「たかぽんさぁん…」
モモカちゃんを連れてトイレに入ったハタチのパート職員ナナミさんが、困惑した声でトイレから助けを求めてきた。
モモカちゃんは重い自閉症で、トイレ介助が必要な中学生。
「何、どうしたの?」
トイレに入ると、そこはオシッコだらけの床!
「モモカちゃん、まだ便器に座る前に出しちゃたんですー」
手にもかけられたらしく、オシッコで濡れた両手をブラブラさせて困り顔のナナミさん。
悪気のないモモカちゃんはオシッコだらけの床でぴょんぴょん跳ねていた。
「おぉっと!やっちゃったなモモカちゃん」
私はモモカちゃんのことを拭き、着替えさせた。
「じゃあナナミさんはハイターで雑巾で拭いてくださいね」
「はい」
若いナナミさんにとっては衝撃的な出来事だっただろうけど、この仕事をしていると、この手のことなんてしょっちゅう。
私なんて何年か前、ブログにも書いたがモモカちゃんの大きなウンチを手のひらにのっけられたこともあったからね。
モモカちゃんに限らず、オシッコ、ウンチ、ヨダレ、オナラ、ひっかけられつけられ日常茶飯事。
そういうことに慣れなきゃこの仕事はやってられない。
今日もいろいろバラエティに浴びてきた。笑
マナトとケンカしたミサコが私に抱きついてきて号泣。
ヨシヨシと慰めたらケロッと元気になって顔を上げたミサコ。
その顔を見たら、鼻から2本の鼻水がダラーンと出ていた。
そして私の着ていた洋服はミサコの
鼻水と涙でグジョグジョ。
更には何人かですごろくで遊んでいたら隣のレナから超臭いオナラの臭い。
「レナちゃーん!やったでしょう!」
「やってないよー!!」
と言ったレナの口もとが笑っている。
レナはいつもキョーレツに臭いオナラを出す。
しかも送迎している時、車の中でわざと出す。ほんとカンベンしてほしい。
そして今日のすごろくの時、隣のレナが超クサイのを発したと思ったら、今度は反対隣のミサコが「ブー」と出してきやがった。
「おーい!」とミサコを見たら、ミサコは平然とした表情で返事をするように、もう一発「ぶー」と出してきた。
このタイミングだったから、もうみんなで大笑い。
ホントに困ったもんだよコヤツら。笑
そのうち今度は突然レナが私に飛びかかって来た。
負けじと私はレナを振り回して取っ組み合いをした。
こんな感じで体を動かしたくてしょうがない子を相手に、時々プロレスごっこをしている。御年58歳のワタシ。
そうしていたら車いすのトシくんが私を呼んだ。
「何?どうしたトシくん」
と行くと、新聞紙で刀を作って欲しいと言うので作ってあげた。
「はい、できあがり」
と刀をトシくんに渡すと、
「えいっ」
と新聞紙刀で私の頭を叩いて来た。きやがった。
私も負けないからもう1本新聞紙を丸めて応戦した。
そんなこんなで今日も仕事が終わった。
今日も疲れた。
さて帰ろうとしたら、他の職員の人が、
「たかぽんさん、どうしたんですか!?ヒジ!」
え?ヒジ?
見たら擦りむいた傷があり、血が少し流れ出ていた。
え、ちょ、いつの傷だ?プロレスの時かな。
つくづく私、体張ってるな。
58歳のオバチャンの域じゃなくね?
なんて言い回しで、最近思ったりもしている。