被ばくしたやけどの痕や溶けていく造形物の見せ方が秀逸で、映像がモノクロであることや造形物の表示時間を短くすることで不自然さを最低限に抑え、今の基準でもなかなか見られるものとなっています。
まさに満を持して、という印象で姿を現す怪獣ですが、その姿は粘ついた液状の不定形のもの。本作はイギリスのハマー・プロのSF映画第二作目ですが、第一作の「原子人間」をはじめ、いくつかの作品でこうした不定形型の怪獣を登場させており、前作のヒットを受けて同社の得意パターンを確立した表現と言っていいでしょう。その正体ですが、地球がまだドロドロの液状だったころから存在し、表面が冷えると同時に内部に閉じ込められたエネルギーが知性を持ち、地表に現れてきた生物・・・という推論がありますが、それを正しいとすると・・・。その正体、どう考えても地球そのものです。作中では怪物を「殺す」と言っていますが、地球を殺すことは人類を持ってしても不可能、やれば人類もまたともに滅ぶのみですから。そのせいか、クライマックスで爆発によって怪物は倒れた・・・かに見えた直後にもう一度爆発があり、その原因は一切提示されぬまま、映画は終了しています。特撮やドラマはともかく設定は壮大で、不定形なことを合わせても日本では描きにくく、かつ放射能を捕食する怪獣と言う概念を、おそらく初めて使った記念すべき怪獣と思われます。一見の価値は十分あると言えるでしょう。

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