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口から食べられなくなったら… 特養での胃ろうに疑問の声 (産経新聞)

2010年09月16日 | ニュース ・ 新聞
【ゆうゆうLife】

 口から食べられなくなったとき、胃に直接、管で栄養を入れる「胃ろう(PEG)」。栄養摂取が容易になる一方で、高齢で意思確認ができず、予後が期待できない患者にも胃ろうが作られるケースもある。終末期に向かう治療として、胃ろうは適切なのか-。家族や特別養護老人ホーム(特養)の関係者らから疑問の声が上がっている。


 群馬県太田市に住む原田貴子さん(63)=仮名=の義母(95)は特養に入所している。7年前に脳梗塞(こうそく)で倒れて以来、右半身まひで要介護5。病院や施設を経て、今の特養に入って6年以上になる。

 飲み込みができなくなり、鼻から栄養を入れる「鼻腔(びくう)栄養」にしたが、義母は管をしばしば自分で抜いてしまう。ある日、見舞いに行くと、看護師から「忙しいときに手がかかる。胃ろうにしていただかないと困ります」と言われた。

 義母は既に90代半ば。原田さんの夫は既に亡く、義母の娘3人も70歳を超える。義母本人の意思確認は既にできないが、以前、「延命治療はしないでほしい」と言っていたし、親族もみんな「そこまでしなくていい」と否定的だった。しかし、施設側は「胃ろうは延命治療じゃありません。処置です」と譲らなかった。原田さんは「私が反対し、『だったら家で1人で介護してください』と言われても困る。親族の理解を必死で取り付けました」という。

 胃ろうにした義母はつなぎパジャマを着せられるようになった。患部をかきむしるからだという。原田さんは複雑な気持ちだ。「体重は4キロ増えたけれど、笑顔が消え、にこりともしなくなった。施設は1日でも1秒でも長生きさせたいと考えているのでしょうか」


 ■求められる適用の明確化

 ≪判断迫られる家族≫

 胃ろうの人は全国に約30万人いるともいわれる。低栄養の改善をはじめ、誤嚥(ごえん)性肺炎を避けるためや「在宅でも管理が簡単だから」と退院に向けて勧められるケースもある。問題は本人が意思表示できず、家族が判断を迫られる場合だ。

 しかし、「これでよいのか」との声は根強い。長寿科学振興財団が行った「高齢者の医療のあり方に関する研究」によると、一般病院の主治医で、自分が胃ろうの対象となったときに「受け入れる」とするのは5人に1人。特養の看護師では10人に9人以上が「拒否する」と答えている。

 看護師で全国高齢者ケア協会の鎌田ケイ子理事長は「老衰の過程で食べる量が減り、全身が弱るのは自然なことで、そういう人は胃ろうの対象ではない。介護現場では胃ろうに依存せず、手と時間をかけて“枯れていく大往生”を実現するケアに転換すべき。本人の意思が確認できないとき、胃ろうをつくる選択を家族に迫り、“死なせる引き金”を引かせるのは酷。学会が適用の客観基準を作るべきです」という。

 胃ろうの情報を提供するNPO法人「PEGドクターズネットワーク」理事長で国際医療福祉大学病院の鈴木裕教授も、現状がパーフェクトだとは思っていない。「嚥下(えんげ)機能が低下した人が胃ろうにしてリハビリを受け、生活の質(QOL)を取り戻すケースは多い。QOLを上げる使い方をすることが重要で、正しく使えば、こんなによいものはない。どういう人に使うかをきちんとし、患者さんには十分に説明する必要がある」とする。

 脳卒中の回復期や嚥下機能だけに問題があるなど、胃ろうが力を発揮する場合もある。それだけに適用の明確化が求められる。鈴木教授らは胃ろうの患者の予後などを調査中で、「結果を踏まえ、指針を検討していく」という。

 ≪死生観 確認を≫

 胃ろうに関する意思確認をする特養もある。東京都世田谷区の「芦花ホーム」では、入所時に記入する「意思確認書」に「お口から食べられなくなったとき」の項目を設けた。選択肢は「胃ろう増設などは受けない」「胃ろう手術などを受けて少しでも長く生きることを望む」など。本人と家族に死生観を確認してもらうためで、ほかにも▽自然に最期を迎えるか、できるだけ医療処置を受けるか▽急変時に心臓マッサージや気管内挿管を希望するか-などの質問項目が並ぶ。

 ホームの常勤医師で、『平穏死のすすめ』(講談社)を書いた石飛幸三さんは「胃ろうにするか否かは本人と家族が決めること。うちでは『胃ろうにしろ』とも『するな』とも言わない。ただ、入所者はみんな人生の坂を下っている。最期をどう迎えるか、事前によく考えてもらいたい」という。

 昨年の敬老の日には「口から食べられなくなったらどうしますか」と題し、家族会を開いた。講演したのは医師や相談員のほか、胃ろうを断って親を看取(みと)った家族や、腸ろうの親を持つ子供も。議論は白熱し、参加家族らは終了後も長い間、ホールで話し合っていた。

 ≪栄養量加減も≫

 入所者が胃ろうにした場合、石飛医師は状態を見ながら栄養量を加減する。「人間は最期は起こしても起きられず、食べられずに寝ているだけになる。体が受け付けないのに、栄養量を通常通り入れれば吐く。無理に食べさせ、かえって誤嚥性肺炎の危険にさらすのは拷問に近い」

 栄養量を加減するようになって以来、ホームでは肺炎の発症が減り、救急車を呼ぶ回数も減った。肺炎死の代わりに老衰死が増え、自然な看取りに臨めるようになった、という。(産経新聞 佐藤好美)


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