私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

どうしょうなく惹かれる~愛とセックス~7

2016-08-28 02:01:59 | オムニバス恋愛小説
東京から新幹線に乗り1時間、
軽井沢駅に着くと改札口でリョウが待っていた。
片手を上げて合図をするリョウの表情が幾分照れている。
雄介に、学生時代の友人と旅行に行くと嘘を言うと、
楽しんでおいでと快く送り出してくれた。その優しささえが疎ましく感じる。
改札口を出ると、リョウは私の手をとると歩き出した。
近くに停めていた車に乗る。
「どこに行くの?」
「ドライブしよう」
走り出した車の窓から忍び込む秋風が心地よい。
赤信号になり車が停車した。
横を向くとリョウがギラギラとした目で凝視する。
「だめだ。やりたくなった」
そう言うと、右に曲がり走り出した。
細い道をしばらく走り、林の前で止まった。
軽井沢は紅葉を迎えていた。
色とりどりの葉が鮮やかな色を放ち二人を迎えていた。
その中を歩いていたリョウが突然足を止め、
私の体を草むらに押し倒した。
剥き出しになった2人の裸体にオレンジ色の夕焼けが覆いかぶさる。
「ああ、ああ~」押し寄せてくる快感、
そして、何回も私の中で果てるリョウ。
夕焼け空を目で追いながら独り言のようにリョウが呟いた。
「どこかで似たような夕焼けを見たな」
リョウが思い出すように呟いた。
「ああ、思い出した。昔の話だけど、改築工事に派遣された時だったな、
その家に離れの子供部屋があった。ある日鍵が開いていたので覗いたら
女の子が昼寝をしていた、俺その子を抱いちまった。」
私の表情がこわばる。
「その場所ってどこだった?」
「・・・S区の個人宅だったな。彼女の部屋の窓から見た鮮やかな色の花だけは覚えているけど」
「なんていう花?」
「朱色で、マンジュ・・・」
「マンジュシャゲ」
「そうだ。マンジュシャゲだ。卑猥な花だと言った覚えがある」
あの時の男?私の身体が震えた。

続く・・・

どうしょうもなく惹かれる~愛とセックス~6

2016-08-20 19:24:22 | オムニバス恋愛小説
定食屋を出て、アパートへ戻ると、男はベッドに横たわった。
その体に抱きつく。
「抱いて!」大胆に股を広げる私の中に男が無造作に侵入してくる。
「ああ」涙が目尻から流れ、汗と涙の体で果てる。
「こうしていつも抱かれていたい」
「スケベな女だな。こんなことしていていいのか?男いるんだろう?」
「恋人がいるわ」
「ひえ~たまげた、真昼間からよくこんなことできるな」
「・・・」
「もう恋人のことは愛してないのか?」
「愛?いい人だけど、愛していると思ったことはないわ」
「ふ~ん」
「私、まだあなたの名前知らない」
「リョウ・・」
「リョウ、いつまでもこうしていたい」
リョウは私の瞳を覗き込むように見つめると
「この瞳どこかで見たことがあるような気がするな」
しばらく見つめると、照れた表情に変わった。
「やばい、面倒くさくなってきた。俺はこういう感情になるのが嫌いなんだ」
男は後ろを向いた。そして、ぶっきらぼうに言った。

「1週間出張で長野に行く。来たかったらくれば」

続く・・・

どうしょうもなく惹かれる~愛とセックス~5

2016-08-16 11:12:50 | オムニバス恋愛小説
男の肌に触れた時に不覚にも目頭が熱くなった。
これほどまでにこの肌を、この温もりを求めていたのかと自分の心に驚いていた。
眠気から覚めた男は慣れた手つきで首から乳房へ、
乳房から腰へ移動して柔らかなオンナに触れた。
そして、私の中に乱暴に挿入する。子宮が痙攣する程の男の動き。
どこかで、同じ動きを感じたことがあると思うのは錯覚か?
そして何度も意識を失う程の快感の世界へ導かれ
泣きながら果てた。
「ずっと会いたかったの」
男は煙草を口にくわえた。
不安定な煙が空をさまよっている。
部屋の中を見渡す。
六畳とキッチン風呂とトイレのある1KDの部屋。部屋の中にはベッドだけ。生活用品が何もない。
この男は一体何者だろう。不安と疑心暗鬼の中でまたも身体の芯が疼く。
煙草を吸う唇、その下品な表情、虚ろな瞳、生きることを放棄したような荒廃した雰囲気、
自分の中に生まれた言葉にならない感情、情熱?高揚感?恋情?性欲?支配欲?嫉妬?
「腹減ったな。飯食べに行く」
男はベッドから起きると傍にあるシャツとジーンズに着替えた。
振り返りながら「来たかったら一緒に来れば」そっけなく誘う。
私は、素早く着替え男の後をついていく。
数分程歩くと定食の看板が視界に入った。
男がドアを開けると初老の男が驚いた表情で声をかけた。
「おう、いらっしゃい!久し振りだね。元気だった?」」
初老の店主は横にいる私を見たがすぐに視線を元に戻した。
「今日のおススメ料理は何?」
「今日はサンマの刺身だね」
お店の壁には紙に書いたメニューがギッシリと貼られている。
マグロ、ハマチ、アジの刺身、煮付け、揚げものやてんぷらなどのメニュー。
男はサンマと、ハマチの刺身、むつの煮付けとほうれそうのおひたし、
トマトとアボカドサラダ、そして、ご飯と味噌汁を注文した。
ビールを飲んで料理を待つ。
しばらくすると、注文の品がテーブルに並んだ。
新鮮なサンマの刺身を、口に入れる。
「う~ん、おいしい!秋がお口の中で広がっていくわ」
無邪気に喜ぶ私を見て男の顔が緩んだ。
白く光るご飯と一緒にハマチの刺身もほおばる。
「久しぶりにおいしい食事ができて幸せ」
「大袈裟だな」
二人の間に郷愁にも似た感情が生まれていた。


