私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

女達の恋愛事情~人妻久美の場合~最終章

2016-04-09 16:28:55 | オムニバス恋愛小説

《ある著名な同性愛者が、雑誌記者に追われて言いました。
そこをどきなさい。あなた方に非難する権利はありません。
人間が人間を好きになっただけなのです。
人間が人間に惚れただけなのです。
それだけのことです》

京香への熱く燃える恋情の歓びの日々と引き替えに全てを失った。
それを人々は愚か者と呼ぶだろう。
しかし、私は燃える季節を決して後悔しない。
果てしない海は今日も私を優しく包み込む。
空を見上げ、幾筋もの光を放ち存在を表している
太陽に向かって私は呟く。
「誰がなんと言おうとこれは愛の物語だ」と。

終わり


女達の恋愛事情~人妻久美の場合9~

2016-04-02 22:29:42 | オムニバス恋愛小説

海の見える街を求めて、最適な場所を見つけた。
波の音を聞きながらバルコニーでコーヒーを飲む穏やかな時間を過ごす。
ゆっくりと時間が流れる生活はかつての凄まじい悲喜交々の時間とは対照的だ。
あの頃の起きた全ての出来事は現実でありながら非現実のようだ。
夫とは離婚をした。
友人達は離れていった。
娘のキリカだけが時々、野菜や果実持参で訪れる。
「食べている?」それがキリカの口癖だ。
それ以上は何も言わず、得意なカレーやパスタ料理を作り一緒に食べる。
キリカは、私が生きていることを確認する為に来ているのだ。
ある日いつものように、訪れていつものように料理を作り、一緒に食べて
海辺を散歩した。
キリカは白くうねる波を見つめながら言った。
「ママのしたことは今でもわからないの。何故あんな破滅的な行動をしたのか・・・」
でも、なんとかわかろうとしているの。ママのすべてを否定したくない」
切なそうに言いながら、雑誌を差し出した。
私は、折ってあるページを開いた。
そこには著名な芸能人の人生観恋愛観が書かれてあった。

続く・・・