1ドル70円台後半の円高になって、膠着状態で半年ほど経過している。
昨年11月に75円台で政府が為替介入したときについて、担当の安住財務大臣が、
「75.63円で介入し、78.2円でやめた」と国会で説明したことについて批判をあびているという。
それは「欧米の当局者が単独介入に批判的だから、介入水準を明らかにすると国益に反する」とか
「単独介入による為替介入に効果はない」とか、「円高にはプラス効果もある」などという批判であるらしい。
しかし、過去の為替介入の水準は相場を調べれば明らかなことだし、
覆面介入したことも当初は暗黙の事実であったが、その後公表済みだから、
今更、財務大臣が説明しても、国益に反することはない。
また今後の介入水準を明らかにするものでもない。
むしろ、それを欧米の圧力で公表できないなら、それこそ国益に反するものである。
リーマンショック以後、欧米は、金融緩和を続けて自国の通貨の切り下げを続けてきた。
日本の通貨が買われて円高になる理由は、国内には見あたらないのである。
欧米の通貨安政策が、相対的に円の価値を高めて、円高になっているだけだ。
とすれば、欧米が、円高阻止にうごく日本の政策を批判する理由はない。
日本の経済的な苦境は、今、不合理な円高によってもたらされている。
自国の通貨安政策をとる欧米が、日本の円高阻止に協調するはずはないのである。
むしろ、日本政府は国益を重視した強い為替政策をとるべきではないか。
超円高の今、一時的な為替介入に終始していることのほうが問題であると思う。(T.K)
追記) その後の2月13日から14日に、
日銀が10兆円の追加金融緩和(資産買い取り)を決定したので、
外国為替は円安にふれ、日本の株価は底値から1割上昇しました。
財政出動ができず、すでに低金利政策も効果がない現状では
金利政策以外の金融緩和を進めることが重要であることを示しています。
もっとも今後日銀が、どこまで本格的な金融緩和を実施するかはわかりません。