「3月の演奏会評」第3弾。まだまだ第4弾、5弾がある。
3月14日(木)、カンブルラン/読響のシェーンベルク『グレの歌』を
聴く(サントリーホール)。
シェーンベルク(1874-1951)の『グレの歌』(1900-1911作曲)は、
「後期ロマン派最後の傑作」とでも言える曲だ。
前半はまさしくワーグナー『トリスタンとイゾルデ』の世界かしらん。
シェーンベルクといえば、無調から十二音技法に進んでいったが、この
曲はそれ以前の作品である(→こちら)。
私が『グレの歌』を初めて生演奏で聴いたのは6年前のことになる。
尾高忠明指揮、東フィルの特別演奏会(→こちら)。この時はすべて日
本人による演奏だった。
ロビーでの会話(知らない方同士)を聴く・・・・・・
「やあ、久しぶり、来たか」
「これは来ますよね」
「今年は3回もやるんだよね、『グレの歌』」
<プログラム>
シェーンベルク 『グレの歌』
第1部
第2部
--休憩--
第3部
指揮;シルヴァン・カンブルラン
Sop.;レイチェル・ニコルズ (トーヴェ)
Mez.;クラウディア・マーンケ(森鳩)
Ten.;ロバート・ディーン・スミス(ヴァルデマル王)
ユルゲン・ザッヒャー (道化師クラウス)
Bari.;ディートリヒ・ヘンシェル (農夫・語り)
合唱;新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤 洋史)
管弦楽;読売日本交響楽団
コンサートマスター;小森谷巧
15分前に着席(2F-C9-31)。会場でまず目についたのは4台のハープ
だ。ティンパニが2セット。それとテレビカメラがセットされている
(--録画放送予定は4/18深夜)。客席はほぼ満席だ。
カンブルラン/読響は、たしか三度目だ。ご参照→こちらとこちら。
いつもながらいささかつたないコメントを少々・・・・・・
午後7時4分にオケが入場。6分にコンマスが入る。7分にソリスト3人
(--Sop.、Mez.、Ten.R.D.スミス)とカンブルランが登場した。
その他合唱などはまだ登場しない。
<第1部> (演奏時間;64分)
序奏
カンブルランは、6/4を四分音符を1拍として振り始めた。出だしの楽
譜指定はppだが、思ったより大きな音。カンブルランはもっとあっ
さりかと勝手に予想していたが、あにはからんや、寄せては返す波で、
まことにロマンチックな音楽だ。
私の席からはちょっと分かりにくいが、弦は18型のようだ。ヴィオラ
が14、コントラバスが9であることが確認できる。
読響は、とくに弦が透明感がある、すばらしい音を出している。
第1の歌「今 黄昏に 海も陸も」(ヴァルデマル王;以下V)
R.D.スミスは、フィッシャー=ディースカウを彷彿とさせる長身の大
柄。高音もfもpも同じフォームで、発声を意識させない歌いぶり。
いい声!だ。そしてスミスだけが暗譜!
