京都・㐂むら(きむら)呉服店公式blog〜受け継ぐ着物

創業87年。2013年に家業を継ぐため異業種から転身。2021年に主人も加わりました。お得な商品の紹介や日常を綴ります。

金彩加工見学

2013-10-03 15:41:30 | 洗い・しみ直し・寸法直し・仕立て直し
先日、あるお客様がご来店され、黒留袖の柄部分のしみを何とかして欲しいとご依頼がありました。

当店ではなるべくお安く、お客様のご意向に沿う形でお直しをさせていただく事をモットーとしておりますので、留袖の柄の風合いなど色々と検討した結果、”しみの部分に金彩をほどこし目立たなくする”という方法が一番最適であるという判断になりました。

いつもお世話になっている金彩師の池内さん。

以前から見学に行かせてほしいとお願いしていたので、今回この機会にとお願いしたら快くご了承いただきました。
また留袖のお直しのご依頼をいただいたお客様にも、撮影したお着物の写真をブログに掲載させてほしいとお願いしましたらご快諾いただき、本当に感謝しております!

さて、それでは池内さんの工房へ。
すでに作業は進められており、見学のために一部作業を中断して待っててくださりました。
ありがとうございますー!!

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まず、このように直したい部分に青いフィルムをはり、カッターで柄に沿って切っていきます。

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生地を傷めないのが熟練の業です!!

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そして金をほどこしていきます。

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同じ金でも色はさまざま。
元の柄を損なわないようにするのがとても難しいそうです。

そしてついに・・・

(加工前)
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(加工後)
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このように一部金がはげていたところ、また小さなしみが見えなくなりました!
お見事ー!!

次は、金のライン部分がはげていたり、色が変わっていたりしている所のお直し。

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それにはこの柿渋で作られた絞り袋を使います。
(これを作る業者さんももういないんだとか・・・。ゴム製など試されたけど金に負けてしまうのか素材が固くなっていき、すぐに使い物にならなくなったり。日本古来の天然素材、大切にしていきたいなー)


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金粉と糊とシンナーを混ぜ合わせてとろとろになったものを絞り袋に入れて、先から抽出しながら描いていきます。

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とても細かい作業に思わず息をのんでしまいました!


以上の作業を、プロの目で見ていただき目立つ部分すべてに施していただきました!
留袖も無事きれいよみがえり、これならきっとお客様も喜んでいただけるはず!!

作業が終わったあと、工房内のものを色々と見せていただきました。

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こちらは本金!

おそろしく軽く、指で触れても触れてる感覚がないくらいとてもなめらか!
指でこすると皮膚に吸収されるがごとくどんどんなくなっていきます。
よくお酒の中に入っていたりしますが、体に害がない理由がよーくわかりました。

ちなみに金閣寺に使われているのも本金だそうで、写真にある本金の3倍の厚さのものが漆と交合に壁に塗られているんだとか。
貼るとき大変だったでしょうねー。

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こちらは柿渋で作られた型紙。

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生地にこの型紙をのせて糊をぬり、型紙の柄どおりに糊がついたところで金箔をのせてから風をあてると、糊のついていない部分が飛んでいき、柄の部分だけが金で残る、そのような作業に使われます。

でもこの作業もする機会がだんだん減っているんだとか。
新しい着物をつくる人が減ってきていることが原因のようです。

この柄以外にもたくさんのステキな柄の型紙が!

何かに使えないかと相談されましたが・・・。

是非何かに使いたいけどなー。

どなたかよいアイデアがあればお願いします!

byムスメ


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