墨工房日記

墨職人の楽しみながらの、奮闘記

墨の原料の煤

2007年11月07日 | Weblog
墨は煤、にかわと香料でできています。
煤ってなんでしょう?  煤は炭素(C)です。

 煤
鍋の底に着く黒い粉、石油ストーブを不完全燃焼したときにでる黒いヒラヒラしたもの!

物を燃やすと、酸素と炭素が結びつき二酸化炭素になります。
燃えるものは、炭素を含んでいます。逆に含んでいなければ燃えません。

燃えるとき、酸素の供給が少ないと一部、炭素が燃え残ります。

この炭素が煤です。

煤を採ろうとすると、
炭素が多い物を燃し、酸素の供給を絞ることが大切です。

当工房では、松煙という松を燃やして採った煤をつくっています。


通常の木材は炭素が50%、水素5%、酸素45%その他微粒子を含んでいまが、
50%では、ほとんど煤は取れません。
このため、
松煙を採る松は油がのった松(肥松)が必須です。
油分は炭素の比率がおおきいためです。

さらに、酸素を絞って供給しなければなりません。
松煙を採る設備は四方に網(昔は和紙)を貼り、少しの融通はありますが密閉しています。
また、網の目に煤が詰まるとドンドン密閉度が上がります。

そうなんです、炭素が多く、酸素を少なくして煤を作っているのです。
たぶん、1000年以上前からめんめんと続いている製法です。

私が松煙を作っている“松煙の長所”は、効率的に採取できることではありませんが、
合理的な製法です。


私には松が燃えている炎の色を見ると、煤の出具合(松の油分、酸素量)
が直感的に解ります。

~~うっとり、眠くなる色です~~

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。