人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

小島亮『ハンガリー事件と日本』

2020-07-22 05:00:00 | 読書

以前、近現代史として、4月19日のブログで「スターリン批判」を
取り上げた(→こちら)。


スターリン批判とは、ソ連の独裁者スターリン(1878-1953)の死
後、1956年、ソ連共産党大会でフルシチョフによって行われた秘密
報告「個人崇拝とその結果について」をいう。



なにしろ共産主義の総本山ソ連のトップであり、独裁者だったスタ
ーリンが後継者によって批判されたのだから、当時、共産圏や共産
主義者に対する影響たるや大変なものであった(4/19のブログでも
多少触れている)。

現実にはありえないが、カトリック教会内でローマ教皇が批判され
たようなもの?


「ハンガリー事件と日本(への影響)」(--ハンガリー事件は日
本の思想界にどのような影響を与えたか?)については、ハンガリ
ー現代史の研究者小島亮氏が『ハンガリー事件と日本』(中公新書、
1987/7)にまとめている。
(注)現在は、現代思潮新社から復刊(→こちら)。




親ソ派であり、労農派マルクス主義者である大内兵衛(「進歩的文
化人」と言われた。)は、ソ連の弁護人である。

本書からの孫引きとなるが、岩波の雑誌『世界』(57年4月号)の
対談で次のように発言している。

 (なぜハンガリー民衆は行動を起こしたのかについて)
 それについては、民衆というものの性質が問題になる。民衆の政治的発達の程
 度というものが非常に関係がある。同じ民衆といっても、イギリスとアメリカ
 と日本とハンガリアとでは非常に違うと思う。ハンガリアの民衆はそういう国
 と比べたら、その政治的訓練が相当低い。

 ハンガリアはあまり着実に進歩している国ではない。あるいはデモクラシーが
 発達している国ではない。元来は百姓国ですからね。

自由を求めるハンガリー国民の暴動は、単なる「百姓一揆」だとで
もいうのかしらん。いかにも苦しい?ソ連はデモクラシーが発達し
ていた?

「ソ連=善100%」というイデオロギー思考(=一種の思い込み?)
の結果と言えるのかもしれない。



小島亮『ハンガリー事件と日本』(中公新書)★×5


ちなみに、岩波新書はもとより岩波書店の出版物ではハンガリー事
件自体を扱ったものはないようだ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『渡邉恒雄回顧録』(中公文庫) | トップ | 7/18 内覧会 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事