続く・・・

どうしょうもなく惹かれる~愛とセックス~4

2016-08-09 23:58:57 | オムニバス恋愛小説

男は乱暴に服を脱ぎ捨てパンティーを下ろしたと同時に私の中に入ってきた。
ああ...声が漏れる。私は玄関に崩れた。
荒々しく愛撫しながら私の乳房をつかみ口に含む。
恍惚と波のように押し寄せてくる快楽に体をあずけ
私は恍惚の世界へと昇りそして、果てた。

翌朝、目覚めると頭痛がする。
朦朧とする意識の中で昨日の記憶を辿る。
男と出会った記憶が蘇る。そしてセックスをした?
陰部を触ると分泌物が指に絡みついた。
昨日の出来事は現実だったのだ。
スマートホンのバイブの音に気付く。
「おはよう」雄介からのラインだ。    
雄介との平穏で、変化のない日々。いつからだろう。
幸せ芝居をするようになったのは。
誠実な恋人。私だけを愛してくれる一途な恋人。経済的にも余裕のある恋人。
私は恵まれた女なのだ。
しかし、そこに何の価値も見出さないという事実を知ってしまった時、
恋人の立場の女はどこに自分の心を置けばよいのだろう?
いつまで幸せな恋人であり続けなければならないのだろう。
いつまで演技をしなければならないのだろう。
愛していないということはとても不幸なことだ。
いつの頃からだろうか。
雄介との間に吹く風を感じたのは。
昨日の男を思い出す。
下半身が疼いた。その夜、男を思い浮かべながらオナニーをした。
次の日も、その次の日もオナニーをした。
この体の奥から感じる欲情はなんだろう?
とてつもない欲情が日々支配していった。

数日後、あの日の夜、男と歩いた同じ道を歩く。
確か細い路地に入っていった。私は大きな通りから右の細い路地へ曲がった。
そして、古びたアパートの建物の前で止まった。1階の奥へと歩いて行く。
部屋のドアを開ける。ドアとは開いた。男はベッドで寝ていた。
私は男にしがみついた。「会いたかったの!」

続く・・・

どうしょうもなく惹かれる~愛とセックス~3

2016-08-03 10:30:40 | オムニバス恋愛小説
 師走に入り、渋谷の街はイルミネーションでキラキラと輝いていた。
私は、学生時代の友人斎藤真央と久し振りにお酒を飲んだ。
高校、大学と友人は何人かつきあったが、唯一真央だけは今でも交流がある。
あの時代が一番自分でいられた時代だった。
正直に生きていた。我儘に生活していた。
あるがままの自分自身でいられる場所は心地良い。
私と真央はお酒を飲み饒舌になり、悪戯をした思い出話に単純に笑い、語り合った。
学校から帰る途中、コンビニで肉まんや唐揚げを買って食べながら、
その時に夢中になっていたアイドル歌手や、ゲーム、など語りながら帰るのが楽しかった。
真央は大学で知り合った同い年の男性と卒業と同時に結婚した。
友達夫婦のような関係は真央を自由人にしているようで、私は真央といる心が安らいだ。
真央は合理的に物事を処理するタイプの人間だ。
真央の人生論が終了した時には12時を回っていた。
真央と別れた後、タクシーに乗りA町へ向った。
あの小さなスナックはまだあるだろうか?
大学時代、ふらりと入った小さなスナック、駅の近くでタクシーを降り、二、三分歩いて路地に入る。
迷路のように交差する路地を歩く。今にも壊れそうな飲み屋が並ぶ中、赤いドアが右側に見えた。
スナック「酔いどれて」昭和の匂い漂うスナックは健在していた。
私はドアを開けた
「いらっしゃいませ」薄暗い店の中からハスキーな声がした。
席はカウンターが5つあり、テーブル席が3つ程の小さなスナックだ。
お客は私を含め3人しかいなかった。
髪を束ね疲れた表情の中年の女性が注文を聞く。
「ハイボール」カウンターの中にはその女性がひとりだけだった。
2杯目のハイボールを注文して飲んでいる時だった。
男がひとり入ってきた。
その男は私の横に座った。「ジンライム」ぶっきらぼうな声、汗の匂い。
男はジンライムを無造作に手にとり喉に流した。
私はその横顔と流れていく喉を見つめた。
薄明かりの中で見える男の横顔。
喉に流れるジンライムの音が聞こえたような気がする。
男から漂う独特の匂いが琴線を刺激した。
男は私の方を見て凝視した。視線が絡み合う。
そして、1杯だけ飲み男は店を出た。
夢遊病者のように、私は男の後をついていく。
やがて男は狭い路地を曲がった。
古びた建物の前で止まり、入口近い部屋へ入っていった。
男の部屋の前で足を止める。
その途端ドアが開いた。
鋭い視線を向けて男が立っていた。
男は乱暴に玄関先で私の体を抱きしめ壁に押しつけた。
ほとばしる情欲が理性の垣根を飛び越えた。

続く・・・