手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

天狗になるな

2015-05-15 06:37:51 | 手話
むかし昔そのまた昔、手話を学び始めた時からずっと、
「天狗になってはいけない」
と自戒していた。
それでも、凡人の悲しさと言うべきか、天狗になった。

そうなってしまった原因の一つが、親友Kの存在である。
当時はまだ学生だった。同じ学部にろう学生Kがいて、彼と友達になり、毎日のように会っていた。
最初は筆談で会話していたのが、手話が上達するにつれて筆記用具は不要になった。
一緒に飲みに行って冗談を飛ばし、楽しく過ごした。
Kとの会話には何の不自由も感じなかった。

もう一つの原因が、市の手話通訳者認定試験に一発合格したこと。
まわりから「天才!」と囃し立てられた。
凡人の悲しさ、舞い上がってしまった。

しかし、手話通訳者として現場に出て、天狗の鼻をへし折られた。
当然のことや。

いつも会っているろう者と会話がスムーズになるのは当たり前。
これは、相手のろう者が自分に合わせてくれている側面が大きい。

試験なんて水物である。
合格した人が優秀、というわけではない。


天狗の鼻をへし折られると、凡人は落ち込む。俺もそうやった。
困るのは、天狗の鼻を折られて、そのまま手話通訳活動をやめてしまう人たちがいることだ。
打たれ強くないと、手話通訳活動を長年続けることはできない。