ヤマハの新型車・MT-09は大変に魅力的なオートバイだ。
次期購入車両として検討すべき車両の一台として候補に挙げていたが、メーカー発表の仕様諸元などを眺めてますます意中の一台(?)とまで心を固め、先日販売店で見学してきた報告をします。
尚、選考の際の対象比較車両は、ヤマハの FZ6(過去に所有) と トライアンフのストリートトリプル(現行車両)で、一般の方とは多少異なる選考判断基準や用途を想定している事を理解して下さい。
( 文中に難解・意味不明な用語があった場合には、気兼ね無くコメント送信でお尋ね下さい。説明文をコメント回答します。匿名で結構です)
【 どこが魅力的か? 】
人によって、オートバイを使う目的が異なれば、選ぶポイントや魅力に感じる箇所も異なるものだ。
僕にとって、オートバイは積極的なライディング、時にスラローム系競技への適性と、整備やセットアップ作業の容易さも選考基準だ。
先ずは、MT-09 の メーカーカタログページと仕様諸元(スペック)ページを見てください。
◇ カタログページ : http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/sportsbike/mt-09/
◇ 仕様諸言ページ : http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/sportsbike/mt-09/spec.html
≪ 魅力.1 ≫
・・ 何と言っても、3気筒エンジンである事。その特性(特にトルク特性)は、ストリートトリプルで充分に体験済み。(又は、少し古過ぎるが、スズキフロンテクーペでも同様に!)
≪ 魅力.2 ≫
・・ 軽量な車体重量。 装備重量で 188㎏ とすれば、乾燥重量では 150㎏台後半か 160㎏台前半が見込まれ、軽快な動きが更に期待できる。
≪ 魅力.3 ≫
・・ 適正なジオメトリー。 103㎜のトレール量と1440㎜ のホイールベースは、バランスの良い操縦性の FZ6 と同等
≪ 魅力.4 ≫
・・ 専用設計の左右モナカ合わせ構造のフレーム。 FZ6でエンジンOH整備をした際、他に例が無い程に高い精度を求めた設計がされていたので、その造りが引き継がれている事への期待。
反対に、不安に感じていた点は少なく、130㎜を超えるフロントサスペンションのストローク量ぐらいでした。
【 1時間を超える観察の結果 】
MT-09の隅から隅までじっくりと観察した印象は、各部位別に以下の通りです。
≪ フレーム ≫
・・ フレーム全体の設計は FZ-6 と同様で、ステアリングステム周囲は FZ6と同様に 6本のボルトで締結されており、そのボルトの締め付けトルクの調整で、ステアリング特性の調整も可能な構造は Good!
エンジンマウント部分の設定も納得できるが、リアサスペンションユニットの上部を固定する、左右フレーム間に渡されたブリッジ部材の剛性と取り付け剛性に若干の不安あり。
≪ リアサスペンションユニット ≫
・・ この車両の特徴の一つである、リアサスペンションユニットは長く、大きく寝かせられた状態で車体中央部まで伸びており、以前の同社製のレーサー:TZを彷彿とさせる構造には納得。ただし、ユニット下部に接続したリンクユニットの構造と特性は未知数。
≪ ステップ ≫
・・ ステップの構造はマイナスポイント。ステップの位置(高さと前後位置)は、オートバイの操縦性を左右する点であり、僕は、スイングアームのピポット(軸)とリアホイールアクスル(リアホイールの中心)を結ぶ線上に位置するのを基本にして、その位置になるように変更を加えているが、MT-09の場合には加工が難しい事が判明して要検討。
( MT-09のステップ取り付け部は、通常のフレーム固定ではなく、スイングアームのピポット部とエンジンマウント部に重ねて固定される形式である上、理想と考える位置より 30㎜程度低い )
≪ エンジン ≫
・・ 新設計のエンジンは、前後長は凝縮感があるものの、意外と左右の張り出しがある。その為、転倒時の破損を最小限に留めるためには、フレーム固定の円筒形の自作スライダー以外に、左側ジェネレーターカバー部を覆うカーボンファイバー製カバーを自作する必要がある。この作業は ストリートトリプルの場合と同様だが、MT-09はそれよりも 20mm近く張り出し幅が大きく、転倒時ダメージが更に不安。
≪ ハンドル ≫
・・ 自転車、特にロードレーサー車では一般的になった、中央の固定部分の径が左右のグリップ部分より太くなっている「テーパードハンドル」になっているため、ハンドルボジションの最適化の為の交換できるハンドル部品が限られる。それ以上に、標準状態でタンク上面とのクリアランスが少ない為、ポジション変更の余地が限られている事が不安。
≪ メーター ≫
・・ 右側にオフセットされている点は FZ6と同様だが、メーター全体の大きさが小型になっているため、FZ6の場合の様に転倒時の破損対策が不要な点は良好。しかし、右側ハンドルグリップ部とメーターとのクリアランスが少なく、グリップ間距離を縮める処理を行なう場合には、メーター固定ブラケット部の追加工が必要と思われるが、専用の特殊形状のブラケットの為に加工難度が多少高い。
