神戸の市章と錨マークもうっすらと雪化粧~ 昨日はホワイト・バレンタインでしたね。チョコといえばベルギー、そして私が究めたかったのが昨夏ベルギーのブルージュで堪能したフィッシュスープ。
真鱈をブロックのまま安く手に入れることができたので、このフィッシュスープをメインに持ってくることにしました。本場では数種類の白身魚と特産品のムール貝を入れる店が多いのですが、海老みそのうまみも加えたかったので、真鱈と有頭海老を使うことにしました。
- ベルギー風フィッシュスープ
- ジャーマン・ポテトサラダと芽キャベツ&丸いズッキーニのソテー
- ニシンの酢漬けと黒パン
- クリームティー: スコーンと紅茶
ベルギーといってもフランドル地方の郷土料理 waterzooi は、水から煮込む鶏あるいは魚のシチューです。余計な調味料は入らず、セロリ、人参、ポロネギの甘味と鶏あるいは魚介のうまみが凝縮しているのが特徴です。ポロネギは手に入らないので白ネギを代用。人参、白ネギを千切りにして十分に炒め、蓋をして蒸していくと鍋一杯、大量にあった千切り野菜が三分の一ほどに減ってしまいました。野菜を千切りにして使うというのも目から鱗で、こういう料理法だと野菜が大量に摂取できていいですよね。
最近売り出したこのオーネのシーフード・ブイヨン fumet de poisson フェメ ド ポワソンは顆粒スティック5本入り260円ほどで便利です。白ワインや生クリームは隠し味程度の少量なのに十分コクのあるスープになりました。ダイナミックなブイヤベースとは全く違った、骨、皮、殻なしの上品なスープ。少しは本場の味に近づけたけど、まだまだ改良していきたいと思ってます。
スープと一緒に食べようと、今私が一番気に入ってる元町PAUL のライ麦パン(黒パン)を買ったのだけど、ライ麦パンといえばやっぱりニシンの酢漬けだよな~、とまたまた自分が食べたいものが頭に浮かんできちゃって。スープ用にはバゲットを買い足し、前菜の一つにライ麦パンにバターを薄く塗って瓶詰めのニシンの酢漬けをのせて食べてもらうことにしました。意外や意外、みんなニシンの酢漬けを食べたことなかったんですね~!見た目でひるんでいたけれど、魚臭くもなく、甘酸っぱい味の虜になったでしょ。30年近く前、デンマークに半年住んでいた時の夕食といえば、ほぼ毎晩北欧風オープンサンドのスモーガスボードでした。その時にニシンの酢漬けもよくのっけて食べていたので、私にとってはへんに懐かしい味の一つです。今では近くのIKEAで手に入るので、我家のパントリーに加わっていることも多いわけです。そうそう、夏に訪れたオランダでは、ニシンの酢漬けを食べさせる屋台がたくさん出ていました。オランダ人はこれが大好物で、屋台は夏の風物詩なんだそうです。
さて、三宮センター街の裏通りに、珍しい野菜ばかり売っている小さな露店があります。丸いズッキーニと芽キャベツを見つけたので、あまりの可愛らしさにソテーして添えることにしました。実は芽キャベツの英語名は Brussels Sprout (ブルッセルの芽という意味)というように、ベルギーの首都ブルッセル近郊が原産地だそうです。ついでにいうと、チコリの英語名は Belgium Endive (ベルギーエンダイブ)で、小国ながら国名を冠した野菜が結構あるんですね。
ドイツのポテトサラダが必ずしも温かいわけではないけれど、アメリカに渡ったドイツ系移民がベーコン入りの温かいポテトサラダを広めたところ、ジャーマン・ポテトサラダと命名されたそうです。玉ねぎとベーコンを炒めた鍋に白ワインビネガーやマスタードなどの調味料、茹でたジャガイモを加えて出来上がり。油はあまり入っていないので一般的なマヨネーズ入りポテトサラダよりはヘルシーですね。ワインビネガーは日本の米酢、穀物酢よりもずっとマイルドです。ニシンの酢漬けも同じくワインビネガーを使っているのでさほど酸っぱくないわけです。
Cream Tea クリームティーとは、クリームの入った紅茶のことじゃなくて、スコーンと紅茶のセットのことです。アフタヌーンティーが小さなサンドイッチ、ケーキと紅茶の軽食を意味するように、軽食クリームティーを看板やメニューに掲げたお店がイギリス、特に南部にはたくさんあります。というのもスコーンにはイギリス南西部 Devon デヴォン州特産の濃厚な固形クリームとジャムがついてくるのが決まりだから。これにもクロテッドクリーム clotted cream とダブルクリーム double cream という似て非なるものがあるのですが、その説明を始めると長くなるのでまたの機会に。とにかく、このクリームを売っている店を三宮でなんとか一軒見つけたのだけど、170g 1575円とあまりにも高くてレッスンには使えませんでした~。代わりにサワークリームと生クリームで我慢してもらったけれど、結構相性良かったですね。
スコーンは以前働いていたシアトルのレストランで毎朝焼いていたテイクアウト用のレシピ。レモンの皮やカレント(小粒のレーズン)を入れます。バターのかわりに生クリームだけで作るのでふんわりぽろぽろ。型抜きもせず円形に整えて6等分しただけという簡単さに驚いたでしょ。もう少し固くしたいなら、中力粉を使うといいですよ。アッサムティーとラズベリージャム、クリーム添えスコーンで、ちょっとはイギリスの香りを楽しんでもらえたかな?
ベルギー、北欧、ドイツ、イギリスを駆け足で回ったお料理、いかがでしたか?なんだか、だんだんと「世界の食文化研究グルメ同好会」のようになってきたキッチン・マーレだなぁ。
ところで、父のお見舞いと母の命日のお墓参りをかねてNYから姉、SFから兄が帰国中です。バレンタインの前日、娘とデパートの特設チョコレート売り場に行くのに我家に逗留している兄もついてきました。アメリカでは売ってもいないアートのようなチョコの数々に彼はびっくりして、iphoneで写真を撮りまくり、チョコの味見には手を出し、女性客一色の中でなかなかの不審者ぶり。私と娘と別行動しはじめ、ますます不審者度アップ。「かなり怪しいと思うけど。。」と言うと、「え?チョコレート・デザイナーだと思ってくれてるんとちゃう?」なんて勝手なこと言いながら随分と本人は楽しんでおりましたね。
来客のあったバレンタイン・デーのデザートにはMIORの「ベルギーのバラ」というチョコレートケーキとGOKANの「完熟こころ苺とチョコレート」というお米のロールケーキをいただき、満腹な夜でした。