新アララギ福島歌会が開催

６月２６日（日）に福島市内で「新アララギ福島歌会」があり、手賀沼アララギからも今野が出席しました。

講師は雁部貞夫先生で、東京や新潟、仙台などからの参加者も含めて４６名の出詠でした。
震災や原発事故の影響の大きい浜通りからの参加者も何人かおり、黙とうで始まる歌会となりました。

福島歌会の参加者の、震災を体験したならではの歌を、新アララギ６月号から拾ってみます。

・がうがうと荒波よせて目の前のテトラポッドに高く砕ける（南相馬市　但野惣一）
・屋根瓦いづこを見ても飛ばされて吾が家のものも庭に散りぼふ（南相馬市　海老原廣）
・外出を避け窓を閉ざして放射線マイクロシーベルトを注視して居り（同上）
・基準値を超ゆるベクレル牛乳に水道にゆらぐわたくしの町（川俣町　水口美希）
・原爆をチェルノブイリを思ひゑがき四十キロ圏内に今日も起き伏す（同上）
・高台に逃げし少女は泣きながら声の限りに「お母さん」と呼ぶ（二本松市　渡辺及子）
・「福島より脱出します」と隣家の人ら東京行きのバスに乗り込む（福島市　桵沢よし子）
・インシュリンに命存ふるわが友を地震津波放射能襲ふか（会津若松氏市　小野木正夫）
・インシュリン手に入りたりや六日目に無事を知らせ来避難先より（同上）
・余震続く夜を仄かに点し読むソローの『森の生活』（棚倉町　石井弘子）
・大地震にいまだ飲み水無き友の明日は夫の一周忌といふ（喜多方　内海吉子）
・一人住むわが家に避難せし七人にて蝋燭かこみ飢ゑを凌ぎぬ（仙台　佐藤三代）

なお掲載した写真は、６月２５日の相馬市の現状です。

２０１1年８月歌会のお知らせ

開催日　　平成２３年８月１４日（日）午後１時～４時３０分
会　場　　手賀沼湖畔　アビスタ第３学習室
講　師　「新アララギ」選者　雁部　貞夫先生
内　容　　短歌作品の批評、添削指導
会　費　　１８００円/月

☆見学もできます。（見学の場合は１０００円/回）　事前に短歌三首を提出すれば批評・指導が受けられます。
☆雁部先生は全国で屈指の短歌結社「新アララギ」の編集委員・選者です。登山家としても知られています。最近　歌集「ゼウスの左足」を刊行しました。
☆参加希望者は下記にメールしてください。
teganumaararagi@goo.jp　手賀沼アララギ短歌会

２０１０年７月歌会はありません

7月は新アララギの全国歌会があり、講師先生のご都合で手賀沼アララギ短歌会はお休みです。

次回は８月歌会（８月１４日）となります。

会員の作品（2011年5月）

三谷和夫：我より若き君自死せしは何故ぞ語り部なりしを自ら断ちて（新アララギ2011. 5）
佐々木フミ子：さまざまに草の実弾くる音を聞く頬熱きまで野火に近づきて（新アララギ2011. 5）
関澤喜久子：孫のため『しずくの冒険』購ひぬ理科への心の動き願ひて（新アララギ2011. 5）
細田雄子：冬ざれの湖辺に葦の彼方見つおのづとうかぶ俤ありて（新アララギ2011. 5）
小口勝次：吾は二度わが子も二度目の単身赴任孫三人も慣れきたるらし（新アララギ2011. 5）
松本ゆき：鞄肩に少しくかがむ後かげ宮地先生を見送るコビアンの前に（歌会2011. 5）
木村和子：「てらさん」と吾ら親しみし寺島先生吾の看護人生を導き給ひし（新アララギ2011. 5）
千葉照子：分かり易き言葉の歌を導かれし師とお訣れす日の射す寺に（歌会2011. 5）
坂巻志津江：「霞みつつ紀伊の国見ゆ」詠みましし歌先生憶ひつつ涙湧き出づ（歌会2011. 5）
須田博：お一人様一点限りと貼り紙の食品棚に納豆の無し（歌会2011. 5）
今村和平：咲くも良し散るも良きかな花吹雪閖上（ゆりあげ）浜のあの賑はひは（歌会2011. 5）
今野英山：MRIの打撃音とどろく暫しの間異次元世界へわが身委ねる（新アララギ2011. 5）
高橋毬枝：憂き時を乗り越えし人の寡黙なりきまなざし優しき母の浮び来（新アララギ2011. 5）
小熊宗克：震災に強制避難命じたる人は多分「疎開」を知らない（歌会2011. 5）
山崎日出男：去年（こぞ）も見し今井の桜をこの春はこころ悲しく地震（なゐ）の後に見る（歌会2011. 5）
岸野トモヱ：手賀沼の周りに水田（みずた）の広がりて我ふるさとのけしきなつかし（歌会2011. 5）

