チャオ・ダル・マーレ  CIAO dal MARE    (旧キッチン・マーレ)

Eat Well・Drink Well・Live Well
美味しく食べ、楽しく飲み、素敵に生きよう!

イギリス その2

2012-07-22 | グルメ色な日記

大学生活4年間をサポートしてくれたお礼にと、嬉しいことに娘が1泊旅行に連れて行ってくれた。ボーンマスから西へ続く海岸線約160キロはジュラシック・パークならぬジュラシック・コーストJurassic Coast と呼ばれ、1億8500万年前のジュラ記の古い地層の中からは恐竜以前に存在した生物の化石がみつかる。娘はこのコーストに魅了され、何10キロもハイキングしながらキャンプして絵を描く、ということを在学中に何度かしていたようだ。彼女の卒業制作の銅版画シリーズもここの断崖や化石をテーマにしたもので、万人受けはしない個性的な代物。

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この美しい海岸線の中でも彼女の一番のお気に入りの町、ライム・リージスLyme Regis にどうしても私を連れて行きたかったようだ。二階建てバスの二階、一番前の席に陣取り、こんな景色 ↑↑ を楽しみながら3時間の旅。

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坂の町ライム・リージスの中心は海岸周辺、住宅は坂の上に広がっている。19世紀初頭の女流作家ジェーン・オースティンはこの町に滞在中に小説『説得』を書いたそうで、彼女の名前を冠した公園が海岸沿いにある。またメリル?ストリープ主演の映画で話題にもなった小説『フランス軍将校の女』もこの町が舞台だということを知った。1811年に、この町に住む女性化石ハンターがジュラ紀に全盛だった魚竜イクチオサウルスの完全な化石を見つけたことから一躍化石の町として有名になったそうだ。町の街燈もアンモナイトの形!

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Dsc_1212_4B&Bに荷物を置き、サンドイッチ・ショップで蟹サラダのバゲットサンドと、イギリスの青カビチーズのスティルトン、セロリ、リンゴ、トマト、ルッコラの入ったサンドイッチを作ってもらって海岸でピクニックランチをすることにした。イギリス人は蟹みそを食べるんだよね。brown meat と言うのだけれど、蟹サラダには白と茶色の蟹身が両方混ざっている。アメリカ人は蟹みそを嫌がるので、ちょっと驚きだ。イギリスのパンは概して柔らかい。バゲットと言っても形がそうなだけで、本場フランスのバゲットとは全く違う柔らかいパンだ。パブでビールを買ってきて砂浜に座り、さあ食べようとしたらカモメがサンドイッチをかっさらいに急降下してきた。ギャッと叫びながら身体でブロックし、セーフ。ボーンマスでもここでも毎朝カモメの声で目が覚めたのだが、うるさくて厚かましくて、カラスと同じで全く可愛くない。スティルトンチーズのサンドは組み合わせが絶妙で大変美味しかった。これはキッチン・マーレでもまた紹介しよう。

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夕方、娘の大学にゲスト・アーティストとして来て以来娘に目をかけてくれているこの町在住の女性アーティストのフランが、ワインを飲みにおいで、と自宅に呼んでくれた。子供達のためにロンドンから移ってきた彼女の家は、藁ぶき屋根の古民家を改装したもの。私好みのインテリアや照明で一杯、溜息が出てしまう。

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夕食は、町で一番美味しいと評判のレストランを娘が予約してくれていた。フランお勧めのフィッシュ・スープとクラブケーキ(蟹のハンバーグのようなもの)はもちろん、あとカニ身を巻いた平目のクラブ・ビスク・ソースかけも注文した。フィッシュ・スープ、チャウダーっていうと普通は残り物の魚介を処分するのに格好の料理ともいえるのに、この店のスープに入っていた魚介はものすごく新鮮で感心した。さすが評判が良いわけだ。ただクリームが濃厚すぎて一人では食べきれないね。

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翌日は残念ながら土砂降りの雨、そして寒い!ひどい天候続きの環境にいると、前日が晴れていてラッキーだったね、と過去形ポジティブ思考ができるようになってきたよ。町の歴史博物館で化石について学びながら雨が上がるのを待っても雨脚は強まるばかり。Beer という隣村までバスに乗ってランチを食べに行くのは断念し、ジェーン・オースティン公園内のレストラン(写真右端)に行ってみることにした。灰色の入り江cove をみながら遅いランチに舌鼓。

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意外やロンドンの有名シェフの店だっただけあり、非の打ちどころのないプレゼンと味。スモークサーモン・パテ、トマトと蟹のサラダ、そしてsand eel のフライ。sand eel ってもしかしてドジョウかな??て思ったら、イカナゴだった。ちなみにドジョウはweather fish というらしい。

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この食事からは私が支払おうと思ったのに、この町にいる間は自分が払うよ、と娘は太っ腹。毎回ビールやワイン付きでありがとう!

