おもしろケアマネ全員集合! (監修:アヒルとガチョウの2人)

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初任給11万円の20年前と処遇不安は大差ない――介護労働シンポレポート2

2009年10月21日 | 介護 ・ 福祉
 10月19日に介護労働安定センターが主催した第16回介護労働シンポジウムの後半はパネルディスカッションが開かれた。会場を埋めた約500人の聴衆を前に、社会保障審議会介護給付費分科会委員も務めた作家の沖藤典子氏がコーディネーターとなり、4人のパネリストたちが、それぞれの視点から介護職の未来について意見を述べた。

 ジャパンケアサービスグループの馬袋社長は、コムスンから継承した社員を含め約7,000人の介護職を率いる経営者として、「地域社会でサービスの質を高め、健全な利益とともに成長するには“何のために仕事をするか”を意識することが不可欠」と自社の経営理念を語った。

 同社の人材育成への取組みでは、仕事への姿勢や経験を評価する“人事考課”と目標達成度による“業績評価”にもとづいた給与体系を構築し、評価者にも毎年研修を実施することで評価基準が偏らないよう統一を図り、社員の意欲と能力が向上し成長し続ける、働きがいのある職場づくりを目指していると述べた。

 特別養護老人ホーム「ラポール藤沢」施設長の阿部充宏氏は、20年前に施設の介護職員として入職後、ケアマネジャーの経験も積み介護畑を一筋に歩んできたと自己紹介。神奈川介護支援専門員協会理事長も務める阿部氏は「初任給は当時で11万円と20年前から厳しい労働条件下で働いてきたが、介護職の処遇の不安は今も20年前も、さして変わらない」と聴衆に訴えた。

 昨今の雇用状況を受けて他職種からの転職者が相次ぐ現状については、施設長として面接を数多くこなす立場から「介護分野への転職は歓迎だがそうした人たちが持つそれぞれの経験、価値観に配慮した教育が重要」と述べた。
また介護職の確保は急務であり、そのためには職業として成立する給与を保障することが必須と主張。民主党が掲げたマニフェストの処遇改善策についても「現職のケアマネジャーの多くが40代以上の女性だが、きちんと現場から声を上げることで一時的な対策で終わらせないようにしよう」と呼びかけた。

 淑徳大総合福祉学部准教授の結城康博氏は、「前半で厚労省から有効求人倍率が今春から停滞していることから人材不足ではないかのような発言があったが依然、離職率は高く人で不足の実態は変わらない」と反論。処遇改善についても長期的なビジョンで財源が介護業界に多く配分されなければ実行は伴わないと今後の社会保障制度の在り方を根本から議論すべきと主張した。

 民間企業で海外駐在経験のある法政大大学院経営学研究科教授の桐村晋次氏は、海外の子供に質問したら十人十色の答えだったものが日本人駐在員の子供らは全員同じ回答だったため教師が父兄を呼んだエピソードを披露し、「日本人はとかく人の顔色をうかがい横並びで正解にたどりつくことを尊重したがるが、介護の仕事は利用者ごとに正解がない。キャリア形成もそれを意識して人を育てることが大切」と語った。

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