< *印 新仮名遣い >
三谷和夫:新殻を皇居に納めし記念の碑八十年経て田の畦にあり(新アララギ2017.10)
佐々木フミ子:自爆テロ嘆き言ふ孫に聞かせたり日本がはじめの自爆「特攻隊」 (新アララギ2017.10)
木村和子:玄関にインパチェンスと鳳仙花沈む心に気合をくれぬ(新アララギ2017.10)
千葉照子:夷隅産のローストビーフを腹に入れ夫と歩めり養老渓谷(歌会2017.10)
須田博:転移無しと術後の経過報せくる娘の声の弾みて聞こゆ(歌会2017.10)
今野英山:墓庭に朝の光のそそぎゐて清明(しーみー)終へしもとの静けさ(新アララギ2017.10)
高橋毬枝:届きたる梅干しの大瓶の脇埋めてぎゅう詰め野菜の百面相出づ(新アララギ2017.10)
山崎日出男:山峡に唐臼の音のどかなり韮の花咲く里の夕暮れ(歌会2017.10)
麦島和子:*望みたる医師の許へと転院する母の気持ち面輪に現る(新アララギ2017.10)
岸野トモヱ:*元山は父母移住せし街にして兄姉生まれ育ちし地なり 元山ーげんざんー北朝鮮の街(歌会2017.10)
大倉康幸:*故郷に帰り住むという人居るが帰れぬ我は踏ん張るしか無し(新アララギ2017.10)
相川盈子:*日野原医師を手本に夫と迫りくる日のありようを確かめ合いぬ(新アララギ2017.10)
宮本通代:ドライアイと診断されし我が眼人知れず泣く涙出ぬまで(新アララギ2017.10)
葛岡昭男:*金色の稲穂かがやく名月の夜農継ぐ友の通夜におもむく(新アララギ2017.10)
渡辺澄子:*カナカナと愛しむように茅蜩(ひぐらし)の鳴きていたりし終戦記念日(歌会2017.10)
石川芳江:*ひさかたの雨に木槿の白き花底のくれない色冴え冴えし(歌会2017.10)