私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

尽くし過ぎる女~13~

2016-12-24 16:55:13 | オムニバス恋愛小説
夏美の瞳孔が開き驚きで孝志を見た。
「追いかけさせて欲しいって、どういう意味?」
「君は、いつだって僕より先に行動する」
「それがどうして駄目なの?2人の為を思っての行動だわ」
「それは君だけが思っていることだよ。クリスマスの企画だってそうだよ」
「Tホテルの最上階でクリスマスディナーを企画した時に孝志、喜んでいたじゃない」
「喜んでいたか・・・なるほどね。あの時、僕が反対できる状況ではなかったと思わなかったの?」
「今頃になって、何故その時に言ってくれなかったの?」
「だって君はもう決めていたもの。言える状況じゃなかった」
「何が言いたいのかわからないわ」
「結局君は自分のしたいようにしたいだけ。自分が楽しいかどうかだけを優先しているだけだってこと」
「いつからなの?いつからそう思うようになったの?」
「多分、僕が行きたいと思った串焼きさんを誘ったころかな。君は言ったんだ。
あんな汚くて狭い店は嫌だって」
「それと追いかけさせて欲しいとどういう関係があるの?」
「男は自分が愛したい、追いかけて色々してあげたくなる動物なんだ。
少なくても僕はそういうタイプの男だ。それは夏美とつきあってわかったことだけど」
「もう私を、追いかける気持ちがなくなってしまったってことなの?」
その時2人の会話を黙って聞いていた理沙が言った。
「私、帰ってもいいかしら」
孝志が慌てたように
「ごめん、ごめん、2人の問題に付き合わせてしまって」
と言い終わらないうちに夏美が憎悪の視線を向けた。
「まだ、2人の関係を聞いていなわ!」
その時に孝志が大きな声で言った。
「いい加減にしろよ!」

続く・・・


尽くしすぎる女〜12〜

2016-12-18 18:10:33 | オムニバス恋愛小説
「重いってどういう意味?」
夏美の表情が益々険しくなる。
孝志は観念したように夏美への不満の口火を切った。
「もう僕中心で生活するのはやめて欲しい」
「孝志はそう思っていたの?ずっと」
「夏美が時々口にしていたあなたの為にという言葉が
重いんだ」
「だって私が料理を作ったり掃除をしてあげたりしたら
孝志喜んでいたじゃない。
私は孝志の為にがんばったのよ!色々」
「恋愛って頑張るものなの?」
「酷いこと言うのね。孝志が好きだから無理なことも頑張れたのに
今更どうしてそんなことを言うの?」
「僕の為、僕の為って必ずいうよね。それが重いんだよ。
何でそんなに頑張るの?どうして……どうして…」
孝志の表情が苦渋の表情になった。
「何?」
「どうして、僕から愛させてくれないんだ?
どうして僕から追いかけさせてくれないんだ?」
「どういう意味?」
夏美は、意味がわからず怪訝な表情で孝志を見た。

続く…

尽くしすぎる女〜11〜

2016-12-09 19:46:58 | オムニバス恋愛小説
深刻な表情の夏美を見た後、一瞬躊躇しながら孝志は夏美の横に座った。
「話って何?」
孝志が夏美に言った。
「もう、演技はやめて正直に話してよ」
「何を?」孝志が驚いて理沙を見る。
「どうやら、私達のこと疑っているみたい」
3人の空間が重い空気に変わる。
「最近、夏美おかしいよ。疑心暗鬼になりすぎだよ。
どうしたんだ?」
夏美は孝志の方に身体を向き言った。
「その原因を作っているのはあなたでしょう!」
「僕が?どうして?」
「ラインをしても何日も返ってこない。
会いたいといえば、仕事でいそがしいと言い訳する。
他に好きな女ができたと思ったわ。まさか近くに恋泥棒がいたとは」
「ちょっと待ってくれ。理沙さんと僕のことを疑っているの?」
困惑の表情の理沙を見て孝志は呆れた声でいった。
「はっきり言うよ。その疑いは理沙さんに対して失礼だ。
僕が夏美に距離を置いたのは確かだ。でもその理由を
言ったら夏美が傷つくと思って言わなかった。
でももう無理だ」
「無理ってどういう意味?」
「夏美の存在が重いんだ…」
孝志が暗く淀んだ声で言った。


続く…