手話通訳者のブログ

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相槌の手話表現

2015-05-02 00:44:28 | 手話
まずは手話から離れて、日本語で会話している時、どんな相槌をうつだろうか。
「うん」
「へー」
「そうなんだ」
「へー、本当!?」
などなど。

で、手話の場合も、様々なバリエーションがある。
「意外」の手話。
「本当」の手話。
「そうですね」という手話。
「わかる」の手話。
などなど。

ただ単に頷くだけだと、ろう者は、
「この人、私の手話がわからないのではないか・・・」
と不安に思ってしまう。
ここが、日本語と手話の大きく異なるところ。
日本語の場合、ただ肯いて聞いているだけでも問題ないが、手話の場合、これはよくない、
特に、ろう者と手話通訳者の会話の場合、よろしくない。

特に初対面のろう者の手話通訳に行った時などは、
「ちゃんと聞いて(見て)ますよ」
ということを積極的に表現した方がいい。
こういう表現も上記の相槌の手話だけではなく、様々なバリエーションがある。

例えば、病院での通訳場面。
相手のろう者が通っている病院なら、
「前回の診察の時、こう言われた」
という話題がよく出る。
相手が「医者」、「言った」と表したら、相槌をうちながら、こちらも「医者」「言った」と返す。
手話通訳者が返した手話を日本語にするなら、
「へー、医者にそう言われたんだ」
みたいな意味。
この相槌には確認の意味もある。
こういう表現をした時に、相手が、
「違う、医者じゃない。看護師に言われた」
なんて言う時もあり、正確なコミュニケーションのためにも必要なやりとりである。

蛇足ながら付け加えると、
「ろう者は手話を間違えない」
という都市伝説に騙されてはいけない。
聴者が日本語で話している時だって、言い間違えることはある。
そして、言い間違えたことに自分で気づいていないケースも多い。
ろう者だって同じである。

「私は手話の読み取りは完璧だ」
という自信満々の手話通訳者がトラブルを起こすのは、こういう原因である場合が多い。
ろう者は、「通訳者が読み取りミスをした」
と言うし、
手話通訳者は、「ろう者が言い間違えたのだ」
と言い張ってトラブルとなる。

どちらが正しいか、なんて、どうでもいいことだ。
手話通訳者は「通訳」をより質の高いものにするために不断の努力をすることだ。