妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

タイヤから診る、ライディング (その2)

2019-09-30 23:32:43 | オートバイが教える、...

『 バンクさせた角度がわかる、では寂しい 』
   
前回は、基本編として [ 直立走行 ]の時に、タイヤにどんな “ 摩耗痕 ” が残るか解説したので、2回目はオートバイも一番の醍醐味と言える [ バンク走行 ]で残る “ 摩耗痕 ” について解説をする。

モノ知りライダーでも、“ 摩耗痕 ” の見方を正しく知らず、タイヤのトレッドエンド部(路面と触れる部分の両端)を見て、「 どこまでタイヤを使っているか? 」「バンクさせた角度は?」とだけしか分からない者は多いが、それでは寂し過ぎる。

摩耗痕 ” の見方を理解して、タイヤの能力の使い方、ライディングの醍醐味への理解を深めてもらいたい。
 
 
 
『 バンク走行した時、 “ 摩擦力 は” 』
  
オートバイをバンクさせて走行している時、タイヤの接地面に働く “ 摩擦力 ” を考えてみよう。
  

     
オートバイには遠心力が働き、それに対抗してタイヤの接地面には、遠心力とは反対方向に “ 摩擦力 ” が働いている。 別な言い方をすれば、オートバイをバンクさせる理由は、この二つの力を釣り合わせる為だと言えるし、同じバンク角でも 摩擦力を有効に活かせるライディングが出来れば、同じコーナーでも安全に走れる事が理解できる。

次に、この “ 摩擦力 ” の向きを考えてみよう。 当然、遠心力とは反対の方向だから、タイヤの向きと 90度(直角)の向きになる事が自然にわかるだろう。
 
 
 
『 バンク走行でできる、“ 摩耗痕 ” は 』

ここで、バンク走行でできる “ 摩耗痕 ” は、どうなるかを考えてみよう。

摩擦力 によって生まれる “ 摩耗痕 ” は、風と風紋(砂紋)の関係と同じだ。
  
摩擦力の向きに対して 90度 の向きで “ 摩耗痕 ” が残るという原則は変わらないから、バンク走行( コーナリング )でタイヤに残る “ 摩耗痕 ” は、タイヤのトレッド部の左右端部側に、タイヤの進行方向と平行になると考えられるが、果たして、それで正解だろうか ?
  

     
実際、講習イベントやサーキット走行などで、オートバイを深くバンクさせて走っているライダーのタイヤを見ると、上の図の様に、タイヤ トレッド面(路面と接する部分)の エッジ(端部)付近に、タイヤの向きと平行の “ 摩耗痕 ” を見かける事が多いのも事実だ。

しかし、その “ 摩耗痕 ” では、オートバイを限界付近までバンクさせたライディングをしている事は分かる以外に、決して、タイヤの能力を十分に活用し切ったライディングにはなっていない事も示している。 トレッドの端部に残るタイヤと平行な “ 摩耗痕 ” も、トレッド中央部に残る直角方向の “摩耗痕”も、タイヤとオートバイの能力を使い切ったライディングではない証拠だ。

その事は、次の章で分かりやすく、詳しく解説をする。 その前に、一度、キミのタイヤの “ 摩耗痕 ” を確認しておいて欲しい。  
 
 
 
 『 ここまでの、まとめ 』

一定の安全が保障された専用エリアを走行する講習会やサーキット走行でない限り、タイヤに “ 摩耗痕 ” は残り難いのは事実だし、一般道ではっきりとした “ 摩耗痕 ” を残すような走行はしてはいけない。 しかし、例え一般道での走行であっても、僅かな “ 摩耗痕 ” であるにせよ、必ずタイヤにはライディングが記録されるのは事実。

大切な事は、オートバイを安全に楽しむ為、自身のライディングの特徴を把握する為、そして タイヤ がどんな働きをしているかを理解する為、“ 摩耗痕 ” ( abration mark )が残る理由とタイヤに働く力の理解を深める事で、それこそが オートバイのライディング で一番大切な事。
 

< 検証 >
  〇 タイヤのトレッド左右部に残る “ 摩耗痕 ” こそ、ライディングの特徴
     や癖を示してくれる

  〇 公道走行でも “ 摩耗痕 ” は残り、その向きを確認する事がライディング
      の理解や改善につながる
    
 
     *    *   *   *   *   *   *   *
  
 
次回は、以前に約束していた要素、「 コーナリングブレーキ 」や「 バンキングブレーキ 」や 「 リアステア モーメント 」などが登場して、今回以上に奥深い内容を分かりやすく解説する予定です。

この解説記事が、タイヤとオートバイの理解を深めて、あなたのオートバイ・ライディングを更に安全で楽しくする助けになる事を期待しています。 だから、次回の記事も、乞うご期待。


