エウレカセブン「第七の幸運をもたらす宿」

人気アニメ「エウレカセブン」を愛し、ツッこみ、ゲスの勘ぐりでエピソードを読み解くブログです(ひでぇ)。リンクフリー。

第8話「グロリアス・ブリリアンス」Glorious Brilliance 後編

2005-06-06 21:55:36 | 各話ガイド(第1クール)


レントンは納得できなかった。先ほどつかまえた婦人の家で、ゲッコーステイトのメンバーたちが料理をごちそうになっていたからだ。
平然と料理をふるまう婦人に、レントンは理由を尋ねた。婦人が捕まってしまったことで、この家にはもう戻れず、食材の数々が腐ってムダになってしまうからだという。「そういうことじゃなくて・・・」
「・・・『ヴォダラク』だから」料理の手を止め、婦人は、ただそう答えた。その一言に全ての理由が集約されているようだったが、レントンには分かるすべもない。
「あれは、あなたたちに捕まる『運命』だったのよ」婦人の説明に、レントンは婦人がさっきは逃げ出そうとしたことを指摘した。だがそれは、世の中には抗うための試練と、受け入れるべき運命があるのだという説明で片付けられる。逃げることが試練と感じ、必死に逃げる努力を続けたが、捕まってしまえば、それは抗えない運命だったと理解し、婦人はそれを受け入れているのだった。

「よくわかんないんですけど」実感できないレントンは、質問を止めることができない。「それは、あなたがヴォダラクの光を見る者たちではないから」
「じゃあ、なんで反政府運動なんか」「私たちは政府に逆らっているつもりなんてないのよ。軍がそう決め付けているだけ」

婦人は言った。「鳥がカゴに入れられれば、毎日大空を夢見るものでしょう?」
その言葉には、政府が人々の目から世界の真実を隠し続けていること、ヴォダラクはそれを人々に明らかにしようと活動を続けていること、その2つの大きな意味が込められていたが、今のレントンにはそこまで分かるわけがなかった。最後に婦人はレントンに言った。「あなたも大人になれば、いろいろ分かるようになると思うわ」



婦人の監視をレントンと交替し、キッチンで婦人と二人きりになるホランド。その口から意外な名前が出る。「ノルブの居場所を教えてくれ」
その名前に、婦人はハッと硬直した。

「最初から手荒なマネはしたくなかったんだが、軍からは、アンタが危険な反政府分子と聞いていたんでな・・・悪かった」と続けるホランド。
ホランドのその言葉で、婦人は全てを理解した。ゲッコーステイトは婦人を捕らえるためにではなく、ヴォダラクの幹部であるノルブ師の居場所を知るために、婦人に接触してきたのだ。そういう形をとれば、接触を軍に邪魔されることはない。
「・・・『たった一つの冴えたやり方』だったわけね」婦人の名は、ティプトリーといった。

予定通り、ティプトリーを連れて引き渡し場所である郊外の廃墟で軍と接触するホランドとマシュー。州軍中佐を筆頭に、大勢の軍人が待ち構えていた。報酬の金塊を確認するが、その量の多さに驚いて、マシューは「アンタ、なにやったんだ?」とティプトリーに尋ねた。「・・・なにも」微笑んで返事するティプトリー。
交換が完了し、金塊の詰まったトランクを手にすると、ホランドは「よーし、取引成立だ!」と背後を振り返って叫んだ。



それを合図に、背後の建物の陰からニルヴァーシュが上昇して現れた。その手にはジャージ姿のレントンが乗っている。
レントンはニルヴァーシュの掌からティプトリーめがけて飛び降り、すばやく彼女の腰にフックをかけ、悪党の手からジェーンを取り返すターザンさながらに、一瞬にしてティプトリーをかっさらった。

「逃がすな!」州軍中佐が叫び、戦闘が始まった。上昇して逃げるニルヴァーシュに、待機していた軍のローランド級空中戦艦と、3機のKLFからなる一個小隊が追撃を開始した。しかし、すばやく発進したホランドの909と、マシューの606により、KLF小隊はあっという間に殲滅させられてしまう。ランデブー・ポイントに現れた月光号の主砲が火を噴き、空中戦艦も反撃することなく撃墜されてしまった。唖然とする州軍の面々を残して、ゲッコーステイトはやすやすとこの地をあとにしたのだった。



月光号に戻ったエウレカを、子供たちが出迎えた。「ママ、最高にかっこよかったよー!」
ブリッジでティプトリーに対し、ゲッコーステイトの台所事情に巻き込んでしまったと謝罪するホランド。罪滅ぼしに、彼女の望むところまで連れて行って降ろしてやる、というホランドの提案に、ティプトリーは「では、我らの巡礼の地、『シウダデス・デル・シエロ』へ」と答えた。

ティプトリーが退出したブリッジでは、主要メンバーが深刻な話し合いを進めていた。ゲッコーステイトよりもヴォダラクを重要視していたことから、軍の末端までゲッコーステイトの真の目的が伝わってないのでは、とハップが意見を述べるが、部隊異動に伴う軍内部の資金移動が活発なこと、コンパクドライブの量産が始まったことで敵新兵器の出現が予想されること、軍の穏健派将軍が不慮の死を遂げトップの首がすげ替わることなど、ゲッコーステイトを取り巻く事情が急速に深刻化していることがメンバーの口から次々と語られた。軍の再編は、本格的にゲッコーステイトへの攻撃が始まる前触れなのだろうか。「それだけならいいんだが」、ホランドはそうつぶやいた。「ネミの森の王だ・・・」

