私の恋物語 20歳のめぐり逢い１

ノブトと私
二人はステージで演奏するギタリストとその店で働くウェイトレスとして出会った
ミュージシャンとウェイトレスの出会いに過ぎなかった
お互いに特別な感情もなかった
時々仕事が終わると帰りの電車が同じ時間になる時に
他愛のない話をする同僚のような関係が続いていた
彼は細身でいつもサングラスをかけていて
天然パーマのロングヘアがとてもよく似合っていた
ノブトは静かだけど心の中に激しさやピュアさを兼ね備えていた
静かな話し方は私の心を落ち着かせた
ある日帰りが偶然一緒になった時
明日店が休みだから会おうかとどちらともなく言った
翌日、新宿の紀伊國屋書店の前で待ち合わせをした
彼は壁に身体を預けていつものようにサングラスをして先に待っていた
その時彼の全身からアンニュイさと儚さを感じて私の中で何かが変化していた
彼が放つ雰囲気は21歳の若者の姿ではなかった
彼はアーティストなのだと感じた初めての瞬間だった
喫茶店で二人で語り合う居心地をよさを感じながら時は過ぎた
そして帰り際にノブトが言った
「ああ、これで経済力さえあったら結婚するのに」
この言葉は私の胸の奥に突き刺さった
私の中で恋の化学反応が起きた
恋という意識は何かに触れた時に生まれるものなのかもしれない
それが私とノブトの恋の始まりだった

続く・・・