< 解説記事 : 妖怪・小林

   
 
http://gra-npo.org/lecture/ride/tire%20diagnosis/img_Tire%20diagnosis.html
 
    


今日、覚えた言葉 「 エシカル 」

2019-09-25 21:36:41 | 日記

『 エシカル という概念 』

以前から目にしていた言葉 「 ロハス(LOHAS)」 Lifestyle of Health and Sustainability については、なんとくなく理解しては理解しているつもり程度で、健康やエコな環境対策的なイメージで捉えていた。 恐らく、20年以上前から存在していた概念で、国内では飲料メーカーの天然水へのネーミングに利用されたから、今は多くの人々が目にした事のある言葉だろう。

しかし、「エシカル(Ethical)」 という言葉、それを遥かに凌駕する概念を表している事を、今日、覚えた。
               

  
 
『 国を超えた共有 』

「エシカル(Ethical)」という言葉は、英語で「倫理的」とか「道徳的」など人権・人道的な意味を持つ言葉だが、その枠に留まらない広い意味をを持ってきている。
その代表格は「エシカル消費」という言葉で表される消費行動スタイルだ。 例えば、搾取的取引きがされていない事を示す「フェアトレード」や、環境に負荷を与えない「有機農法」や「リサイクル」、各地域の産業を守る「地産地消」などで、環境や社会に対して配慮をした消費スタイルがそうだ。
   
つまり、「 ロハス 」が個人の生活スタイルを主体にした考えなのに対して、「エシカル」は社会、環境、他者などへ大きく視野を広げた考えだ。 世界各地で、主に若者達が主体になって、温暖化対策や環境保全の活動を、国という枠を超えて行なっているのも、「エシカル」という考えで見れば当然の動きだ。
 
  

『 これからの夢 』

だから、きっと、「エシカル」という概念が、今後20年間は世界をリードすると思う。
それに対して、僕自身が何を出来るかを考えていく必要があるし、きっと共通した考えを多く持っていると信じている。
 
その中で、GRAという活動をどう昇華させていくか、それも僕の仕事の一つだと考えている。
 
 
 


興味深い時代の実感

2019-09-24 16:16:38 | 日記

僕達は、今、とても興味深い時代に生きている。

どんな価値観が尊ばれ、どんな思想が普遍的になるか、
大きく変動する時に生きている。



宗教が統治し、王が統治した時代が過ぎ、
商人や資産家が人を雇い、経済や政治に人が従ってきた時代だった。
 
今は、誰かの経済システムの為に生きるのではなく、
今や、誰かに自身の将来を委ね続けるだけではない。

世界は、起きている事の大半を、同時に、容易に知る事ができ、
世界に、考えている事を、いつでも、簡単に届ける事ができる。

人類が経験しなかった新しい時代がやってくる。
誰かに委ねるのではなく、何をするかが問われる時代だ。

だから、世界の中で、自分自身が見えている者にとって、
面白い時代がやってくる。
  
  
  


『 トレールが教える、運動解析 』

2019-09-24 02:46:27 | 整備&セッティングの基本・妖怪講座

「トレール」「方向安定性」の関係を表現したイラストを追加して、フロントタイヤとサスペンションとの解説記事を GRA公式Webサイトに掲載しました。
  
ライダーが一番敏感に感じ、オートバイの操縦安定性の大きな役割を担っているフロントサスペンションとタイヤの運動解析を、トレールを使って正しく行ない、フロントサスペンションの適正なセッティングと、適切なライディングを理論的に導きます。
 
ライダーのあなたなら、きっと思い当たる事、参考になる事があるはずです。
 

< 解説記事 : 妖怪・小林
 
【 トレールが教える、運動解析 】 (GRA公式Webサイト)
https://gra-npo.org/lecture/bike/Trail_analysis/Trail_analysis.html
 
 
 
 


タイヤ から診る、ライディング (その1)

2019-09-18 23:45:12 | ライディングの基本・妖怪講座

   GRAの公式Webサイト『 オートバイの基本講座 』に掲載前の記事です。
   計 3~4回に分けて、タイヤを診てライディングの検証を推奨する記事を掲載します。

   
    

『 タイヤを診ないで、ライディングを語るなかれ 』

「タイヤ」は、オートバイの中で一番大切な部品だ。
路面と接触しているわずかな面積、前後合わせてハガキ一枚分ほどで、走って曲がり、止まるの全てを担当しているからだ。    

けれども、殆どのライダーはタイヤの働きに無関心過ぎる。
なぜなら、タイヤが一番大切な役割を担っている事を知ってるなら、ベテランや初心者ライダーを問わず、走行する度にタイヤのエア圧やタイヤ表面のチェックをする筈だからだ。    

