やまさんが倉敷に行くと言う話しをお母さんにした。
やまさん一家はポンも一緒に倉敷に行って、やまさんのお母さんは仕事を辞めてしばらく家にいるそうだ。
やまさんも沙織ちゃんもすごく喜んでいる。
そこまで言うとお母さんは「ふっ」って感じで微笑んだ。
「そう、勇気たちは寂しくなるけど、よかったわね」
お母さんの微笑みはなんだかちょっとぼんやりしていた。
「そうだ、勇気達は皆でやまさんに何か思い出になるものをプレゼントしないとね」
ナイスアイディア!お母さん!
僕は早速、テンちゃんとみずっちに相談した。
二人とも大賛成だ。
僕らは、何がいいか考える事をそれぞれの宿題とする事にした。
何がいいかな~。
お父さんやお母さんに相談してみてもいいかもしれない。
僕はそう思いながら家に帰った。
家に帰ると玄関にお母さんのバイクがあった。
お母さんは、まだ仕事のはずなのに・・・。
鍵を開けようと玄関に手をかけると扉が開いた。
「お帰り、勇気」
そこにはお母さんが立っていた。
おかしいな今日は休みだって言ってなかったぞ。
「早く、入りなさい。お母さん話があるの」
僕はランドセルを下ろしてソファに腰掛けた。
目の前には僕の大好きなシュークリームが置いてある。
「食べながら聞いてね。勇気」
そうしてお母さんは話し始めた。
「お母さんね、会社を辞めてきたの。ずっとずっと迷っていたんだけど、昨日やっと決心がついた。しばらく前から会社でリストラ・・・って言っても勇気はわからないよね。人を減らす話があって、お母さんもその候補の一人だったの。だから、今日思い切って「辞めます」って言ってきちゃった」
そういうお母さんの目は赤かった。
お母さん、すごく仕事を頑張っていて、去年は会社で表彰状をもらったって言ってたのに。
「しばらく、引継ぎでいかないと駄目だけど、冬休みに入る頃はもうお母さん家にいるからね。」
僕はシュークリームを一口食べた。
お母さんの手作りだ。
「今日はちょっと嫌な事があって、会社に退職届を出してからそのまま帰ってきちゃった」
僕はまた、シュークリームを口に入れる。
甘くて美味しい。
この所のお母さんはすごく、暗くて疲れていた。
お父さんともよく言い合いになっていた。
お父さんが僕に「お母さんも大変なんだよ」ってささやいていたっけ。
僕にはよくわからないけど、会社のお母さんの上司って言う人とうまく行ってないんだって言ってた。
僕だってそのぐらいはわかる。
だって、僕にだって学校で苦手な子はいるもの。
「シュークリーム、美味しい?」
お母さんは、僕に笑いかけた。
「うん、とっても」僕も笑った。
「これからはもう鍵を持っていかなくてもいいからね」お母さんはそういった。
僕はランドセルにぶら下げている鍵を見た。
僕が落とさないようにチェーンで止めている。
もう、持たなくてもいい・・・って意味がちょっとわかりにくかった。
だって、鍵はずっと持っているものだったから。
お母さんは目をこすった。
ウサギのような赤い目だ。ずっと泣いていたのかな。
しばらくは、お母さんは「引継ぎ」って言って会社に出かけていった。
そして冬休みが始まる前に、家にいるようになった。
僕は鍵を持っていかなくていいと言う意味がやっとわかるようになる。
玄関をガラッとあけると
「お帰り!おやつあるわよ!」ってお母さんの声が聞こえる。
「ただいま!」って僕も元気に答える。
「お帰り」「ただいま」が鍵の代わりなんだ。
僕はなんだかうれしくなった。
冬休み前は、先生との懇談が学校である。
お母さんは張り切って学校に出かけきた。
いつも、遅い時間に行ってたけど今回は早い時間に順番をとって来てくれた。
僕はお母さんが出てくるのを待った。
お母さんはちょっと怒ったような顔をして出てきた。
あれ?
「勇気!忘れ物ばっかりだって、先生に言われたわよ!」
あれれ・・・ばれちゃったか!
