妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

フロント車高に関する考察(その2)「セルフステア」

2022-04-14 05:21:57 | オートバイが教える、...

 

フロントの車高調整の大切さを分かりやすく解説するコラムの作成を進めている最中で、オートバイの特性をうまく説明出来ない事を見つけてしまった。それは「セルフステア」と呼ばれている、車体をバンク(傾斜)させると自動的にハンドルがバンクさせた側へ切れる現象だ。

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「セルフステア」は自転車にも備わっている特性で、TVでも見かける光景を挙げると、トライアスロン競技での中継区間を自転車を押して走る場面で、サドルに片手を置き、微妙な傾斜コントロールでハンドル操作をしながら進む選手も少なくない。

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なぜ、「セルフステア」の原理が問題になるかと言えば、前後の車高バランス調整を行なう際、車高バランスが釣り合うポイントでは、フロントの車高の 1㎜程度の違いで「セルフステア」の表われ方が変わってしまうからだ。
フロンの車高の 1㎜ の違いで「セルフステア」の表われ方が変わるのなら、「セルフステア」はフロント車高に影響されるのか? それとも、キャスター角なのかトレール量なのか、正確に理解していなければ解説はできないだろう。

そこで、「セルフステア」の発生原理について、あきらめずに探究するつもりでいるが、完全に理解している人の教えを請いたいとも考えています。下のイラストで示しているように、複数のキャスター角とトレール量を組み合わせた 4つのセットの中で、セルフステアが発生する組合せを一緒に考えて欲しい。きっと、この組み合わせの考察を深めていけば、必ず 原理が分かりやすく理解できると信じているのです。
 




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オートバイは 2本足だ

2022-02-28 03:21:36 | オートバイが教える、...

   
よく使われる言葉に「鉄馬」がある。オートバイを馬に例えて、オートバイに乗る楽しさは、まるで馬に乗っている時の楽しさと大変によく似ていると言われているのだ。 「そんなんだ」と思いながらオートバイに乗っていると、不思議と馬に乗っている様な気分にもなった。でも、深く付き合う程に、オートバイは馬とは違うと思う様になった。

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僕は、オートバイは 4本足ではなくて 2本足だと思っている。人間と同じ様に 2本脚で、前に出した脚が前輪で、後の足が後輪だと考えると、タイヤ、つまり足裏のグリップを感じながら、滑らない様に進む感覚がよく理解できるのだ。
それだけではない。前輪と後輪の荷重配分を感じる感覚や、加速や減速で体重(車重)以上の荷重が足裏(タイヤ接地面)に与えられる事も簡単に説明がつくのだ。
それに、前後に足を開いたまま左右どちらかに身体を傾け時、人はバランスを取る為に前足を傾けた側にずらすけど、それはオートバイの前輪が自動的に切れる仕組み(キャスターアクション)と同じなのだ。
    

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そういう訳で、僕はオートバイは馬ではなく人間と同じだと思っているし、そう思う事でオートバイの事も深く理解できるし、適切な操作や整備に繋がっていると信じている。だから、実際に馬にも乗って楽しんでいる人には勧めないけど、是非、オートバイは 2本足だと思って付き合って欲しいと思っている。 間違いなく、馬よりも身近に感じられるからだ。

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駅伝のTV中継 観て思ったコト

2022-01-17 21:43:04 | オートバイが教える、...


全国女子駅伝のTV中継を観た。
短時間で勝負がつく相撲も好きだが、
都道府県対抗で、年代構成や走行区間が規定され、
勝負の行方が一転二転するから、この駅伝も悪くない。

観ていて気付いたコトが幾つかあった。
先ずは、都道府県別のカラフルなユニフォームだ。
一つのメーカー製で、数種類のパターンと色を指定するプリント製品のようだが、
間違い防止とは言え、素敵なセンスで心に残るのは無かったか。

次は、伴走する白バイ隊員と報道バイクでは、運転技術に違いがある事だ。
報道バイクは、後席にカメラマンと通信用機器を乗せているハンデはあるが、
進路コントロールをハンドル操作で行なっているのか、ふらつきが目立った。
撮影上からも、白バイ隊員以上にステップコントロールは大切だろう。

そして、ランナーの特徴について、解説者が言う事が理解出来なかった。
ストライドが長いとか、ピッチが早いとか、骨盤の向きが〇〇だと解説しているが、
僕には、TV画面で見ている限り、その違いや見分け方が分からなかったのだ。
分かるのは顔の表情や頭の動き、腕の振り方の違いだけだった。

