(2006年7月9日 名演小劇場2 2005年 日 ヴィスタ ドルビーSR 126分)
「ヴァイブレータ」の廣木隆一監督、荒井晴彦脚本、寺島しのぶ主演の最新作。「粋のない下町」蒲田を舞台に、35歳で一人暮らしのヒロインの何気ない日常を等身大で描く。
蒲田の雰囲気がいい。粋のない下町ってのは言い得ていると思う。東京へ行く事があったらタイヤ公園を探してしまいそうだ。
蒲田でのまったりとした雰囲気とは裏腹に、ここに出てくる人物はみんな優しい。だけど、みんな不完全。繰り広げられる人間模様は危うくもチャーミングであります。
主演の寺島しのぶは、その中でも一番危うい躁鬱の女性を演じているのだけど、30代の女優さんで精神的にも肉体的にも激しい役柄を演じる人は彼女しかいないような気がします。この秋に公開される渡辺淳一原作「愛の流刑地」のヒロインもいろんな女優に断られて寺島さんに回ってきたというし。(共演も回り回ってトヨエツだし)
今や、事務所的には女優業よりもCMの方がお金がいいというから、清潔なイメージを保たなくてはいけない・・・というけれど、それは自分の首を締める事になってない?
それはいいとして、この作品でも寺島しのぶはいいです。まるで近くにいるような、演技を感じさせない自然さと、しっかりした存在感があります。
男たちの中では豊川悦司演じる、いとこの祥一がいい。包容力がある。彼には誰もが惚れるでしょう。「ヴァイブレータ」でも思ったのだけど、広木監督は女性の視点から男性を描くのが巧いと思う。男から見ても「こんな人がそばに居てくれたらな」と思わせる包容力のある男性。ああ、銭湯で「姫~」と呼ばれたい。
トヨエツ演じる男性がいとこという関係なので、安心感と共にちょっとした危うさが伴っているのは狙いかな。優子と男たちの関係は、何と言うか男女の関係よりももっと大きな、人と人との繋がりに近いと思いますが。
祥一が優子に言う、「他人の悲しみは想像できても、共有する事はできない」には共感。優子が他人に共有してもらおうと思って阪神大震災や911を持ち出すという発想は衝撃的でありました。
原作はどうなっているのか分かりませんが、よくこんなセリフと心情を書けるなと思う。やっぱり荒井晴彦ってすごいわ。
ただ、ラストはメッセージも気持ちもどちらへ向かっていくのか分からない感じがして、不満を感じたのだけど、これから彼女は何が起こっても、ありのままの自分をさらけ出して逞しく生きていくのだろう。と思うと気が晴れるのかな、僕は。
「ヴァイブレータ」の廣木隆一監督、荒井晴彦脚本、寺島しのぶ主演の最新作。「粋のない下町」蒲田を舞台に、35歳で一人暮らしのヒロインの何気ない日常を等身大で描く。
蒲田の雰囲気がいい。粋のない下町ってのは言い得ていると思う。東京へ行く事があったらタイヤ公園を探してしまいそうだ。
蒲田でのまったりとした雰囲気とは裏腹に、ここに出てくる人物はみんな優しい。だけど、みんな不完全。繰り広げられる人間模様は危うくもチャーミングであります。
主演の寺島しのぶは、その中でも一番危うい躁鬱の女性を演じているのだけど、30代の女優さんで精神的にも肉体的にも激しい役柄を演じる人は彼女しかいないような気がします。この秋に公開される渡辺淳一原作「愛の流刑地」のヒロインもいろんな女優に断られて寺島さんに回ってきたというし。(共演も回り回ってトヨエツだし)
今や、事務所的には女優業よりもCMの方がお金がいいというから、清潔なイメージを保たなくてはいけない・・・というけれど、それは自分の首を締める事になってない?
それはいいとして、この作品でも寺島しのぶはいいです。まるで近くにいるような、演技を感じさせない自然さと、しっかりした存在感があります。
男たちの中では豊川悦司演じる、いとこの祥一がいい。包容力がある。彼には誰もが惚れるでしょう。「ヴァイブレータ」でも思ったのだけど、広木監督は女性の視点から男性を描くのが巧いと思う。男から見ても「こんな人がそばに居てくれたらな」と思わせる包容力のある男性。ああ、銭湯で「姫~」と呼ばれたい。
トヨエツ演じる男性がいとこという関係なので、安心感と共にちょっとした危うさが伴っているのは狙いかな。優子と男たちの関係は、何と言うか男女の関係よりももっと大きな、人と人との繋がりに近いと思いますが。
祥一が優子に言う、「他人の悲しみは想像できても、共有する事はできない」には共感。優子が他人に共有してもらおうと思って阪神大震災や911を持ち出すという発想は衝撃的でありました。
原作はどうなっているのか分かりませんが、よくこんなセリフと心情を書けるなと思う。やっぱり荒井晴彦ってすごいわ。
ただ、ラストはメッセージも気持ちもどちらへ向かっていくのか分からない感じがして、不満を感じたのだけど、これから彼女は何が起こっても、ありのままの自分をさらけ出して逞しく生きていくのだろう。と思うと気が晴れるのかな、僕は。
とは思いませんでしたよ~!
私も終わり方がちょっとなぁ・・
あそこまで描かなくってもと思うんですよね。
だって悲しすぎる・・
祥一が言った「他人の悲しみは~」には
まったく同感でしたね。
とは思わなかった。好きな場面のひとつです。
そう、あの手前までで止めといた方がよかったかも
しれませんね。今回は脚本家は親切すぎたのかも。