僕が首をすくめるとお母さんはフッと笑っていった。
「でも、ずっとお母さんが勇気に目を向けてなかったからだと思うわ。だから、先生にも仕事を辞めたのでこれからは忘れ物をなくすように私も協力します。って言ってきたわよ。勇気!これからお母さん、ガミガミとうるさく言っちゃうと思うよ!」
笑っているはずのお母さんだけど、ちょっと悲しそうに眉を少しだけひそめている。
僕は空を見ながら言った。
「うるさく言ってもかまわないよ」
「えっ?」お母さんが聞きなおす。
「うるさく言ってもいいからね!」僕は大声で叫んだ。
「勇気、今までごめんね」お母さんが僕に言ったのかどうかわからないような声で呟いた。
何がごめんね・・・なんだろう。僕は首をかしげた。
それから、僕とお母さんはやまさんへのプレゼントのことを話しながら帰った。
やまさんも沙織ちゃんも春からは「おかえり」「ただいま」の鍵を手に入れる事になる。
僕はなんだか幸せな気分になった。
そして、冬休みが始まる。
お母さんがはじめている長い休みだ。
僕は先にクリスマスプレゼントを貰ったような気分になった。
夜にお母さんがお風呂に入っているときにお父さんと話した。
僕は素直にお母さんが家にいてうれしいと言うとお父さんは
「お母さんは今まで会社で一生懸命頑張ってきたんだ。本当はもっと続けたかったのかもしれない。今までお母さんが働いていて、寂しい思いはしたと思うけど、勇気は辛い思いをした事があるかい?」といった。
僕は思い出してみた。
運動会や音楽会の時は会社を休んで見に来てくれたお母さん。
僕が熱を出すと早引きして帰ってきてくれたお母さん。
毎日、手を抜かず食事を作ってくれたお母さん。
長い時間働いてきて、とっても疲れていても頑張っていた。
お弁当がいるときはいつも早起きなのにもっと早起きをして作ってくれた。
とってもとっても疲れていたんだと思う。
お母さんも「ただいま」「おかえり」の鍵をプレゼントで手に入れたのかもしれない。
僕は「忘れ物をなくすようにしようと思う」とお父さんに言った。
お父さんは「おう!お母さんをそれで喜ばせてやれよ。お父さんも二人をちゃんとやしなえる様に頑張るよ」といった。
うん、二人で頑張ろうぜ!だってお母さんは家の中で唯一の女の子だからね。
やまさん一家はポンも一緒に倉敷に行って、やまさんのお母さんは仕事を辞めてしばらく家にいるそうだ。
やまさんも沙織ちゃんもすごく喜んでいる。
そこまで言うとお母さんは「ふっ」って感じで微笑んだ。
「そう、勇気たちは寂しくなるけど、よかったわね」
お母さんの微笑みはなんだかちょっとぼんやりしていた。
「そうだ、勇気達は皆でやまさんに何か思い出になるものをプレゼントしないとね」
ナイスアイディア!お母さん!
僕は早速、テンちゃんとみずっちに相談した。
二人とも大賛成だ。
僕らは、何がいいか考える事をそれぞれの宿題とする事にした。
何がいいかな~。
お父さんやお母さんに相談してみてもいいかもしれない。
僕はそう思いながら家に帰った。
家に帰ると玄関にお母さんのバイクがあった。
お母さんは、まだ仕事のはずなのに・・・。
鍵を開けようと玄関に手をかけると扉が開いた。
「お帰り、勇気」
そこにはお母さんが立っていた。
おかしいな今日は休みだって言ってなかったぞ。
「早く、入りなさい。お母さん話があるの」
僕はランドセルを下ろしてソファに腰掛けた。
目の前には僕の大好きなシュークリームが置いてある。
「食べながら聞いてね。勇気」
そうしてお母さんは話し始めた。
「お母さんね、会社を辞めてきたの。ずっとずっと迷っていたんだけど、昨日やっと決心がついた。しばらく前から会社でリストラ・・・って言っても勇気はわからないよね。人を減らす話があって、お母さんもその候補の一人だったの。だから、今日思い切って「辞めます」って言ってきちゃった」
そういうお母さんの目は赤かった。
お母さん、すごく仕事を頑張っていて、去年は会社で表彰状をもらったって言ってたのに。
「しばらく、引継ぎでいかないと駄目だけど、冬休みに入る頃はもうお母さん家にいるからね。」
僕はシュークリームを一口食べた。
お母さんの手作りだ。