第2の歌「月が滑るような光を投げ」(トーヴェ;以下T)
ニコルズは金髪の英国人。遠目では「大竹しのぶ」をやや細くした感
じの顔だ。譜面持ちの歌唱。
第3の歌「馬よ なぜ こうも歩が遅いのだ!」(V)
イスからすっくと立ちあがる。何を歌うかによって立ち上がり方も違
ってくる。
第4の歌「星は歓びの声をあげ」(T)
カンブルランは見事に楽譜を「音」にしていく。時としてガニ股スタ
イルだ。
第5の歌「天使たちの舞も」(V)
第6の歌「今 初めて告げる」(T)
「Ich liebe dich」が印象的だ。
第7の歌「真夜中だ」(V)
やや不気味な音楽。
第8の歌「あなたは 私に愛の眼差しを向け」(T)
第9の歌「不思議なトーヴェよ」(V)
間奏
カンブルランはかかとを上げ、大きな指揮--それに伴い、デュナーミ
クの大きい音楽だ。
「グレの鳩たちよ」(山鳩)
マーンケも金髪--こちらはゲルマンというかドイツ人。やや「太田
裕美」似である。声はまことに強いメゾですばらしい。トーヴェが王妃
(--ここには登場しないが。)によって毒殺されたことが歌われる。
ここで休憩かと思いきや、そのまま第2部へ。
<第2部> (5分)
「神よ 自分のなさった事をご存じか?」(ヴァルデマル王)
ヴァルデマル王の独白。5分間ほど、神を非難する音楽だ。一瞬、映画
「風と共に去りぬ」のような音楽が現れた。むろん映画の方が後だが
・・・・・・。
ここで休憩に入る。熱演に集中し、我を忘れてことみあり、私はしな
かったが、パチパチパチと拍手が起きた。
(そもそも、ここで拍手するしないは「個人の自由」だが[笑])。
--休憩--
休憩は15分とやや短かった。が、赤ワインを飲む。
音楽評論家東条さんとバッタリ。
男子トイレも長蛇の列。こんなことは初めてだ。
後ろに並んでいた方に
「もうすごい行列ですね~」
と声を掛けると
「いや、ここで行っておきませんとね。途中での退出になりかねません
から」
P席に合唱団が入場。女声45人、男声75人--新国立歌劇場合唱団と
はいえ、少し少ないのではないかしらん。
<第3部> (46分)
荒々しい狩り
「目覚めよ ヴァルデマル王の臣下たちよ」(ヴァルデマル王)
ワーグナーそっくりの音楽が登場する。
「柩の蓋がきしみ 跳ね上がる」(農夫)
ヘンツェは中肉の長身。
「王よ グレの岸辺に よく来られた!」(ヴァルデマル王の臣下たち)
「森は トーヴェの声で囁き」(ヴァルデマル王)
「鰻のような 奇妙な鳥」(道化クラウス)
ザッヒャーはミーメ(『ジークフリート』)などを持ち役としている
ようだが、そういったキャラクターの歌唱だ。情感たっぷりのしぐさ。
ロイド眼鏡に永めの上着。
フルート、ピッコロが活躍、R.シュトラウスの音楽が垣間見える(垣
間聴こえる?)。
「天の厳格な裁き手よ」(ヴァルデマル王)
「雄鳥が鳴こうと 頭を起こし」(ヴァルデマル王の臣下たち)
一瞬の音なし言葉がすばらしい。
夏風の荒々しい狩り
序奏
「アカザ氏に ハタザオ夫人よ」(語り手)
ヘンツェの語りは存在感たっぷりだ。「語り」も一つの音楽だ。
「見よ 太陽を!」(合唱)
2分間ほどの「語り」が終わると、いよいよコーラスが主役だ。カンブ
ルランは揺れながら、膝を使う指揮。まさしく太陽が昇るように明るく
なる音楽だ。やはり合唱はもう少し欲しかった?
9時24分、カンブルランの手が止まり、演奏が終了。カンブルランがう
なずいた後、客席を振り返ると客席から3、4人が一斉にブラボー--
観客は知っている。
会場が興奮する中、合唱指揮の三澤さんも登場。盛んに拍手が送られる。
延々と拍手が続き、最後は、今シーズンで常任指揮者を退任するカンブ
ルランが一人登場、盛大な拍手が送られた。
9時33分、遅いお開きとなる。
プログラム
16:55
16:59
17:20 3/26、27はプレオープンが予定されている。
17:24
18:03 溜池山王下車
18:06 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
18:10 スイス・ロマンド管弦楽団
18:11 サントリーホール
18:13 ANAインターコンチネンタル
18:15
18:17
18:17
18:18
18:19
18:22
18:29
18:31
18:46
20:21
20:22
20:29
21:35
21:37
21:46
21:47
22:15 あざみ野着
* * * *
3/31の団地周辺。いよいよ花の季節だ。
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