恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

揺れる心~その9

2016-06-23 08:59:38 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。


『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


揺れる心~その9


〈譲二〉
ベッドに転がって暗い天井を見上げていると、先代マスターの浦賀さんの言葉が次々と頭に浮かんでくる。


マスター『君くらいの年頃の男の子は、いくら食べてもお腹が空くだろうからね。』


マスターは…本当に俺のことを可愛がってくれたよな…。


マスター『譲二君は中々鋭いものの見方をするね。』


そして、俺のことを凄いって褒めてもくれた。



俺が家族のことを相談した時、確かマスターはこんな風に言ってた。


マスター『話し合うことをせずに、お互いすれ違いし続けたら、家族といえども、バラバラになってしまうよ。』


あの時のマスターはまるで自分に言い聞かせるようにつぶやいてたな…。

きっと、自分の家族…奥さんや有栖川さんたちのことを考えていたんだろう。


俺が大学生だった頃のことを思い浮かべる。


マスターはよく俺のことを褒めてくれたよな…。


マスター『今では、サンドイッチもナポリタンも私の作ったのと遜色ないくらいのものが作れるようになったね。譲二君にならこの店を十分まかせられる。』


譲二『それなら、半日くらい俺に店を任せて、休みをとってくださいよ。歴史博物館巡りとかもゆっくりできますよ。』

マスター『そうだね。それはいい考えかもしれないね。』


そう言って顔をしわくちゃにして笑ったっけ…。


なのに、結局マスターに休みをとってもらうことは無かったな…。

無理にでも休んでもらって、好きなことをしてもらえばよかった。


あんなに…急に亡くなるとは思ってなかったから…。


後悔が波のように打ち寄せてくる。

 

その10へつづく

 

☆☆☆☆☆

先代の黒船のマスターについては、本家の吉恋ではさらりとしか紹介されていない。

でも、私には色々とイメージが湧いてきて、少年時代や大学時代の譲二さんのお話を書いた時に活躍してもらった。

だから今回、その息子である玲さん絡みの話を書く時にもそのイメージを使わせてもらいました。

銀縁眼鏡にアゴ髭というのも私なりの先代のイメージです。

譲二さんはこの先代のマスターに可愛がられ、コーヒーやサンドイッチなどのクロフネのメニュー、歴史、人生についても大きな影響を受けてきた(あくまで私の想像ですが)。

だからこそ、「クロフネを譲れ」と理不尽なことを言ってくる玲さんにも強く出ることが出来なかったのでは…と思うのです。



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