「今日はちょっと嫌な事があって、会社に退職届を出してからそのまま帰ってきちゃった」
僕はまた、シュークリームを口に入れる。
甘くて美味しい。
この所のお母さんはすごく、暗くて疲れていた。
お父さんともよく言い合いになっていた。
お父さんが僕に「お母さんも大変なんだよ」ってささやいていたっけ。
僕にはよくわからないけど、会社のお母さんの上司って言う人とうまく行ってないんだって言ってた。
僕だってそのぐらいはわかる。
だって、僕にだって学校で苦手な子はいるもの。
「シュークリーム、美味しい?」
お母さんは、僕に笑いかけた。
「うん、とっても」僕も笑った。
「これからはもう鍵を持っていかなくてもいいからね」お母さんはそういった。
僕はランドセルにぶら下げている鍵を見た。
僕が落とさないようにチェーンで止めている。
もう、持たなくてもいい・・・って意味がちょっとわかりにくかった。
だって、鍵はずっと持っているものだったから。
お母さんは目をこすった。
ウサギのような赤い目だ。ずっと泣いていたのかな。
しばらくは、お母さんは「引継ぎ」って言って会社に出かけていった。
そして冬休みが始まる前に、家にいるようになった。
僕は鍵を持っていかなくていいと言う意味がやっとわかるようになる。
玄関をガラッとあけると
「お帰り!おやつあるわよ!」ってお母さんの声が聞こえる。
「ただいま!」って僕も元気に答える。
「お帰り」「ただいま」が鍵の代わりなんだ。
僕はなんだかうれしくなった。
冬休み前は、先生との懇談が学校である。
お母さんは張り切って学校に出かけきた。
いつも、遅い時間に行ってたけど今回は早い時間に順番をとって来てくれた。
僕はお母さんが出てくるのを待った。
お母さんはちょっと怒ったような顔をして出てきた。
あれ?
「勇気!忘れ物ばっかりだって、先生に言われたわよ!」
あれれ・・・ばれちゃったか!
僕が首をすくめるとお母さんはフッと笑っていった。
「でも、ずっとお母さんが勇気に目を向けてなかったからだと思うわ。だから、先生にも仕事を辞めたのでこれからは忘れ物をなくすように私も協力します。って言ってきたわよ。勇気!これからお母さん、ガミガミとうるさく言っちゃうと思うよ!」
笑っているはずのお母さんだけど、ちょっと悲しそうに眉を少しだけひそめている。
僕は空を見ながら言った。
「うるさく言ってもかまわないよ」
「えっ?」お母さんが聞きなおす。
「うるさく言ってもいいからね!」僕は大声で叫んだ。
「勇気、今までごめんね」お母さんが僕に言ったのかどうかわからないような声で呟いた。
何がごめんね・・・なんだろう。僕は首をかしげた。
それから、僕とお母さんはやまさんへのプレゼントのことを話しながら帰った。
やまさんも沙織ちゃんも春からは「おかえり」「ただいま」の鍵を手に入れる事になる。
僕はなんだか幸せな気分になった。
そして、冬休みが始まる。
お母さんがはじめている長い休みだ。
僕は先にクリスマスプレゼントを貰ったような気分になった。
夜にお母さんがお風呂に入っているときにお父さんと話した。
僕は素直にお母さんが家にいてうれしいと言うとお父さんは
「お母さんは今まで会社で一生懸命頑張ってきたんだ。本当はもっと続けたかったのかもしれない。今までお母さんが働いていて、寂しい思いはしたと思うけど、勇気は辛い思いをした事があるかい?」といった。
僕は思い出してみた。
運動会や音楽会の時は会社を休んで見に来てくれたお母さん。
僕が熱を出すと早引きして帰ってきてくれたお母さん。
毎日、手を抜かず食事を作ってくれたお母さん。
長い時間働いてきて、とっても疲れていても頑張っていた。
お弁当がいるときはいつも早起きなのにもっと早起きをして作ってくれた。
とってもとっても疲れていたんだと思う。
お母さんも「ただいま」「おかえり」の鍵をプレゼントで手に入れたのかもしれない。
僕は「忘れ物をなくすようにしようと思う」とお父さんに言った。
お父さんは「おう!お母さんをそれで喜ばせてやれよ。お父さんも二人をちゃんとやしなえる様に頑張るよ」といった。
うん、二人で頑張ろうぜ!だってお母さんは家の中で唯一の女の子だからね。