もし、あなたが、オートバイをもっと知りたくて、もっと上手に安全に走れるようになりたいなら、毎回のエア圧チェックと、是非、タイヤ表面の “ 摩耗痕 ” のチェック方法を覚えて欲しい。
そして、タイヤ表面の “ 摩耗痕 ” を診るだけで、ライディングの特長や癖を理解し、もっとタイヤの能力を活かした安全なライディングへ工夫を重ねて欲しいのです。
 
 

    『 風紋 と “ 摩耗痕 ” 』

“ 風紋 ”(砂紋)は知っているだろうか。 砂丘などで、砂の表面が “ さざ波 ” 状の模様がついているのが “ 風紋 ” で、その名前の通り、風の力によって砂の粒が動かされ、あの様な模様が残る現象で、風の向きが一定している場合に、その風向きと 90度 の向きで残る事が知られている。  
                  
実は、タイヤ表面に残る “ 摩耗痕 ” も同じで、タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” によって波状の模様が “ 摩耗痕 ” となり、その向きは “ 摩擦力 ” と 90度 の向きになるのだ。

 

 

『 直立走行時の “摩擦力” 』

では、実際のタイヤで働く “ 摩擦力 ” を、一番簡単な、オートバイを直立・直進させている状態での説明をしよう。
      

  

この図は、直立・直進時に、アクセルを開けて加速した際、タイヤの表面に働く “ 摩擦力 ” の方向を示した図だ。 加速させた時には、タイヤ接地面に、タイヤの回転方向とは逆の向き(反作用として)の “ 摩擦力 ” が働く。 そして、その “ 摩擦力 ” の向きは、タイヤの回転方向と平行だ。

     ( 文字で書くと難しく思えるが、図で見れば分かるだろうか  )

では、次は、同じ直立・直進時でも、減速時(エンジンブレーキやブレーキ使用時)に働く “ 摩擦力 ” を見てみよう。
  

     

アクセルを戻したりブレーキを掛けて減速し際は、加速とは逆の向きに力を作用させるので、タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” は、加速とは逆の向きに働く。 ただし、その働く向きは、直立・直進に変わりないないので、タイヤの回転方向と平行で変わりない。
   
ここまでは 理解できただろうか。 では、次は、この “ 摩擦力 ” でよって、どんな “ 摩擦痕 ” が出来るのか、図を使って説明しよう。      



『 直立・直進時の “ 摩擦痕 ” 』

タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” によって出来る “ 摩耗痕 ” を、加速時と減速時の両方をまとめて描いたのが下の図だ。 加速時と減速時との違いが分かるだろうか。
         

    
“ 摩耗痕 ” は、風と風紋の関係と同じく、“ 摩擦力 ” の向きと 90度 の向きに、波状の模様として残る事は理解できるだろうか。 ただし、その “ 摩耗痕 ” の波の向きは、加速時と減速時とでは 逆 の向きになる事も理解できるだろう。
    
ここまでが、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” の説明だ。 もう分かると思うが、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” は、必ず タイヤの 中央部分 だけに残り、加速時の “ 摩耗痕 ” は、普通は、リアタイヤ だけに残り、減速時の “ 摩耗痕 ” は、減速の役割を多く担当する フロントタイヤ に残りやすい事も説明に加える。

< 検証 > ・・  実際にタイヤを診て、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” を発見したら ・・

  〇 タイヤの中央部に、回転方向と 90度 の向きの “ 摩耗痕 ” があったら、
     直立状態での 加速や減速 に、タイヤの能力をかなり使っている証拠

  〇 公道走行での “ 摩耗痕 ” なら、それ以上に “ 摩擦力 ” が働かない様に
     注意する必要がある

  〇 また、急激な加速や減速を行なっていない場合は、タイヤの能力が下が
     っている可能性もある。タイヤのエア圧調整を行なったり、タイヤの劣化や
    タイヤ賞味期限を確認する必要がある



         *    *   *   *   *   *   *   *

 

以上、『 タイヤから診る、ライディング 』( 直立・直進時編 )は 一旦終了。 次回は、オートバイをバンクさせている時の “ 摩耗痕 ” の解説の予定。
  
オートバイのライディングの醍醐味の一つ、バンクさせての走行は、楽しさを感じさせる時もあれば、怖さを感じさせている時もある。 その原因の解明や、楽しく安全に走る為の ヒントを、『 タイヤから診る、ライディング 』( バンク走行時編 )で解説しよう。
  
きっと、日本では、今までに無かった解説になると思うし、「 コーナリングブレーキ 」の他に、「 バンキングブレーキ 」や 「 リアステア モーメント 」などの要素も、今回以上に 分かりやすく解説して、タイヤ “ 摩耗痕 ” の診断からの ライディング 改善を 提案しよう。  乞うご期待。
 

< 解説記事 : 妖怪・小林
 
 
http://gra-npo.org/lecture/ride/tire%20diagnosis/img_Tire%20diagnosis.html