恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

妄想飛行~譲二の場合 その12

2015-05-13 07:47:39 | もしもの話

特別捜査密着24時の『妄想飛行~冗談は脳内だけにしろ~』で野村さんが言っていたこと

>>「9つも歳が違うと同じ学校に通うなんてことないしさ、妄想が膨らむよね」

>>「もう少し年齢が近かったら、こんなこともあったかな~っていう俺のロマンじゃーん」

みたいに譲二さんも妄想してたかな…と思ったらこんなお話が浮かびました。




 なお、妄想の中の『マスター』は先代マスターです。

☆☆☆☆☆

妄想飛行~譲二の場合 その11の続き


妄想飛行~譲二の場合 その12

 

いつものごとく、あいつらがクロフネに集まってる。

俺は甘い妄想から自分を引き戻した。



あの夜、俺の前で一護のこともハルのことも好きだと言って泣いた百花ちゃん。

結局、たくさん泣いて、気分が落ち着いたのだろう、淹れなおしたココアを飲むと少し笑顔もみせてくれた。

あれから、一護とも仲直りしたみたいで佐東洋菓子店の手伝いにも行っている。

だから、ハルのことはもう諦めたんだろう、と思っていた。


今日も百花ちゃんは学校から帰って着替えるとすぐに一護のところに出かけてしまった。

だから、店にいるメンバーはハルにタケ、リュウにりっちゃんだけだ。



理人「あ~あ、この頃百花ちゃん、いっちゃんところばっかりで全然会えないなぁ~」

竜蔵「一護の店が忙しいんだろ」

理人「それだけじゃないでしょ? いっそ僕もいっちゃんちにバイトに行こうかな~」

剛史「手を怪我しちゃダメなお前がバイトなんか出来るわけない」

竜蔵「理人、俺んちにバイトに来るか? おばちゃんたちに野菜を勧めりゃいいんだし、ナマモノだから火傷もしないぞ」

理人「ヤダ!」

竜蔵「なんでだよ?」

理人「百花ちゃん、いないし」

竜蔵「百花が手伝いに来るのなら、バイトするのかよ?」


りっちゃんは相手にならないとでも言うように大きなため息をついた。


理人「マスター、百花ちゃんをちゃんとクロフネに繋ぎ止めといてよ」


俺は苦笑した。


譲二「りっちゃん…。そんなこと言ってもね。百花ちゃんが一護のところに行きたいのを止めるわけにもいかないからね」


それにしても…ハルはさっきから元気が無いな…。


譲二「ハル。はい、注文のコーヒーとサンドイッチ」

春樹「あ、すみません」


笑顔を見せるがどこかぎこちない。よし。


譲二「ハル、それを食べたらちょっと手伝ってくれるかな?
もう一度読みたい歴史本があるんだけど、本棚かダンボールの中かわからなくなっててね、探すのを手伝って欲しいんだ」

春樹「いいですよ。5時になるまでですけど…」

譲二「じゃあ頼むよ」


本棚の整理をしながらハルに水を向けてみる。


譲二「ハル…。この頃何か悩みがあるんじゃないのか?」

春樹「…いえ、俺は元気ですよ…」


無理に明るく出した声が少しかすれている。


譲二「そっか…それならいいけど…。愚痴があるなら話くらいは聞くよ 。
気持ちを吐き出せば少しは楽になるからね」

春樹「…ジョージさん…。俺…」

譲二「ん?」

春樹「いや、やっぱりなんでもないです」

譲二「違ってたら悪いんだけど…。もしかして百花ちゃんのことかな?」


図星だったのか、ハルは持っていた本を落とした…。




春樹「あ、すみません」

譲二「いや、大丈夫だよ…」




2人で本を拾いながら言ってみる…。




譲二「ハルは何でも自分の気持ちを抑えてしまうけど…素直に出した方がいいこともあるんだよ」

春樹「俺が口に出したら、傷つく人間がいてもですか?」




俯いたままのハルの表情は読み取れない…。

ハル…。

やっぱりハルも百花ちゃんのことが好きなんだね。

だけど…。百花ちゃんが一護のことだけじゃなく、ハルのことも好きだと言ったことをハルに話すわけにもいかないしな…。


譲二「相手が傷つくかもとか思いやる心は大切だけど、口に出してみなければお互いの気持はわからないよ。勝手に思い込んでたということもあるだろうしね」



ハルが真剣な目で俺をみる。

二三度、言い淀んだが思い切ったように言った。

春樹「好きな女の子のことを友達と取り合うみたいな経験、ジョージさんにはありますか?」



俺は絶句した。

 


うん。そういう経験、俺にはあるよ…。

しかも、その友達は親友で…それもハルと同じだな…。

 


 

 



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