起きて半畳 寝て一畳

株式投資の記録を中心に、日々感じた事や考えたこと、読んだ本のことなどなど

みずほFG 久光製薬 味の素 旭化成他

2005年08月02日 20時56分08秒 | エトセトラ
【8月2日の市場概況】日経平均終値:11,940(-6円
 日経平均株価は5営業日ぶりに小反落。日経平均は1万2000円台をうかがう動きを見せたが、前日に続き上値の重さが意識され、次第に戻り売りや利益確定売りが優勢となった。

【株式投資の記録:8月2日】
 ①みずほFG(07/07買建498,000*10株、内6株は昨日返済済み)
  @513,000-で残っていた4株全部返済できました。5万円チョットの儲けです。(神様に感謝!)
 ②日経225オプション 9月限月コール12,500円(07/05購入@25*12枚、内3枚は昨日返済済み)
  @35-で残っていた9枚全部転売できました。8万円チョットの儲けです。(神様に感謝!)
 ③久光製薬(08/01買建@2,955*2,000株)
  @2,955-で全部返済しました。7万円程の儲けです。(神様に感謝!)
 ④味の素
  @1,111-で1,000株購入しました。
 ⑤旭化成
  @499-で6,000株買建しました。
 ⑥マルハグループ本社
  @302-で5,000株買建しました。
 


 明日(3日)から三日間ほど所用で家を留守にします。ブログもその間お休みします。
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潮騒③

2005年08月02日 20時53分40秒 | 本・その他
きのうの続きです。

【三島由紀夫:潮騒③】

このとき急に嵐が、窓の外で立ちはだかった。それまでにも風雨はおなじ強さで廃墟をめぐって荒れ狂っていたのであるが、この瞬間に嵐はたしかに現前し、高い窓のすぐ下には太平洋がゆったりとこの持続的な狂躁をゆすぶっているのがわかった。
 少女はニ三歩退いた。出口はなかった。コンクリートの煤けた壁が少女の背中にさわった。

「初江!」
 と若者が叫んだ。
「その火を飛び越して来い。その火を跳び越してきたら」
 少女は息せいてはいるが、清らかな弾んだ声で言った。裸の若者は躊躇しなかった。爪先に弾みをつけて、彼の炎に生えた体は、火の中へまっしぐらに飛び込んだ。次の刹那(せつな)にその体は少女のすぐ前にあった。彼の胸は乳房に軽く触れた。「この弾力だ。前に赤いセエタアの下に彼が想像したのはこの弾力だ」と若者は感動して思った。二人は抱き合った。少女が先に柔らかく倒れた。

「松葉が痛うて」
 と少女が言った。手をのばして白い肌着をとった若者はそれを少女の背に敷こうとしたが、少女は拒んだ。初江の両手はもはや若者を抱こうとはしなかった。膝をすくめ、両手で肌着を丸めて、丁度子供が草叢(くさむら)の中に虫をつかまえたときのように、それでもって頑(かたく)なに身を護った。

 そうして初江がいったのは、道徳的な言葉である。
「いらん、いらん。・・・・嫁入り前の娘がそんなことしたらいかんのや」
 ひるんだ若者は力なく言った。
「どうしてもいかんのか」
「いかん」――少女は目をつぶっていたので、訓戒するような、なだめるような調子がすらすらと出た。「今はいかん。私(わし)、あんたの嫁さんになることに決めたもの。嫁さんになるまで、どうしてもいかんなア」
 
 新治の心には道徳的な事柄にたいするやみくもな敬虔さがあった。第一彼はまだ女を知らなかったので、このとき女という存在の道徳的な核心に触れたような気がしたのである。彼は強いなかった。

 若者の腕は、少女の体をすっぽりと抱き、二人はお互いの裸の鼓動をきいた。永い接吻は、充たされない若者を苦しめたが、ある瞬間から、この苦痛がふしぎな幸福感に転化したのである。やや衰えた焚火は時々はね、二人はその音や、高い窓をかすめる嵐の呼笛が、お互いの鼓動にまじるのをきいた。すると新治は、この永い果てしれない酔い心地と、戸外のおどろな潮の轟きと、梢をゆるがす嵐のひびきとが、自然の同じ高調子のうちに波打っていると感じた。この感情にはいつまでも終らない浄福があった。

 若者は身を離した。そして男らしい、落ちついた声音で言った。
「きょう浜で美(え)え貝ひろて、汝(んの)にやろうと思うて、もってきたじえ」
「おおきに。見せてなア」
 新治は脱ぎすてた自分の着物のところへかえった。新治が着物を着だすと共に、少女もはじめて安らかに肌着を身にまとい、身支度をした。着衣は自然であった。

 若者は美しい貝を、すでに着了(きお)えた少女のところへもって来た。
「まあ、美しい」
 少女は貝のおもてに炎の反映をうつしてたのしんだ。自分の髪に挿(さ)してみて、
「珊瑚みたいやなあ。かんざしにでもならんかしら」
 と言った。新治は床に座って、少女の肩に身を寄せていた。着物を着ているので、二人は楽に接吻した。
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 「潮騒」の書き移しはここまでで終わりにします。
 この次は、川端康成の「伊豆の踊り子」にしようかなぁ、個人的には「眠れる美女」のほうが数倍好きだから、こっちにしようかな・・・。

 私の世代では、10代後半にこの「潮騒」と川端康成の「伊豆の踊り子」、そして、伊藤左千夫の「野菊の墓」を読んだという人が多い。私もそうだった。
 「潮騒」は今も読まれているようだが、「野菊の墓」はそうでもないようだ。
 今の若い人たちはどんな小説を読んでいるのだろうか?

 この三つの作品を「家」にたとえると、三島由紀夫の「潮騒」は耐震構造の鉄筋コンクリートの家、川端康成の「伊豆の踊り子」は紙と木でできた瓦屋根の純和風の家、そして伊藤左千夫の「野菊の墓」は苫葺きの粗末な家、という気がする。

 二十代後半の頃、「野菊の墓」を読み直してみようとしたが、面白くなくて途中で止めてしまったのを覚えている。「潮騒」は50歳を越えた今でも読み返せる。
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