二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本製の二胡のできあがるまで。その7

2010-06-10 20:42:33 | ■工房便り 総合 
西野さん、顔、

何?

紫色してますよ。

そうそう、二胡の中削っていたんだよ。

何でですか?

音がね、、今いち。もう少し高い音、綺麗にならないかろ思って。あちこち削ってみたんだよ、それで削った後、胴の中口で吹くだろ、だから出てきた粉が顔に着くのじゃないか?

でもマスクしたほうがいいですよ、ゴホゴホしてるでしょ。

マスクしたら、吹けないでしょ。

ともかく、削る。

これはいい。どうほぉさん。

さっきより低音が良く出るみたいですよ。

やりすぎた。?廃棄。

又ですか?

いいのもう一台作るから。

こんなこと半年以上続けたのか、仕事の合間に。(嘘、二胡の合間にしごとでしょ、とほぉさん)いや、ホントに仕事の合間に、約70台くらいつぶした。

今はあちこちのペン立てになっているのと、

荒張りの時の木型になっている。(ちゃんと役に立っているでしょ。ほぉさん)

基本的なことは、間違いがないはず。

でも、何かしっくりこない。

楽器屋さんのSさんが言ったように、わたしの作った二胡は、高音の雑音が出ない。

でも雑音より何より、一番問題なのは、私自身が、納得していないということ。

何でこういう楽器ができたのか、今までの中国製のできないことができたのかということ。

理由は?

この二胡のどこをどう削ったら、どのように変化するのか、?

またそれは、木のせいなのか?、皮のせいなのか?

これは科学の実験と同じ。

たまたま、何かのついでにできた成分が有るとする。

それが何故できたのか、安定した分析が必要。

そうでないといつまでもその、偶然でやるしかない。

警察の言う状況証拠と同じだろう。

その根本の原理を突き止めない限り、良い二胡を作りつずけるというわけにはいかない。

70個の胴をつぶしたとき、初めて、納得した。

胴の口の部分の厚さ。

棹との接触部分の厚み。

真ん中の厚み。

肝心の高音を左右する部分を発見した時は、嬉しかった。

何故自分の作った二胡の高音に雑音が出ないかが、はっきり分かった。

最初の間で考えていた、二胡はジャンベと近いというのは、有る意味正解だった。

二胡の胴の中は、2つにわかれていると言って良い。

低音を響かせるところ、高音を響かせるところ。

音を振動させはじめるところ。

これらを、分類できて初めて、バランスの良い二胡は出来上がるということだった。

もちろん中国製の二胡もそれには近い状態。

多分、今のモデルになっている形は、もちろん正解。

但し、今の二胡と木が違っていたのだろう。

それを発見したのは、セイロン産の黒檀を使って胴を作った時。

それまでの、ココポロやバリサンダーと同じように削り出しても、雑音が出た。

削って削って、弾いてみて、良しこれならという時に、中を覗いてみた。

何と、今の中国製の、蘇州型と、同じ削りになっていた。

多分最初の今の形態の二胡は、黒檀だったのかもしれない。

反対に、インドローズやバリサンダーを今の蘇州型に削って見ると。高音が出ない。

これは、木に依っても、削り方変えなければいけないのだと、理解した時

なんとなく、自分の作った二胡に自信もでき、

初めて、売ってもいいかな?

プロとしての自信も湧いた。

たまたま出来上がったとは言え、それは、様々な変化を含む一つの形の基本であった。





 

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