おはなしきっき堂

引越ししてきました。
お話を中心にのせてます。

ほくろクラブ株式会社17≪修学旅行だ!その2≫

2009年03月03日 | ほくろクラブ
とうとう修学旅行の当日がやってきた。
僕は昨日、いろんな事を考えすぎてちょっと眠れなかったよ。
もちろん30分ほどしたら夢の中だったけど。

昨日はほくろクラブのメンバーで集まってもう一度作戦会議をしたんだ。
どうやってやまさんが皆に見つからないようにお父さんに会えるのか。
そして、決めた作戦の名前は
「足が痛い大作戦」
僕らはやまさんとやまさんのお父さんが皆から目立たないように周りを取り囲んで座るということにした。
何故、楽しい乗り物に乗らないのかともし聞かれたら・・・。
僕が前に組み体操の上から落ちて捻挫してしまったのはそんなに前じゃない。
本当は完璧に治っているんだけど、多目的広場で何故、僕らがボーーッと座っているのか誰かが聞いたら
「ウッチーが足がちょっと痛いらしくって一服してるんだよ」
と言うんだ。

やまさんは僕らの前でお父さんに電話して、チボリ公園での予定を伝えた。
完璧じゃないか!と言うことで僕らは昨日、別れた。

そしていよいよ今日は修学旅行当日!
ちょっぴり早く目覚めた僕にお母さんが
「いつも起こされないで起きてくれたらいんだけど」とにやっと笑った。

もう一度かばんを点検して、学校に行った。
皆、もう結構来ていた。
学校の前には僕らの乗るバスが待っていた。
そう言えば女子はこのバスの席でももめてたなあ。
なんで、そんなつまんない事でもめるのかよくわからないよ。
誰と一緒になっても面白いのにさ。

校長先生の話があって(長いな~)バスに乗る。
僕はやまさんと並んで座った。
「やまさん、いよいよだね」僕が言うとやまさんが
「そうだよ。いよいよだよ」とやまさんが真剣な顔で言った。
「いよいよって何よ~!」と後ろ席からからボスが言った。
ボスって言うのは僕らだけで勝手につけたあだ名だ。
なんでも仕切りたがるし、それになんでも口を挟みたがる。
ボスはクラスの女子の中でもっとも怖い存在だ。
ボスにばれたら大変だ!”
「足が痛い大作戦」も出来なくなる。

「いよいよ、修学旅行だねって言う意味だよ^_^;」

僕が言い訳をするとボスは
「ふーん、そうだよね。いよいよだよね」と言って隣の席の女子と話を再開した。
ほっ・・・。
そうなんだ、修学旅行だっていよいよなんだ!
こっちだってわくわくするし、ドキドキするじゃないか!
僕とやまさんはそれ以上は、明日の「足が痛い大作戦」の話は辞めてお土産は何を買うかとか、夜は何をして遊ぼうかなんていう話ばかりした。

バスは何回かトイレ休憩をして、目的地の広島についた。
原爆ドームを見学して皆で折った折鶴をささげて皆で平和を願った。
この時僕は平和の意味は少しわからなかった。
それからお母さんの作ってくれたお弁当を食べた後、被爆体験の人の話を聞いた。
そして、平和記念資料館を見た。
一応、僕らは学校でこの原爆について勉強はしたけど、こういった話を聞いたり資料を見たりしてやっと僕は「平和」がわかったような気がする。
お母さんの作ってくれたお弁当、そして僕らがこうやってここにいる事・・・それが平和って言うことなんじゃないかな。
僕の頭ではそんなことしか言えないけど。

広島での見学が終わって次は僕らが泊まる宮島のホテルに向かった。
一旦、部屋に入ると僕らは大喜びしすぎて赤城先生に怒られた(ーー;)
僕らのクラスの男子は全員で一部屋に泊まる。
こんな楽しい事ってある?
ちょっと騒ぎたくなるのは当たり前じゃないか♪

一服した後、ホテルからすぐそばの厳島神社を見に行く。
ライトアップされて綺麗だった。
そして、お土産を買いにいく。
「もみじ饅頭が有名なのよ」とお母さんが言ってたが、本当にいっぱい売っていた。
味見をさせてもらって、僕は僕のうちとおじいちゃんちに一箱ずつ買った。
ふと隣を見るとみずっちがいた。
なんかものすごくでかい袋を抱えている。
「すごいね」と僕が言うと
「持ってきたお小遣いで全部、もみじ饅頭買っちゃた」と言った。

後ろにいたテンちゃんが
「えーーーーっ!明日もお土産買う時間あるんだよ」と驚く。
「だってさ、すっごく美味しかったんだよ!僕帰ってからもいっぱい食べるんだ」とみずっち。
お店のおばさんが
「ありがとう!僕はいい子ね!」とゲラゲラと笑ったので僕らもつられてゲラゲラ笑った。
一人、みずっちだけが不服そうだった。

おみやげ物を買った後、ホテルで食事をした。
すごく、お腹がすいてたので美味しかった。
その後、少しだけ自由時間があって僕らはトランプをしたり、話をしたりした。
そしてお風呂に入った後、寝る時間になったんだけど・・・。
僕はこっそり皆に提案をした。
「明日、着る服を着て寝たら朝着替えなくていいよ」
「おーーーーっ!それはいい!」
皆大賛成だ♪
お母さんがせっかく寝巻き用に体操服を入れてくれたが使わなかった(^^♪

赤城先生が来て電気を消した。
「話をしないで寝るんだぞ!」

僕は声を潜めて隣のやまさんに言った。
「いよいよだね」
「そうだね、いよいよだ」
今度は誰も「なんだ?いよいよって」とは聞いてこなかった。
クスクスとあちこちから笑い声が聞こえる。
あちこちでひそひそ話が聞こえる。
皆、ちょっとだけ興奮している。
その声に混じって僕らの声は聞こえなかった。

そして、そのクスクスが聞こえなくなる頃、僕はぐっすりと眠ってしまった・・・。
                                 ≪その3へ続く≫

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