≪ ホイール ≫
・・ 選考対象車両のそれと較べるまでもなく、デザイン設計は金型費用を抑えたモノであり、表面処理レベルも低く、品質管も低い。
≪ 燃料タンク ≫
・・ 一見、ずいぶんと幅が広く感じられるが、計測すると FZ6と同程度であり、ストリートトリプルより20㎜近く狭いため問題は無し。しかし、タンク前方の固定ボルト1本を外すには、4~6本のファスナーで固定されたカバーを外す必要があり整備性悪い。
≪ フロントフォーク ≫
・・ ダンピング調整機構は無いが、プリロードアジャスター機構と一緒に FZ1用の部品を軽微な加工程度で組み入れ可能と思われるために問題は無し。
≪ フロントフェンダー ≫
・・ スタイリング優先で、走行時には乱流発生が大きいと想像される形状だが、同じく FZ1用の部品をそのまま装着か軽微加工で装着できる見込みがあるので問題無し。
≪ 車両全体 ≫
・・ 全体を見て、外装および構造部品共にに部品点数が多く、それに伴って固定用ボルトの点数も多い。これは恐らく、スタイリストが作り上げた全体スケッチまたは縮小モデルのイメージを優先させ、原寸大モデルを作成したモデラーかここの部品の設計へ落とし込んだ人に整備に対する配慮が欠けた結果と思われる。
例えば、先に挙げたタンク固定ボルト周囲の設計の他に、テールランプユニットの固定ボルトへのアクセスの悪さなど、車体各部に散見される、 これは、FZ6には見られない特徴であり、整備好きの人が設計した構造が大きな魅力のストリートトリプルと比較すれば全く魅力的に思えない点だ。
また、先に挙げたホイール以外、車体各部の表面処理のレベルは低くコスト意識があからさまな点も気になる点だ。
【 現状の結論 】
MT-09は、商品としてのアピールポイントを明確にして、それに伴ってスタイリング(イメージ)面にも力が入り、しかもエンジン特性などの仕様諸元でも高いレベルを狙って製造された車両だ。
しかし、スタイリング面からの要求が強く、部品として落とし込む設計での煮詰めが乏しく整備性に欠けた上に部品点数も増え、その上で設計コストに合わせるために表面処理などのコスト削減を行なった車両の様に思われる。
試乗を行なわない現段階では、仕様諸元には大きな魅力を感じるものの、深い愛情を注ぐ対象としては品質設計面で不満が残り、同エンジンを搭載した次の車両に期待する気持が大だ。
次期購入車両として検討すべき車両の一台として候補に挙げていたが、メーカー発表の仕様諸元などを眺めてますます意中の一台(?)とまで心を固め、先日販売店で見学してきた報告をします。
尚、選考の際の対象比較車両は、ヤマハの FZ6(過去に所有) と トライアンフのストリートトリプル(現行車両)で、一般の方とは多少異なる選考判断基準や用途を想定している事を理解して下さい。
( 文中に難解・意味不明な用語があった場合には、気兼ね無くコメント送信でお尋ね下さい。説明文をコメント回答します。匿名で結構です)
【 どこが魅力的か? 】
人によって、オートバイを使う目的が異なれば、選ぶポイントや魅力に感じる箇所も異なるものだ。
僕にとって、オートバイは積極的なライディング、時にスラローム系競技への適性と、整備やセットアップ作業の容易さも選考基準だ。
先ずは、MT-09 の メーカーカタログページと仕様諸元(スペック)ページを見てください。
◇ カタログページ : http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/sportsbike/mt-09/
◇ 仕様諸言ページ : http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/sportsbike/mt-09/spec.html
≪ 魅力.1 ≫
・・ 何と言っても、3気筒エンジンである事。その特性(特にトルク特性)は、ストリートトリプルで充分に体験済み。(又は、少し古過ぎるが、スズキフロンテクーペでも同様に!)
≪ 魅力.2 ≫
・・ 軽量な車体重量。 装備重量で 188㎏ とすれば、乾燥重量では 150㎏台後半か 160㎏台前半が見込まれ、軽快な動きが更に期待できる。
≪ 魅力.3 ≫
・・ 適正なジオメトリー。 103㎜のトレール量と1440㎜ のホイールベースは、バランスの良い操縦性の FZ6 と同等
≪ 魅力.4 ≫
・・ 専用設計の左右モナカ合わせ構造のフレーム。 FZ6でエンジンOH整備をした際、他に例が無い程に高い精度を求めた設計がされていたので、その造りが引き継がれている事への期待。
反対に、不安に感じていた点は少なく、130㎜を超えるフロントサスペンションのストローク量ぐらいでした。
【 1時間を超える観察の結果 】
MT-09の隅から隅までじっくりと観察した印象は、各部位別に以下の通りです。
≪ フレーム ≫
・・ フレーム全体の設計は FZ-6 と同様で、ステアリングステム周囲は FZ6と同様に 6本のボルトで締結されており、そのボルトの締め付けトルクの調整で、ステアリング特性の調整も可能な構造は Good!
