恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

揺れる心~その10

2016-06-24 06:28:21 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。


『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


揺れる心~その10


〈譲二〉


百花「譲二さん?」


百花ちゃんに声をかけられてハッとした。


明里が帰ってから、夜はまたそれぞれの部屋で休むようになった。


だが、時々は百花ちゃんを誘って俺の部屋で寝る。


もちろん、2人で添い寝するだけではなく…キスしたり…その…まあもう他人では無いからね。


特に…今日のようなことがあると、どうしても百花ちゃんに頼ってしまう。



百花「眠れないんですか?」

譲二「あ、いや、考え事をしていたんだ…」

百花「昼間の…有栖川さんのことですか?」

譲二「うん…」


百花ちゃんは起き上がると俺の顔を覗き込んだ。


百花「もしかして、有栖川さんにクロフネを譲ったりはしないですよね」


真剣な百花ちゃんの顔を見て微笑んだ。


(可愛い…こんな表情すると高校時代のままだな)



譲二「心配しなくても大丈夫だよ。クロフネを譲り渡したりはしない。……ただね…」

百花「ただ?」

譲二「いや…何でもない」

百花「譲二さん…。何もかも一人で抱え込まないでください…って言いましたよね? 気になることがあるなら言ってください。話すだけでも楽になれるでしょう?」

譲二「そうだったね…。ごめん」

百花「謝らないで…」

譲二「先代マスターは俺をとても可愛がってくれたっていう話は前にもしたよね?」

百花「はい」

譲二「有栖川さん家族の写った写真を見て…。先代は俺に有栖川さん兄弟を見てたのかなって思ったんだ」

百花「そう…かもしれませんね」

譲二「だから、クロフネを俺に譲るようなことを言ってくれたのは、有栖川さんとは疎遠になってたからで、本当は自分の息子に譲りたかったんじゃないかって…」

百花「そんな…」

譲二「自分でも馬鹿なことを考えてると思うけど…」

百花「でも…有栖川さんは、クロフネのような喫茶店は自分には出来ないって言ってました」

譲二「そうだったね」

百花「だから、先代のマスターが築いた『黒船』の本当の後継者は譲二さんしかいないと思います」


百花ちゃんは唇を震わせてそう断言した。


彼女の柔らかな髪を優しく撫でる。

心が安らぐのを感じた。


譲二「ありがとう。百花ちゃんのお陰で気分が楽になったよ」

百花「本当? よかった」

譲二「それにね、ちょっといい解決策を思いついたから」

百花「解決策?」

譲二「うん。だから心配しないで、ね?」


まだ少し不安そうな百花ちゃんを抱き寄せて、唇に軽いキスをする。


彼女を抱いたまま寝返りを打った。


「あ!」という小さな声を上げて…彼女はベッドに仰向けに横たわる。

そんな彼女の…顎から首筋に軽いキスを重ねていく。

鎖骨に口づけると百花ちゃんはくすぐったそうに身もだえた。


譲二「百花…とってもきれいだよ…」

百花「…譲二さん…、恥ずかしい…」


乳房を隠そうとする両手を握ってシーツに押し付けた。

もう既に何度も肌を合わせているのに、俺に見られるのはいつも恥ずかしがるんだよな。

そういうところがまた可愛いんだけど…。

柔らかい肌に舌を走らせる。

百花ちゃんがくぐもった声を上げた。


譲二「我慢しないで……。もっと声を出してもいいよ…。明里はもういないんだから…」


百花ちゃんの声が少し大きくなった。


もっと…もっと、彼女の声が聞きたい…。

 

 

その11へつづく



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