光舜松脂はP(一番柔らかい物)~K(一番硬い物)の間に無限とはいかなくとも相当な数の結晶の変化があります。
ある方が光舜松脂を分析に出したようで、結果はロジン以外入っていないと言われました。
ではなぜ同じロジンでこれほど音が変わるかと言いますと、結晶の形、硬さ、大きさが相当違うからのようです。
樹脂がもとになった琥珀(アンバー)もコーパルという琥珀になり切っていないものもありますね。
時間の経過や周りの環境で完全に化石化あるいは結晶化していないものがコーパルと言われています。
天然熟成の松脂も、10年物20年物、真黒になった数十年物など様々に販売されてはいますが、最近では10年物が殆どだと中国の松脂屋さんに聞きました。
天然松脂はその熟成期間によっても環境によっても、まるで雪の結晶のように様々な結晶が作られます。
さて、一番硬い光舜松脂・K 。これは純度を上げるのがとても難しいです。
Kは私の作り上げた松脂の中で一番硬いものです。
硬いおかげでヴァイオリンなどの弦に当たった時に崩れずに弦を振動させます。ですから強く振動するのでしょう。
このK20に使われているKは言ってみれば金属などの純度954くらいではないかと考えています。
金なども純度を999以上にあげていくとはとても難しいですね。
それと同じように松脂も純度を上げるにはかなりの手数を必要とします。
その代わり出来上がったK999は(少し端折って100と言っています)硬質なものの集まりになります。
これは弾いてみると、長い弦太い弦も良く振動させます。
硬いですから崩れにくくまた粒子の繋がりもかなり強靭で(松脂にしては)毛にも付着しにくいです。
時間をかけて弓毛に塗って、弾いてみると、その反応の鋭敏さは多分他の松脂
では追い付かないでしょうね。
問題は、ヴァイオリンの様な細く繊細な弦を弾くとかなり雑音になりかねないことです。
弓毛のラインが乱れていたり、楽器にどこか緩みがあったりすると直ぐに雑音になりかねません。
弾き方にもよります、弾く圧力の変化にすごく鋭敏に反応します。
ヴァイオリンではあまりやりませんが、二胡などでは弓毛を緩めて、掠れるような音をつかう演奏もあります。
こういう時にはすぐに雑音になりかねません。
しかしそれでも、この鋭敏さによって素晴らしい音色を作る事も確かです。
特に倍音の多い長いの楽器、二胡など弾くととてもきれいな音を引き出します。
反対にPは、柔らかい粒子です。
これも、純度を上げて999にすると、柔らかい影で次々と崩れていく松脂の粒子がとても柔らかい音の連なりを作ります。
Pは0ゼロほどの粒子の細かさは無いようです。
ですから同じ柔らかいといっても0ゼロのように、多くの倍音を引き出すという感じではないのです。
寧ろ人によっては鈍いと感じる方もいらっしゃるのでは??と思いますが。
ヴァイオリンや高胡のようにかなり鋭敏な弦を弾いても、鋭すぎるという感じは無くなり、寧ろ幽玄と言われる音になります。
これも二胡、あるいはヴィオラくらいの長さの弦ですと、いわゆる癒し系の音色が更に増すような感じです。
これは本当に個人的な意見ですが、K100もP100も二胡に向いているような気がします。
このくらいに、光舜松脂はその種類の使い方、重ね方によっては曲の違いあるいは皆さんの日々の感覚の違い、感性の違いなどを表現するときにお役に立つと思います。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