エンジンマウント部分の設定も納得できるが、リアサスペンションユニットの上部を固定する、左右フレーム間に渡されたブリッジ部材の剛性と取り付け剛性に若干の不安あり。
≪ リアサスペンションユニット ≫
・・ この車両の特徴の一つである、リアサスペンションユニットは長く、大きく寝かせられた状態で車体中央部まで伸びており、以前の同社製のレーサー:TZを彷彿とさせる構造には納得。ただし、ユニット下部に接続したリンクユニットの構造と特性は未知数。
≪ ステップ ≫
・・ ステップの構造はマイナスポイント。ステップの位置(高さと前後位置)は、オートバイの操縦性を左右する点であり、僕は、スイングアームのピポット(軸)とリアホイールアクスル(リアホイールの中心)を結ぶ線上に位置するのを基本にして、その位置になるように変更を加えているが、MT-09の場合には加工が難しい事が判明して要検討。
( MT-09のステップ取り付け部は、通常のフレーム固定ではなく、スイングアームのピポット部とエンジンマウント部に重ねて固定される形式である上、理想と考える位置より 30㎜程度低い )
≪ エンジン ≫
・・ 新設計のエンジンは、前後長は凝縮感があるものの、意外と左右の張り出しがある。その為、転倒時の破損を最小限に留めるためには、フレーム固定の円筒形の自作スライダー以外に、左側ジェネレーターカバー部を覆うカーボンファイバー製カバーを自作する必要がある。この作業は ストリートトリプルの場合と同様だが、MT-09はそれよりも 20mm近く張り出し幅が大きく、転倒時ダメージが更に不安。
≪ ハンドル ≫
・・ 自転車、特にロードレーサー車では一般的になった、中央の固定部分の径が左右のグリップ部分より太くなっている「テーパードハンドル」になっているため、ハンドルボジションの最適化の為の交換できるハンドル部品が限られる。それ以上に、標準状態でタンク上面とのクリアランスが少ない為、ポジション変更の余地が限られている事が不安。
≪ メーター ≫
・・ 右側にオフセットされている点は FZ6と同様だが、メーター全体の大きさが小型になっているため、FZ6の場合の様に転倒時の破損対策が不要な点は良好。しかし、右側ハンドルグリップ部とメーターとのクリアランスが少なく、グリップ間距離を縮める処理を行なう場合には、メーター固定ブラケット部の追加工が必要と思われるが、専用の特殊形状のブラケットの為に加工難度が多少高い。
≪ ホイール ≫
・・ 選考対象車両のそれと較べるまでもなく、デザイン設計は金型費用を抑えたモノであり、表面処理レベルも低く、品質管も低い。
≪ 燃料タンク ≫
・・ 一見、ずいぶんと幅が広く感じられるが、計測すると FZ6と同程度であり、ストリートトリプルより20㎜近く狭いため問題は無し。しかし、タンク前方の固定ボルト1本を外すには、4~6本のファスナーで固定されたカバーを外す必要があり整備性悪い。
≪ フロントフォーク ≫
・・ ダンピング調整機構は無いが、プリロードアジャスター機構と一緒に FZ1用の部品を軽微な加工程度で組み入れ可能と思われるために問題は無し。
≪ フロントフェンダー ≫
・・ スタイリング優先で、走行時には乱流発生が大きいと想像される形状だが、同じく FZ1用の部品をそのまま装着か軽微加工で装着できる見込みがあるので問題無し。
≪ 車両全体 ≫
・・ 全体を見て、外装および構造部品共にに部品点数が多く、それに伴って固定用ボルトの点数も多い。これは恐らく、スタイリストが作り上げた全体スケッチまたは縮小モデルのイメージを優先させ、原寸大モデルを作成したモデラーかここの部品の設計へ落とし込んだ人に整備に対する配慮が欠けた結果と思われる。
例えば、先に挙げたタンク固定ボルト周囲の設計の他に、テールランプユニットの固定ボルトへのアクセスの悪さなど、車体各部に散見される、 これは、FZ6には見られない特徴であり、整備好きの人が設計した構造が大きな魅力のストリートトリプルと比較すれば全く魅力的に思えない点だ。
また、先に挙げたホイール以外、車体各部の表面処理のレベルは低くコスト意識があからさまな点も気になる点だ。
【 現状の結論 】
MT-09は、商品としてのアピールポイントを明確にして、それに伴ってスタイリング(イメージ)面にも力が入り、しかもエンジン特性などの仕様諸元でも高いレベルを狙って製造された車両だ。
しかし、スタイリング面からの要求が強く、部品として落とし込む設計での煮詰めが乏しく整備性に欠けた上に部品点数も増え、その上で設計コストに合わせるために表面処理などのコスト削減を行なった車両の様に思われる。
試乗を行なわない現段階では、仕様諸元には大きな魅力を感じるものの、深い愛情を注ぐ対象としては品質設計面で不満が残り、同エンジンを搭載した次の車両に期待する気持が大だ。