>現代ビジネス >「トランプ関税」の背後にある「アメリカン・システム」とはいったいなんなのか? >篠田英明 (東京外国語大学教授, 国際関係論、平和構築) によるストーリー・ >9時間・
>伝統に根差した「アメリカン・システム」のトランプ関税を甘く見てはいけない
>37年前、まだ40歳をこえたばかりのトランプ大統領が、高率関税の意義について熱心に説明している動画が、話題だ。
>トランプ大統領の長年にわたる関税に対する人一倍強い思いを示しているためだ。
>そこで、トランプ大統領は、「自分はアメリカン・システムのファンだ」と述べていた。
>ここで「アメリカン・システム」という概念について、ほとんどの人が、気にも留めず聞き流すかもしれない。
>何かトランプ氏がフワッと、アメリカが好きだ、といった程度のことを言っているのではないか、と思ってしまうかもしれない。
>しかし「アメリカン・システム」とは、19世紀にアメリカの経済システムを指してアメリカ人自身が使っていた、長い歴史を持つ確立された用語だ。
>その「アメリカン・システム」は、まさに高率関税によって製造業を保護・育成する経済政策のことであった。
>トランプ大統領は、19世紀のアメリカを、最もアメリカが偉大だった時代、と呼んでいる。
>そしてマッキンリー大統領ら、19世紀に高率関税を推進する政策をとっていた大統領を、賞賛する発言をしてきている。
>かなり本気の19世紀「アメリカ・システム」のファンなのである。
>巷では、トランプ大統領は、バカで、気まぐれで、首尾一貫性がない人物だと描写する評論家であふれている。
>そのように断定している方々は、トランプ大統領の「自分はアメリカ・システムのファン」といった発言をふまえたうえで、トランプ大統領を否定したりはしない。
>「とにかくトランプはバカだ、ただそれだけだ」といったことを繰り返している。
>その際に基準となっているのは、評論家の方々の勝手なアメリカ大統領への期待だ。
>しかし、トランプ大統領は、なぜ自分の説明と自分の行動の一貫性をまず認めてもらえないのか。
>評論家の願望と自分との間のギャップで、揶揄され、否定されなければならないのか。
>私はことさらトランプ大統領を擁護したいつもりでもない。
>だが、あまりにその場の雰囲気だけのトランプ大統領の揶揄だけを繰り返していると、やがて評価者のほうが現実から乖離してしまい、自分だけの独りよがりの世界に陥ってしまいがちになるのではないかと危惧する。
>日本の評論家層は、そして日本政府もまた、今、そのような危険に陥っているのではないだろうか?
(略)
>21世紀「アメリカン・システム」で念頭に置いておくべきこと
>この時代認識の観点から、トランプ大統領の行動を見てみるならが、さらには以下の三つのことを指摘しておくことができるだろう。
>第一に、アメリカは、アメリカの国益を守り、推進するために、行動している、という当然の事実を見据えるべきだ。
>アメリカは、国際社会の盟主としての地位を維持したり、護送船団方式で他の同盟国と冷戦を勝ち抜いたりするために、高率関税などの政策的措置をとっているわけではない、ということだ。
>第二に、アメリカは、自国の社会産業の構造を、自らが望ましいと思うものに変えるために、行動している。
>アメリカが安全保障の観点から大切だと思う産業、社会的価値の維持のために必須だと思う産業が存在すると信じ、その産業が発展するかどうかに、重きを置く。
>仮に経済学者たちが、アメリカは製造業を捨て去るほうが経済的に合理性の高い行動をとれる、と主張したとしても、トランプ大統領は、まったく心を動かされない。
>第三に、したがってGDP(国民総生産)の向上だけを至高の目的にした行動を、アメリカはとっていない。
>アメリカ人が、アメリカの社会に誇りを持ち、夢を持って経済活動をすることが目標である。
我々日本人も日本社会に誇りを持ち、夢を追って経済活動をしたいですね。
>もともとGDPという概念は、20世紀半ばに発明されたものでしかない。
>共通基準で、諸国の経済力を横並びで比較するために、用いられるようになった。
