墨工房日記

墨職人の楽しみながらの、奮闘記

正倉院の墨

2007年11月10日 | Weblog
絵手紙作家の木口こうすいさんが、
「第59回正倉院展」(奈良国立博物館) に行き
今回展示されていた墨の話をしてくれました。

正倉院に展示されていた墨は「松煙墨」でした。
私は、エッッ・・と思いました。

本当!

と聞き返すと、説明文に書いてあったそうです。


~~~~~~~~~~~~~
墨の起源は中国の殷の時代・・約3500年前
後漢の時代25~220に“さいりん”により紙が発明され(105年)、

以降墨の需要が急速に高まり、 現在ある、墨の原型が生れた。
唐の時代600~900に今日の墨の形が整えられた。

このころ、日本に墨の製法が伝えられた。
610年推古天皇の時代に紙と共に伝えられたと・・・あります。
~~~~~~~~~~~~~~

正倉院の墨は奈良。平安時代のようですから、
日本に伝わって、間もなくです。

当時は、お寺の燈明の煤を集めたって・・何かの本で読んだので、
てっきり油煙墨と思っていました。

松煙墨とは嬉しいことです。

でも、松の煤を“にかわ”と混ぜて作ることは、
まったく変わりません。
いや、3500年前の殷の時代から変わらないのかもしれません??

これって、どう??

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
正倉院の (大五郎)
2007-11-10 16:53:03
光明皇后が書かれた「樂毅論」というのも、松煙墨で書かれてありますよ!!
返信する
Unknown (Unknown)
2007-11-10 20:24:17
大五郎さん、ありがとう

松煙墨が使われたことは、
知りませんでした。

一般に、上流社会では,油煙、庶民は松煙と大雑把に考えていました。

選択に何か考えがあったのか、否か

解ると面白いのですが?

返信する
いやいや (大五郎)
2007-11-10 22:40:27
>上流社会では,油煙、庶民は松煙
こういう感覚は全くなかったでしょうね。
中国では黒々としたものを好んだようで、書の古いものでは松煙墨を使って書かれたものはほとんど無いようです。絵は別ですが・・・。
松煙墨が醸し出す円やかさは日本人の好みに合ったのでしょう。書の世界で松煙墨が開花したのは日本である、と言って良いかも知れません。
返信する
ん__ん、そうでしたか (堀池)
2007-11-11 04:50:07
勉強不足でした。同感です
墨を記録を残すなどの筆記用と考えるか、
文字に
、なんといいましょうか
その意味の味わいを表現するかで違うのでしょうか?

表現に対する日本人の感性があるのでしょうか?
興味あるとこです。

あるとき、アメリカの方がみえられました。
クロの話になり、
墨の青い、赤いは話ではわかっても、
視覚では解ってもらえませんでした。

ふっと、思い出しました。
返信する
え"~~~!? (大五郎)
2007-11-12 22:12:24
そうなんですか!?
微妙な違いですが、美的感覚あるいは色彩感覚の鋭い者なら解るはずですけどねぇ~。
書いたモノを並べて見た場合、より解りやすいと思うのですが・・・・。
美術関係の方ではなかったのでしょうか?
返信する
そうなんです~~ (堀池)
2007-11-13 10:05:14
その方は美術関係の専門家ではありませんが、
水墨に興味のある方でした。

同じようなことを、横浜のアメリカンスクールで教えている先生も言っていました。

でも、
世界中で書道を教えた先生(ご主人が日航マンで転勤の都度、教えたそうです)
が、
「どこの国の人が、墨色が一番解る?」
と質問したので、私は穏便に
「日本、中国、韓国」
を揚げました。答えは
「北欧の人」でした。
彼らは、春になると空ばかり見ているそうです。
春の光を待ち焦がれているそうです。

そのため、白、黒をとても理解している・・
とのことでした。
私も、納得!!
環境と、訓練の賜物でしょうか?
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。