帰りのバスは雨で窓ガラスがすっかり曇って景色なんてなんにもなし。前日居眠りせずに堪能しておいて良かった!また positive thinking できたよ。

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イギリス その1

2012-07-16 | グルメ色な日記

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ただいま~。ああ蒸し暑い!毎度のことだけど、ヨーロッパから日本の夏に戻ると体調崩しそうになる。特に今年のイギリスは夏がないとみんながぼやくほどの冷夏で、気温は15度~20度ぐらい、冷たい雨、風、曇りの合い間にたまに太陽が顔を出す、というひどい天候だ。娘のセーターとアノラックを借り、ウォーキングシューズという毎日同じいで立ち。でも最終日のロンドンはようやく快晴。もうじき開幕するオリンピックの準備にラストスパートといったところ。町中に万国旗とユニオンジャックが溢れていた。

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Jubilee_street_partyロンドンタクシーも色々と模様替えしている。この絵おかしいよな~ってカメラを向けたら、運転手さんがサムアップ thumb up 、親指上げてくれてたなんてあとで気づいた。女王様の戴冠60周年記念も重なって、今年はイギリス中が湧いている。英語で記念年、のことを Jubilee ジュビリーという。銀婚式は silver jubilee、 金婚式は golden jubilee、そして今年は女王様の diamond jubilee 。先月の式典日には国中の町内会で jubilee street party や village party が行われたそうだ。写真を義理の姉から拝借。

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このケーキは2年前にもブログで紹介した、ケンブリッジ郊外の村イクルトンに住む義理の姪が村民250人のためのパーティを企画し、その時に作った幅1メートルほどのケーキ。芝生も食べれるんだって。あの時も可愛いカップケーキを作ってくれたけど、このプロ並みのアイシング技術で、今ではウェディングケーキも作っているそうだ。

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Dsc_1096娘の大学、イギリス南部にあるボーンマス美大の卒業式は、隣町ウィンボーンにある中世の大寺院で行われ、ハリーポッターの世界に迷い込んだようにそれは荘厳で感激ものだった。あいにくの大雨の中で始まった式も終了後外に出ると少し晴れ間が出た。卒業生を一堂に収容できないから、驚くことに卒業式は学部別に四部制、同じことを学長以下教授陣は朝から夕方まで四回も壇上に上がってやったわけだ。日本だったら絶対に大きなホールを借り切って一度にやっちゃうだろうに。大寺院の席数が限られているので、学生一人に来客席は二席しか割り当てがなく、それ以上必要な場合は前持って申請して余っていればもらえる、という仕組み。イギリス中の大学が教会で卒業式を行うわけではなく、味気ないコンベンションホールで行う所も多いらしいので、とってもラッキーだった。式後に大学で行われた園遊会のシャンパンと軽食は有料で、チキン、サーモン、ゴートチーズタルトのメニューの中から事前にメインを選択してチケットを買っておく、という何もかもが興味深いものだった。
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今回の旅行中の食べ物のハイライトは間違いなくバスクなんだけど、振り返るとイギリスでもスペインでもずっとシーフードを食べてたな。イギリスでは到着日に娘と彼女の友達が作ってくれた夕食(上の写真)から始まったムール貝。これももよく食べた。あとはサーモン、たら、カレイ、などなど。

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ムール貝とイカの珍しいソテー。

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シェイクスピア劇場内のパブの食べ物は全部おいしかった。ムール貝もクリームソースがあっさり系で美味、そして軽くスモークしたサーモンはなかなかのものだった。カモミールティーとミントをベースにしたドリンクも初めての味。真似してみようっと。

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娘のロンドンの新居のすぐそばにある有名なフィッシュ&チップス。衣がカリッと揚がっていて◎だった。

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ミレニアムブリッジを歩いてテームズ川の対岸に渡ると、寒空の下、橋のたもとでピアニストがマイピアノで演奏中。どこからピアノ持ってきたんだろ。

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ロンドンブリッジのすぐ横を歩いていると、塔の上から突然花火が上った。ロンドン最後の夜を彩る素敵なサプライズ。

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つづく・・・

お楽しみバスク紀行、いましばらくのお待ちを。