>しかし国民の生活水準の向上と、GDPが一致しないことは、アメリカのように甚大な経済格差や移民問題を抱える国では、特に切実な問題だ。
>19世紀に戻るための所得税の廃止、といった考えを目標にしてみるのも、GDPだけを至上の価値に置いていないことの証左だ。
>トランプ大統領を侮蔑し続けても何も生まれない
>そして高率関税の政策である。
>それを経済学の指標の充足ではなく、政治目的を達成するための交渉の道具として導入していることは、トランプ大統領が明確に説明していることだ。
>「アメリカン・システム」の思想は、そのマッキンリーの帝国主義的な応用の部分も含めて、現代の新古典派経済学者には、全く受け入れられないものだろう。
>だが事実としては、トランプ大統領は、そのような思想を持っている。
>そして、おそらくはトランプ大統領のMAGA政策の強烈な岩盤支持者層も、同じ思想傾向を持っている。
>トランプ大統領の高率関税政策を、気まぐれの思い付きとみなすことは、単にトランプ大統領の政策の性質の理解を妨げてしまうだけではない。
>もしそれを「思い付き」だと信じすぎると、明日にでも撤回してくれるのではないか、という期待を持ってしまいがちになる。
>そうなると対応するこちら側の政策の検討も、後手後手あるいは的外れなものになりがちだ。
>実際に、日本政府のトランプ関税に対する対応は、よく準備されたものとは言えない。
>日本では朝から晩まで「トランプはバカだ」の大合唱が繰り返されている。
>「識者」と言われる方々が交代で現れては、「とにかくトランプはバカだ、ただそれだけだ」と繰り返している。
そうですね。わが国の識者には造詣の深さが見られませんね。
>だが仮にそうだとして、そのようなことを言い続けているうちに、何か日本のためになることが起こってくるのだろうか。
>「もし日本にとって良くないことが起こったら、それは俺のせいではない、全部トランプのせいだ」という非生産的な言い訳を用意する以外に、何か意味があるのだろうか。
日本人には意思がない。意思の無い人には責任がない。だから、兎角この世は無責任となる。恨み節をうなっても始まらない。万事休すですね。
>単にトランプ大統領を安易な侮蔑するだけでなく、冷静な分析をすることを心掛けていかないと、いずれ大きなリスクが日本側に訪れてくることになりかねない。
我々日本人はかつてアメリカ人を侮って大やけどをしたことがありましたね。
>あるいは本当に時代が変わったのかもしれない。
>そうした意識で緊張感を持って、事態を分析し、対処する方法を考えたほうが、むしろ望ましい。
そうですね。我々には常に事態の分析と対処が大切ですね。
日本人の記事は実況放送・現状報告の内容ばかりで、読者のためになる所が少ない。‘それでどうした、それがどうした’の問いに答えを出せる人が必要である。我々は自己の見解を述べる教育を受けてこなかった。自己の見解を示せば学位 (博士号など) が得られる。自己の見解を含まない発言には価値が少ない。我が国には社会の木鐸 (ぼくたく: 世の人を教え導く人) が必要である。そうでなければわが国は迷走し続けて、いつまでたっても何処にも到達しない。だから、若者にも夢と希望が無い。
イザヤ・ベンダサンは、自著 <日本人とユダヤ人> の中で ‘自らの立場’ について以下のように述べています。
何処の国の新聞でも、一つの立場がある。立場があるというのは公正な報道をしないということではない。そうではなくて、ある一つの事態を眺めかつ報道している自分の位置を明確にしている、ということである。 読者は、報道された内容と報道者の位置の双方を知って、書かれた記事に各々の判断を下す、ということである。 ・・・・日本の新聞も、自らの立場となると、不偏不党とか公正とかいうだけで、対象を見ている自分の位置を一向に明確に打ち出さない。これは非常に奇妙に見える。 物を見て報道している以上、見ている自分の位置というものが絶対にあるし、第一、その立場が明確でない新聞などが出せるはずもなければ読まれるはずもない。・・・・・ (引用終り)
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