これはチンチャンです。
手違い紫檀と江戸時代から言われてきたものです。
一見、インドの小葉紫檀に間違えるくらいの木です。
ですから手違いなのでしょう、削るとミントの香りがします。
この香りが、問題です良い匂いだなどと嗅いでいたら、とんでもなく鼻と喉をやられます。
フェルナンブーコという、バイオリンの弓を作る材料などと同じく、いずれは喉と肺を傷めてしまいます、ヨーロッパには、フェルナンブーコ病というものもあるくらいです。
ほぉさんに厳しく言われて、ティッシュとマスクの二重をしても、一、二時間でかなり目まで痛めます。
でも綺麗でパンとした音が鳴り、響きの良さは、抜群です。
高らかに鳴るという感じの二胡が出来上がります。
鳴尾さんはこのチンチャンの二胡をとても気に入ってくれているようです。
ちなみにこのチンチャンの二胡を私が作ると、44万になります(会員15%オフ)
とにかくよい木です。
この木で胴を作り始めるとき、まずは一枚一枚をこのような形と厚みに削ります。
一枚の厚みは14ミリです。
普通、中国製の二胡は、10.7ミリくらいです。
それでも問題はないのですが、私の場合は、12角形に皮を張るところを削りますから、厚みが必要なのです。
材料費的には無駄も多くなってしまうのですが、どうしても角がなるべく多く作りなるべく皮が均一に張れるようにしたいのです。
この棹の穴は私はレーザーで開けてもらいます。
とても固いので、きれいに同じ形に作るにはやはりレーザーは優れものです。
昔は、中国では、棹の形に作った、鉄の棒を真っ赤に焼いておいて、この穴をあけたといいます。
今でも、そのように加工しているところはあるのでしょうが、火を使う、熱を使うという点では同じことですね。
胴の内部は、まずはこのように、平らに削っておきます、少し、革に近い方へ、傾斜していて、
皮に近い処は、8ミリです、一番厚いのは、後ろから40ミリのところで、ここは、14ミリそのままあります。
色々実験していて、どうやら此処の40ミリのポイントは振動に影響がない処なのです。
ですから、中国製のもこのところに、台を止める木ねじを打ち込みます。
ところがこのあたりが微妙なところで、高音部は、このあたりから、後ろのところの厚みの作り方によって、鳴りと音色がずいぶん左右されます。
このように削った、6枚の板を接ぎ合せて、胴を作ります。