 

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・・と、ここまで考えていて、解説者と僕の視点が違う事に気付いた。
解説者の人は、きっと、脚を観て、顔はそんなに見ていないのだろう。

僕も、オートバイの動きからライダーの運転操作を解析する時には、
前輪の向きやフロントフォークの動き方、前輪の回転速度と後輪との速度差や、
バンク角、そして前輪荷重の大きさと安定度などに注目して観ているが、
決してライダーの顔や身体は観ていないのと同じだろう。

 

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だから、考え込んでしまった。

多くの人は、指導者さえも、ライダーの動きに注目してしまう。
そんな人達に、タイヤに能力を適切に発揮してしてもらっているのか?
その良否はどこを観るべきなのか? 可能な限り分かりやすく伝えたいものだ。
決して、ライディングフォームを真似ても、オートバイは喜んでくれないのだから。

 




 


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本 買いました

2020-10-16 14:18:06 | オートバイが教える、...

先月開催したクリニックを受診した人に紹介された本を見て、思わず・迷う事無くその本を発注して、米国の業者から今届いたところです。

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本のタイトルは「Motorcycle Design and Technology」(オートバイの設計と技術)で、筆者は Gaetano Cocco という方で、イタリアのオートバイメーカー・アプリリアの技術者・エンジニアの方だったようです。
初版本はイタリア語で発行され、英語版の初版は 1999年ですから、少なくとも今から20年以上前の執筆で、本の中で使われているイラストの多くに1990年代以前と思われるものがありますが、内容的に古さを感じさせない内容です。


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ただし、ここが大切な事ですが、彼が書いた事をそのまま引用する考えはなく、彼が採用したイラストを真似る考えも全くありません。彼の解説の進め方は、純粋な技術系の高等教育を受けた人が、工学知識を実際の車両(市販車およびレース専用車)の開発に活用するにあたり、自らと彼に続くエンジニアの為に書いた解説書だからです。それは、ライダーの立場から、どんな人でもオートバイを正しく理解できるようにする記事を書く私の立場とは逆の流れだからです。     

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しかし、私は彼が行なった事と彼の情熱を深く尊敬しています。ともすれば難解な工学知識をオートバイのメカニズムと運動のレベルにまで翻訳しガイドを行なった者は多くないからです。
その尊敬の念を込めて、そして一緒に英語表記の勉強を兼ねて、英語版の著書を購入したのです。

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著者・Gaetano Cocco 氏の年齢や出身は判りませんでしたが、最近になって、同書に電動オートバイに関する記事を新しく第17章として追加発行された様で、今もなおイタリア語圏内でご健在の様子です。
   
因みに、同氏に電動オートバイの記事項目の追加を決意させたのは、現在、MotoGP のサポートレース・Moto e(電動クラス)用に全車両を提供しているイタリアの車両メーカー・Energica の協力があったからの様で、その件は同社のWebサイトで紹介してあります。



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タイヤにとっての、働きやすさと生き甲斐は ・・

2019-10-12 21:34:42 | オートバイが教える、...

オートバイを操るという事は、オートバイに走ってもらう事。
オートバイに走ってもらうという事は、タイヤにしっかりと仕事をしてもらう事です。
    
タイヤがしっかりと仕事ができるかどうかは、人が仕事をする場合に例えれば、下に書いた要素によって、その働きぶりが大きく左右されてしまう事が理解してもらえるでしょう。

【 年齢 】 ( 製造後日数 )・・若い程によく働きます
【 気力 】 ( 空気圧 )・・ 充分に入っていて、入れ込み過ぎない様に
【 期待と責任 】 ( 荷重 )・・適切にかける程によく働きます
【 目標 】 ( 方向安定性・トレール量 )・・これが無くては迷います
【 委任 】 ( こじらない )・・任せたら、細かい指示は入れない
【 上司の理解 】 ( ライダーの理解と評価 )・・多くの場合、忘れられてます
    
          
  
タイヤ君にしっかりと働いてもらうには、これらの要素は欠かす事ができませんので、機会を設けて、要素毎に説明をしていきたいと考えています。
  
今回は、機会があって、「空気圧」について解説記事を書いていますので、いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフを過ごしていく為の参考として、是非、ご覧ください。

<Q&A>タイヤの空気圧は?  (公式Webサイト)
http://gra-npo.org/lecture/bike/Q&A_Airpressure/Airpressure.html

                                                                                       (  文章 :  妖怪・小林