人生ブンダバー

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中嶋嶺雄『増補 現代中国論』 、王光美他『消された国家主席劉少奇』&池上彰『そうだったのか!中国』

2020-04-13 05:00:00 | 読書

中嶋嶺雄(1936-2013)著『現代中国論』は、著者の「労作」にし
て「出世作」だ。

学生時代に読んだが、どこかに行方不明となり、再読したくなった
ので、数百円で取り寄せた。

中嶋は、東京外語大学(中国科)を卒業後、世界経済研究所を経て、
東京大学大学院に在学中の28歳にして、本書を著している。その後、
東京外語大学の教員に採用された。--59歳で東京外語大学学長。

中嶋は後記に、
「これまでのわが国の中国研究、とくに社会科学の分野での研究に
は、重大な欠落部分があるのではないかと思う。その出発点にあっ
たであろう贖罪の意識は、いまや、いつのまにか対象への拝跪と正
当化主義に置き換えられてしまっている。そして、このような先有
的傾向のもとでは、批判的合理性の追求こそ、創造的革新への貢献
になるのだという精神がつねに看過ごされ、思考の停止状態のなか
で、一方では《擬似》主体性を唱え、他方では、中国共産党の公式
文献の解説的伝達者になるという結果に陥っている」
と書いている。そのうえで、
「現代中国の分析は、中国の公式文献に依拠しても十分に可能」
と言っている。

ちなみに、青木書店は、大月書店などと同様、戦後に設立された出
版社で、マルクス・エンゲルス関係の本を多く出版している。

<目次>
第1部 現代中国のイデオロギー
 序章
 第1章 「毛沢東思想」とマルクス主義
 第2章 中国的イデオロギーの形成要因
第2部 転換期中国の政治とイデオロギー
 第3章 「スターリン批判」と中国
 第4章 「百花斉放・百花争鳴」運動と反右派闘争
 第5章 転換期中国の政治過程
第3部 マルクス主義の現代的条件と中国
 第6章 中ソ論争と中国
 第7章 現代世界と毛沢東理論
第4部 中国文化大革命(増補)

中では、第4章「『百花斉放・百花争鳴』と反右派闘争」が興味深
い(1956-1957。参照→こちら)。
陸定一(1906-1996)中国共産党宣伝部長の求めに応じて、自由な
意見(共産党独裁の批判を含む。)を表明した知識人、学生、(共
産党以外の)民主諸党派等々は、最終的に「右派分子」=「毒草」
として摘み取られることとなった。

第4部「中国文化大革命」は、1971年の増補版にあたって付け加え
られたものである。中国文化大革命に対する冷徹な眼が光っている。

毛沢東は嫉妬深い人だった?
結局、文化大革命は、毛沢東の劉少奇に対する権力奪還闘争だった?

「紅衛兵」は、最終的には軍(人民解放軍)により弾圧された。
ちなみに人民解放軍は、池上彰さん的に分かりやすく言うと、中国
共産党の領導を受ける、「中国共産党の軍隊」(*)である。
(*)池上彰『そうだったのか!中国』p386

中国は建国70余年。--党内権力闘争と「言論の自由」弾圧の繰返
しの歴史?昨日の「友」は今日の「敵」?

マルクス主義的二元論は、「敵か味方か」、「〇か×か」、「100点
か0点」で、「70点」はありえない?


中嶋嶺雄『増補 現代中国論』(青木書店、1971)★×5


王光美等『消された国家主席 劉少奇』
文化大革命(1966-1976)に関する本は、たくさんあるが、王光美
等『消された国家主席 劉少奇』(NHK出版)は、文化大革命で失
脚した劉少奇について、第一部「知られざる劉少奇」と第二部「回
想の劉少奇--家族が見た国家主席」という構成でまとめられてい
る。劉少奇の写真が多く掲載されている。


王光美等『消された国家主席 劉少奇』(NHK出版、2002)

<参考>
董必武:1886-1975(89)
朱徳:1886-1976(89)
蒋介石:1887-1975(87)
毛沢東:1893-1976(82)
葉剣英:1897-1986(89)
周恩来:1898-1976(77)
彭徳懐:1898-1974(76)
劉少奇:1898-1969(70)
鄧小平:1904-1997(92)
高崗:1905-1954(48)
楊尚昆:1907-1998(91)
林彪:1907-1971(63)
江青:1914-1991(77)
王光美:1921-2006(85)


池上彰『そうだったのか!中国』
多くの参考文献(150冊以上)からコンパクトに2010(平成24)年
頃までの流れがまとめられている。ただし、中嶋嶺雄の、必読書
『現代中国論』(青木書店)、『中国』(中公新書)は、やや古い
せいかどうか(?)、参考文献とはなっていない(『中国・台湾・
香港』[PHP新書]は参考となっている)。

現代中国に関心のある人にとっては、まずまずバランスの取れた
「入門書」としての価値があるかもしれない。

興味ある章は、直接参考文献にあたるのがおもしろいかしらん。

<目次>
第1章 「反日」運動はどうして起きたのか
第2章 毛沢東の共産党
第3章 毛沢東の中国
第4章 「大躍進政策」
第5章 「文化大革命」
第6章 チベット
第7章 国民党
第8章 ソ連との核戦争
第9章 日本との国交
第10章 鄧小平
第11章 「一人っ子政策」
第12章 天安門事件
第13章 香港
第14章 江沢民から胡錦濤へ
第15章 格差社会・中国
第16章 軍備拡張
第17章 中国はどこへ行くのか
21世紀の中国の光と影


池上彰『そうだったのか!中国』

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家に閉じこもってばかり。外で飲み会もなく、音楽会もなく、結果
的にいささか節約に。

その分、多少家飲みの量が増えたり、お酒の銘柄がグレードアップ
したり・・・・・・。


今日はどちらを飲もうかな・・・・・・。


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