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90歳の俳人・金子兜太イイネ『やれ打つな蝿が手を摺り足をする』

2014年03月15日 | 俳句
昭和37年、現代俳句協会の分列翌年に創刊した「海程」を砦に、前衛派の騎手として現代俳句界をリードしてこられた金子氏の舌鋒の鋭さと熱気には、く
90歳という年を感じさせないものがある。

何よりも人間を描く金子氏は、一茶、山頭火ら放浪漂泊の俳人の再評価を通じて、いのちの本質を見定める。
人間は世間欲にとらわれれる一方で、ナイーブな感性、本能も備えている。森から野に出て、歩行をはじめた人間のふるさとは森。すべてのいのちが平等である、この原郷を志向する本能が「生き物感覚」です。

2万句を越す一茶の句を見るとふたつの本能の間に葛藤する人間の様が見えてくる。そして60歳の正月に一茶は「荒凡夫として生かしてほしい」と書く。荒凡夫、即ち自由で平凡な人間でいたい、と。

やれ打つな蝿が手を摺り足をする、も。ハエは手足のさきでモノを識別する、という最近の学説を見ると、あれは手足を磨いて感度を良くしているだけ、一茶はただ、それをじっと見るる。

現代、欧米200万人ハイク熱だが、その火付け役。一茶を最も人間的と評した。生まれ育った秩父。

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