読売新聞オンライン2022/08/23 15:33に『抑留者がウクライナで建設した「日本道路」、ロシア軍侵略で「路面は穴だらけ」に』という記事があった。この記事に「厚生労働省によると、戦後、ウクライナで抑留された日本人は約5000人。ウクライナの歴史家らが抑留経験者の証言を基に編んだ書籍「ウクライナに抑留された日本人」(2013年)によれば、このうち約4000人がハルキウ地区に収容された。」とある。さらに「日本人抑留者の大きな仕事の一つが道路建設だった」(アンドリー・パラモノフさん、ハルキウ州出身の歴史家)ということだ。ウクライナ東部のハルキウからイジューム、スラビャンスク、バフムト、デバリツェボまで200キロ以上の幹線道路を建設したのが日本人抑留者だという記事だ。70数年前にソ連対ナチスドイツの激戦でおそらく破壊の極みにまでいったウクライナ、そのウクライナの復興に貢献したともいえる重労働であったろうと推察する。
この場所、今、まさに激戦地ではないのか。一世紀を待たずして再び戦禍に見舞われるウクライナ東部。グレートゲーム、宿命の英露対決、地政学などという苛立たしい学問・饒舌で解説などして欲しくない。呪われた「地政」とでもいうのだろうか。なぜ、穏やかになれないのか。なぜ、お隣さんの「異」を受け入れることができない存在なのか、ニンゲンって。自己の中に自己と異なる存在を見つけ出し、それと対峙して一世を風靡した実存主義哲学、異邦人と思っていたのが、実はそれこそが自身の姿であったことに気づいた現象学のロジック、少しはこうした哲学も人の心に沁み込んで世のために貢献してみてはどうなのだろうか。・・・・などと与太話もしたくなってくる。
昨年12月、「ラーゲリより愛をこめて」という映画を見た。二宮和也さんの演技はよかった。妻を演じた北川景子さんもきれいなだけではなかった。ダモイ(帰国)を夢見て希望を失わなかった主人公(山本幡男さん)の心。そんな心に寄り添ってみたいと思うこの頃である。
(文責:吉田)
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