会員の作品（2011年4月）

三谷和夫：中学四年は勤労動員に元日もフライス盤にて砲をつくりき（新アララギ2011. 4）
佐々木フミ子：見たくなきもの見し思ひ「ブックオフ」の百円コーナーに歌集の並ぶ（新アララギ2011. 4）
関澤喜久子：娘の夫わが家に慣れしか冷蔵庫より缶のビールを取り出だしたり（新アララギ2011. 4）
細田雄子：名のみ知るひとにてありしがこの街に通ひて知り得し加瀬完先生（新アララギ2011. 4）
小口勝次：戦前に田沢湖より移しし国鱒が西湖（さいこ）に棲むを「さかなクン」見出す（新アララギ2011. 4）
松本ゆき：「少女の友」始めて手にせしはいつなりしか表紙なる淳一の絵を今に忘れじ（歌会2011. 4）
木村和子：正月に葉の出揃ひし八頭水盤に茎を朱に染めつつ（新アララギ2011. 4）
千葉照子：余震のなか吾は絵画を描（か）き居れど絵画は人の助けと成るか（歌会2011. 4）
須田博：震災に遭ひたる義弟の無事を知る取材受けゐるテレビの画面に（歌会2011. 4）
今村和平：想い出も「東北震災」の津波攫ふか十年住みし仙台の街の（歌会2011. 4）
今野英山：屋根の雪等しく融かす智恵なりき合掌の棟のそろひて並ぶは（新アララギ2011. 4）
高橋毬枝：出来合の二十重は浪費なりと尽日の厨に子は勢へり（新アララギ2011. 4）
山崎日出男：さざんかのくれない見れば想ひ出づ父逝きし日の雪降る朝を（歌会2011. 4）
岸野トモヱ：沈丁花連翹とつながり咲くころは父の造りし竹垣を想う（歌会2011.4）

会員の作品（2011年3月）

三谷和夫：いつになく君も我もはや顔に出でて「五人娘」を飲みかはしたり（新アララギ2011.3）
佐々木フミ子：夕茜みちきたる街空に防犯呼びかくるスピーカーの声（新アララギ2011.3）
関澤喜久子：集ひ来るママらにいつか短歌をと娘に頼まれて元気わきたり（新アララギ2011.3）
細田雄子：不惑となりしに何に触発されたるや週末の大方子は山へいく（新アララギ2011.3）
小口勝次：南恰島（ナミソム）に会ひたる少女の微笑みは拉致されし横田めぐみさんと重なる（新アララギ2011.3）
松本ゆき：逝きし姉二月は逃げると言ひたるを今更に思ふ吾も老いきて（歌会2011.3）
木村和子：子供手当見直すべしと吾は思ふワクチン接種の後進国と聞きて（新アララギ2011.3）
千葉照子：「希望とは目的地でなく歩むこと」絵画で言わば描くことなり（歌会2011.3）
須田博：途方もない公約掲げ政権を担ひし党に分裂の気配（歌会2011.3）
今村和平：水戸よりの梅の香乗せて走り来る常磐線は春運ぶごと（歌会2011.3）
今野英山：通勤の土手も並木も雪被き電車よこのまま北へ連れ行け（新アララギ2011.3）
高橋毬枝：静けさを乱して娘の叱りをり抗ふ孫に密かに加勢す（新アララギ2011.3）
小熊宗克：近寄れば枯れ葉の目立つ紅葉も遠目に今や盛りに見ゆる（歌会2011.3）
山崎日出男：春浅き筑紫路走る列車より麗わし懐かしふるさとの背振山（歌会2011.3）
岸野トモヱ：父逝きて四十年が経ち姉妹四人のひな祭る日は（歌会2011.3）