格納庫で、エウレカは子供たちに問題集を配った。「さっきはカッコよかったよ」笑顔でそう言い、レントンにも計算ドリルを手渡した。「レントンが笑うと、ニルヴァーシュも笑うもの」

皆が寝静まった夜。暗いブリッジには、ホランドとタルホの二人。「シウダデス・デル・シエロとはね・・・」タルホはつぶやき、「あれから・・・何年だっけ?」とホランドに問うた。「・・・忘れた」目を閉じて答えるホランド。
「うそつき」タルホも目を閉じた。今自分が思い出していることと同じことを、ホランドも思い出しているのだろう。

台所では、エウレカが一人立っていた。コップの水を飲んで、エウレカはつぶやいた。「なんだろう・・・アタマ・・・痛い」





【今週のみどころ、ツっこみどころ】B-part
●前回に続き、食べ物オンパレードなところ。調理の細かい進行まで描写して、さながらグルメ番組。
●パックンエウレカ。「あむっ」とか、勝手に擬音語つけたくなりますね。
●ごちそうこれ幸いと、ワインの味にうっとりするヒルダ。横目が色っぽい。っていうか、アンタ満喫しすぎ。
●ティプトリーおばさんが「たった一つの冴えたやり方」だと言いました。出た、決めゼリフ! ・・・ジェームズ・ティプトリー・Jrかよ。
●ついに月光号の主砲が火を噴いた! ぐったりするケンゴー(主砲使うと疲れるのか?)に対し、タルホのはしゃぎぶりが異様。今までよっぽど撃ちたかったんだね(笑)。
●とってつけたような、マシューの軍の裏事情説明ゼリフ。アンタがそんなシリアスな長ゼリフ言っても。中の人のご苦労がしのばれます(笑)。
●レントンに差し出される、計算ドリル。小学校5年生向けかよ! ・・・エウレカの眼力もなかなか鋭いな(笑)。
●タルホの「・・・うそつき」。ガセビアのアレを思い出しました。そんだけ。





【初登場人物】
●レントンを奇異の目で見る街の人々
●ティプトリー
●州軍中佐
●州軍地方部隊メンバー





【伏線とか】
●ヴォダラクという組織の存在。現時点では反政府組織であるという説明のみ。今回のエピソードの描写の中から、運命主義、自然との調和がその教義だと伺い知れる。
●ノルブ師という人物。ヴォダラクの幹部で、ゲッコーステイトが探している重要人物らしいが・・・。
●ゲッコーステイトには、反政府組織という漠然としたイメージとは別に、はっきりとした真の活動目的があるようだ。それは、軍の末端にまでは伝わっていないが、軍のトップにとってはただならぬことらしい。
●裏で進行する軍の再編。
●ホランドの「ネミの森の王だ」というセリフ。まんま金枝篇。イタリアのネミの村、アルバ山の麓にある聖なる森にあるヤドリギ(金枝)を守るべく、剣を携えて日夜聖なる樹の周りを歩き回る森の王(祭司)。森の王になれるのは逃亡した奴隷だけで、実際の王と同じほどの強大な権限をもつことができるが、聖なる金枝を折って現在の森の王を殺すことで、殺害した者が次の王となることができる。森の王は、金枝を折られないよう、剣を手にして日夜樹の周りをウロウロし続けるのだった。
●突然起こった、エウレカの頭痛。




【判明した事柄・世界観】
●ブナポーという都市には大規模な工場があって、コンパクドライブの量産がはじまったらしい。




【おまけ】ティプトリーおばさん奮闘記
※どうみても優しそうなおばさんにしか見えない彼女が、こんなにもアグレッシブなのには前世からの深い理由があったのだ!
※内容がよく分からない人は、おばさんの中の人についてしらべてみましょう。お父さんやお母さんに、聞いてみるのもよいでしょう。


地球のアルプス地方に生まれた彼女は、ロッテンマイヤーおばさんにキツいイジメを受け続けて不憫な少女時代をすごしたが、その持ち前の明るさで「クララが立ったー!」などとエピソードには事欠かなかった。しかしロッテンマイヤーさんの陰湿なイジメは、少女の心に深く癒えない傷を残していた。
成長した彼女は、子供時代の反動か、科学忍者隊の活動に身を投じ、華麗に破壊の限りを尽くして「白鳥のジュン」として名を馳せる。引退した彼女は禁断の悪魔合体にその身を献体し、その魂は2代目コロ助に宿って、「キテレツ、なんとかナリ」とほんわか人生を過ごすはずだった。しかし番組終了に従って、その魂は過去・現在・未来を漂う。
ピンクのニワトリモドキに転生したり、腹巻をしたデジモンに転生したり、ペンギン村の不良少女に転生したりと、不遇な生まれ変わりを幾多も経験させられるのだった。恐るべしロッテンマイヤーの呪い。
ようやくアムドライバーの世界で大金持ちに転生して、その天寿を全うできたかと思ったが、今度はよく似た世界で反政府組織に参加して、テロリストとして危険人物視されるのだった。因果応報って怖い・・・というお話(←違う)。

【絵で見るティプトリーおばさん奮闘記】

隙をみてテーブルのカップに手を伸ばし・・・紅茶を投げつけた!
防がれたと見るや、今度はでかい椅子を投げつけた(ひでぇ)!
チャンス! 扉を蹴破り、下敷きになったムーンドギーを踏みつけて外へ脱出(なおひでぇ)!
市街地チェイス! 乱暴な急カーブ、こっち曲がるよーウッソー♪なフェイントを巧みにまじえつつ、逃げまくる!
最後はテロリストホイホイの中へ。ちゃんと制動をかけて急停車するところが只者じゃない。

※ティプトリーおばさんへのファンレターは、地球の「青二プロダクション」へ送ろう!



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